【シンザン記念(G3)展望】武豊、ディープインパクト最終世代の期待馬と初タッグ!
2023年最初の3歳重賞が8日、中京競馬場で行われる。芝1600mが舞台のシンザン記念(G3)だ。ここ数年は出世レースとしても名高いこのレースを早速展望していこう。
11月に2歳新馬を勝ち、これがデビュー2戦目のライトクオンタム(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)が最有力候補として名前が挙がる。
大種牡馬ディープインパクトが残した数少ないラストクロップの1頭で、9日に行われる牝馬限定戦のフェアリーS(G3)には目もくれず、牡馬に挑戦状をたたきつける。
デビューは昨年11月東京の芝1600mで、C.ルメール騎手が手綱を取った。好スタートを切ってハナを奪うと東京の長い直線でしぶとく粘り、2着に2馬身半差をつけての完勝を収めた。
レース後、ルメール騎手は「能力があります」と、そのレースぶりを褒めたたえた一方で、「もっとパワーアップしないといけません」と課題も挙げていた。
実際にデビュー戦の馬体重は426kgで、2歳牝馬としても小柄な部類。武幸師も「華奢な馬」と認めているが、成長の余地を残しているとも考えられるだろう。
2戦目の鞍上には武幸師の兄・武豊騎手が指名された。シンザン記念は02年タニノギムレットなど通算7勝するなど好相性で、牝馬でも1997年シーキングザパールと99年フサイチエアデールを勝利に導いている。
近年のシンザン記念は特に牝馬の出世率が高い。12年の勝ち馬ジェンティルドンナと18年の勝ち馬アーモンドアイは、このレースをステップに牝馬三冠を達成している。
ライトクオンタムがキャリア1戦で牡馬相手に勝つのは決して容易ではないだろう。しかし、あっさり突破するようなら、牝馬クラシックでも主役を張る可能性が出てきそうだ。
武騎手がいまだ達成していない牝馬三冠を意識できるようなパフォーマンスを披露できるか。ライトクオンタムの走りに注目が集まる。
ディープインパクトのラストクロップに待ったをかけるのは、ディープインパクトの直仔リアルスティールの初年度産駒、トーホウガレオン(牡3歳、栗東・石坂公一厩舎)だ。
すでにオールパルフェがデイリー杯2歳S(G2)で逃げ切り勝ちを収めるなど、産駒は徐々に頭角を現している。トーホウガレオンはそんなリアルスティール初年度の代表産駒になり得る実力の持ち主だ。
本馬は夏の小倉でデビューし、1番人気に支持されたが2着。2戦目、3戦目も2着と惜しい競馬が続き、ようやく4戦目で初勝利を飾った。
これまで先着を許した3頭は、アリスヴェリテ、チャンスザローゼス、エゾダイモンと素質馬ばかり。トーホウガレオンは未勝利戦を勝ち上がったばかりだが、世代上位の一線級と戦ってきた経験値は大きな武器となるだろう。
これまで1800~2000mを使われてきたが、ここで初のマイルに舵を切る。この距離短縮に関して、石坂師は『東京スポーツ』の取材に、「マイルで脚をためる競馬を試してみても良さそう」とコメント。これまで先行策で結果を出してきたが、今回は控える競馬を示唆している。
鞍上は父リアルスティールの主戦も務めた福永祐一騎手がデビュー戦から5戦連続でのコンビ。調教師への転身まで2か月弱。残り少なくなった重賞制覇のチャンスを逃すわけにはいかない。
クファシル(牡3歳、栗東・池添学厩舎)は、半姉に21年のローズS(G2)を勝ち、同年の秋華賞(G1)で3着に入ったアンドヴァラナウトを持つ良血馬だ。
姉は3歳3月にデビュー3戦目で勝ち上がったが、弟の本馬は2歳11月の阪神マイル戦でR.ムーア騎手を背にデビュー。スピードの違いでハナに立つと、そのまま逃げ切った。
鞍上はレース後、「最初(テン)は馬が少し積極的に行ってしまった」とコメント。若さを露呈するレース内容でもあったが、それでも勝ち切ったことは評価していいだろう。
父は晩成のイメージもあるモーリスだが、その産駒はシンザン記念とは好相性を誇る。2年前は初年度産駒のピクシーナイトとルークズネストがワンツーを決め、昨年はソリタリオが2着に食い込んでいる。
今年のメンバーでは唯一のモーリス産駒となるクファシル。3年連続で馬券圏内に食い込めるか。鞍上は来日から約1か月で9勝を挙げているD.イーガン騎手が務める。
この他には、ホープフルSでG1初制覇を遂げたB.ムルザバエフ騎手と初コンビのペースセッティング(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)、左回りでは2戦2連対のスズカダブル(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)、17年のスイートピーSを勝利したブラックスビーチを姉に持つシンゼンイズモ(牡3歳、栗東・荒川義之厩舎)、強烈な末脚が自慢のサンライズピース(牡3歳、栗東・河内洋厩舎)らがスタンバイしている。
今年は少数精鋭ながら好メンバーが集まりそうなシンザン記念。発走は8日、15時45分の予定となっている。
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