JRA C.ルメール泥沼「9連敗」から豹変の面目躍如!? 「勝率5割」で有言実行の勝ち星量産、リーディングジョッキーの低迷に“北海道縛り”の影響も
泥沼の新馬戦8連敗とはいったいなんだったのか……。
暑さが苦手なことで知られるC.ルメール騎手が、今年も選択したのは、“避暑地”の開催。とはいえ、調子が上がらず、6月から8月にかけて8連敗を喫していた2歳新馬戦は苦手条件だった。
6月に阪神の新馬戦でも2番人気キラーアビリティで5着と敗れており、実質は9連敗。今年の全国リーディングを独走する騎手にしては、不甲斐ない結果だったといえる。
ところが、8月15日の新馬戦を1番人気に応えてホウオウプレミアで勝利すると、これまでの不振がまるで嘘だったかのような快進撃を続けた。その後も順調に勝ち星を量産し、先週12日の開催を終えての新馬戦の成績は、12戦6勝と抜群である。
勝率は50%、連対率、複勝率においても66.7%なのだから、2回に1回は勝ち、3回に2回は馬券圏内に入る“ルメール無双”状態。新馬のルメールは「買えない」から、「買い」へと、それまでのイメージを一新させた。
勿論、これには有力馬主の全面的なバックアップによる“極上馬質”も大いに関係しているが、“北海道縛り”がなくなったことも、その理由の一つかもしれない。
なぜなら函館、札幌での新馬は、先述のホウオウプレミアの1勝を加えても12戦1勝で勝率わずか8.3%という“お寒い”成績。これに対し、北海道以外の新潟、中山、中京に舞台を移した新馬戦は、7戦5勝で勝率は71.4%なのだから、まるで“中の人”が変わったかのような豹変ぶりだろう。
「北海道デビュー組には、ソダシやエフフォーリアのような未来のG1馬もいる一方、超大物のスタンバイは秋競馬という傾向は、昔からありましたしね。上位人気馬に騎乗しながら、結果が出なかったことで、ルメール騎手が悪い意味で注目されましたが、結局は『ルメール人気』の産物だったともいえそうです。
レシステンシアに騎乗したセントウルS(G2)でも、好騎乗でピクシーナイトの追撃を交わしたように、実力のある馬に騎乗した際には、他の騎手に格の違いを見せつけています。この分だと、まだまだ『ルメール一強時代』は続きそうな雰囲気ですね」(競馬記者)
自身が北海道にこもっている間、ライバルの川田将雅騎手や福永祐一騎手は、期待の2歳馬で勝ち星を荒稼ぎ。先々を見据えるとルメール騎手の苦戦を予感させる状況にも思えたが、北海道以外で勝利した馬の中には、イクイノックスをはじめ、ソネットフレーズ、ジャスティンパレスなどの大物候補も含まれていた。
札幌2歳S(G3)を4馬身差で楽勝したジオグリフにしても、6月の東京でデビュー勝ちをした馬。そう考えると、ルメール騎手にとって、夏の北海道は公私ともに“夏休み状態”だったともいえそうだ。
秋から調子が上がるタイプと認めているルメール騎手。これから続いていく秋のG1シーズンだが、クロノジェネシスとの凱旋門賞(G1)挑戦もなくなったことにより、国内に専念することが濃厚である。
今年の中央開催も残すところ3ヶ月半となるが、日本の競馬はやはりこの男を中心に回っていくことになるのだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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