芝・ダート・障害で勝利した“三刀流”エイシンボストン!学生馬術で四刀流に挑戦中! vol.48
かつて観衆を沸かせた名馬の“今”を紹介!
走り終えた今も、観衆を魅了したあの日の輝きは、決して色褪せない。
全国で暮らす、名馬の個性と“今”を集める『ウチの子はあの名馬!個性にLOVE❤︎ 引退馬コレクション』をお届けします!
今回のコレクションは、2009年の東京ジャンプS(J・G3)や、小倉サマージャンプ(J・G3)などを制した、エイシンボストン!
現在は、広島県東広島市にある、広島大学馬術部で暮らしているとのこと。
そのお世話をしている井上さんにマル秘情報をたくさん聞いちゃいました!
井上 逍さん
(広島大学馬術部)
ウマ歴:3年
出身地:広島県
趣味:ダイビング
休日の過ごし方:家で寝ながらNetflix
エイシンボストン(清将)
ニックネーム|ボストン
生年月日|2002年2月17日
生産者|Audley Farm
馬主|平井 豊光
戦績|52戦7勝(2着1回,3着7回)
獲得賞金|1億7,987万円(中央)
主な勝鞍|2009年 東京ジャンプS(J・G3)、2009年 小倉サマージャンプ(J・G3)
父|Cat Thief
母|Mather Miss
母父|ブラックタイアフェアー
ここにきた日|2012年3月3日
三刀流・オールラウンダーの誕生
2004年7月にデビューしたエイシンボストンは、新馬戦から連闘で挑んだ2歳未勝利で初勝利を手にしますが、昇級後は思うように戦果が挙げられずに18戦1勝のまま2年が経過。
2006年4月からは目先を変えて障害に転向すると、いきなり初戦で勝利を収めるも、これまた昇級後に2連敗を喫して平地へと逆戻りします。
しかし、入障前は不振であった平地競走ですが、復帰後3戦目の3歳以上500万下(現・1勝クラス)、さらには昇級4戦目の4歳以上1000万下(現・2勝クラス)をスムーズに勝ち上がり、およそ半年で準オープンへと到達しました。
ここで特筆すべき本馬の特徴として、芝→障害→ダートと、異なる舞台で順に勝利を挙げた点、さらに距離に関しても、芝1,200m~障害3,000mと幅広い適正レンジを有している点があります。
1勝目は、2歳未勝利戦(小倉・芝1,200m)、2勝目は障害4歳以上未勝利戦(東京・障害 芝3,000m)、3勝目は3歳以上500万下*(中京・ダート1,700m)と、どのような舞台でも実力を発揮できること、そして不屈の根性による挑戦意欲が、エイシンボストンの最大の武器であったと言えるでしょう。
*:現・1勝クラス
“幻”のレコードタイム
平地で準オープンへと昇級したエイシンボストンですが、このクラスでは8戦全敗。
掲示板圏内となる5着が最高着順で、ほぼ頭打ちといえる結果に苦しむ中、陣営が取った選択は障害再転入でした。
2008年7月より、障害レースへと舞い戻ったエイシンボストンは、初戦から堅調な競馬をみせると、5戦目の障害3歳以上OPでは1着でゴール板を通過。
掲示板には「レコード」の文字が点灯し、記録的なタイムでの勝利かと思われましたが、係員がゲートを15m手前に設置したミスが判明したことで、レコードが取り消しに。
実は、この際の走破時計を考えると、仮にあと15m長く走っていたとしてもレコードタイムであった可能性が高いと言われており、まさに“幻”のレコードタイムとなってしまいました。
なお、レースは成立が認められたことで障害OP勝利となり、前代未聞の珍事に巻き込まれてしまったものの計測タイムからも成長を感じさせる一戦となりました。
7歳、キャリア40戦目より迎えた充実期
前走の内容から見ても分かるように、障害馬としての充実期を迎えていたエイシンボストンは、次走で東京ジャンプS(J・G3)に出走。
ここでは、前走の中山グランドジャンプ(J・G1)で3着となっていたオープンガーデンの追撃を2着に封じて、初の重賞タイトル制覇となりました。
そして連勝の波に乗るエイシンボストンは、次走で小倉サマージャンプ(G3)に出走。
前走と同じく中団追走から徐々に進出を開始すると4コーナー付近で先頭に立ち、直線でも脚色は衰えることなく、追い込んできた2着馬マンノレーシングに3馬身差を付けて優勝。
見事連勝を3に伸ばし、重賞2連勝を飾りました。
その後も、障害重賞で2度の3着を記録するなど健闘を続けていましたが、9歳となった2011年5月のレースを最後に引退。
京都府のカシオペアライディングパークで乗馬となっていましたが、広島大学馬術部の総監督が競技馬を探して同場を訪れた際、歩様がきれいで動きが良く、賢いと評価されたため購入となり、2012年より広島大学馬術部へ移籍。
以降、競技馬として学生馬術の舞台で活躍を続けています。
第11回 小倉サマージャンプ(J・G3) 2009.7.25 小倉 曇・良 障芝3,390m 14頭
「かしこさ☆5」は、さすが学生馬術で10年以上も、部員の皆さんの活動を支えてきただけありますね!
今年で22歳になりますが、まだ「食欲☆5」とのことで、たくさん食べてこれからも健康でいて欲しいと思いました。
担当している井上さんに、エイシンボストンの“印象的なエピソード”を聞いてみました!
「馬房にずっといることがキライな馬で、長いこと休ませたあとに放牧すると、勢い余って柵を飛び越えてしまったことです。」
そのような出来事があったのですね…
私も生産牧場で研修を受けていた頃に、気候が悪くて舎飼いが続いた後、やっと晴れた日に放牧しようとしたら、馬がふっ飛んで行きそうになった経験があります。
エイシンボストンも解放感に満ち溢れていたのでしょうね。
2頭とも似たような寝方をしていますね。
2頭とも似たような寝方をしていますね。
コーナスフロリダとエイシンボストンは、運動中に不意に接近した際、けり合いを始めてしまったとのこと。
写真は、大会中、2頭が隣の馬房になってしまい、かみ合いを始めてしまった様子だそうです。
たしかに、仲良さそうな雰囲気ではありませんね…
いつもゴロンゴロンしていてそのダイナミックな動きに魅せられること間違いなしです!また、その時になんとも気持ちよさそうな声を出すのも魅力的です!
井上さん、エイシンボストンのマル秘情報をたっぷりご提供いただき、ありがとうございました!
なお、エイシンボストンの見学については、ホームページで更新されるイベント情報などをチェックしてください。
広島大学馬術部 ホームページ
https://hiroshimadaigakubajutubu.wordpress.com/
そして、広島大学馬術部さんのSNSからも、エイシンボストンの姿をチェックできるので、ぜひフォローしてみてください♫
X(旧:Twitter)|@Huniv_uma
Instagram|hirodai_uma
WEBサイト|https://hiroshimadaigakubajutubu.wordpress.com/
協力:広島大学馬術部
取材・文:片川 晴喜
編集・デザイン:椎葉 権成
監修:平林健一
制作:Creem Pan
著作:Creem Pan・GJ
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