箱根駅伝で「ツインターボ」「パンサラッサ」トレンド入り!? 現役屈指の個性派が“年男”と挑む世界の頂き
年が変わって2023年。今年もJRAの開催初日は1月5日、中山競馬場と中京競馬場で行われる東西の金杯から幕を開ける。
ところが1月2日。一足早くTwitterのトレンドに2頭の競走馬の名前があがった。それが「ツインターボ」と「パンサラッサ」である。
事の発端は、2日にスタートした『第99回東京箱根間往復大学駅伝競走』内のとある一幕。日本のお正月の風物詩である“箱根駅伝”において、大注目の1区で快調に飛び出していったのが関東学生連合の新田颯選手(育英大4年)。序盤からリードを拡大し、なんと15キロ地点で後続に1分以上の差をつける大逃げ状態になった。
記録の残らない“オープン参加”の学連選抜が見せた果敢な大逃げに、駅伝ファンのみならず多くの視聴者が反応。なかでも競馬ファンは往年の逃げ馬の姿を思い浮かべながら、新田選手に重ね合わせて声援を送った。
その結果、逃げ馬の象徴的な存在として「ツインターボ」と「パンサラッサ」がトレンド入り。中には、パンサラッサが伝説の逃げ馬ツインターボと並ぶ一頭になりつつあることを感慨深げに語る声も見受けられた。
2021年11月の福島記念(G3)で重賞初勝利を挙げたパンサラッサは、昨年2月に中山記念(G2)を制し、3月にはドバイターフ(G1)を同着優勝。5歳にして世界の頂点に立った。
以降は勝利を挙げることができていないものの、10月の天皇賞・秋(G1)では後続を20馬身近くちぎる大逃げを見せ、イクイノックスの2着と健闘。その差はわずか0秒1。歴史に残る逃げっぷりは、多くの競馬ファンの胸を震わせた。
現役屈指の個性派が“年男”と挑む世界の頂き
今年はさらなる勝利が期待されるが、復活の凱歌を挙げるのはどの舞台になるのか。始動戦に注目が集まる中、管理する矢作芳人調教師が次なるターゲットに選んだのがダート1800mのサウジC(G1)である。
パンサラッサにダートのイメージはないが2020年12月に師走S(L)に出走している。11着に敗れているが、師は『日刊スポーツ』の取材に「ワンターンの左回り1800mがベスト条件」であることを強調したうえで「馬場は分からないが、自分の感性では合うと思う」と口にしている。
その後は連覇を目指して芝のドバイターフに向かうプランを本線にしつつも、もしサウジで新たな一面を見せることができれば、ダート路線を続戦してドバイワールドカップ(G1)も選択肢に入ってくるという。再び世界を驚かせるために、どんな道を進んでいくのか。昨年5度目のリーディングトレーナーに輝いた名伯楽の決断に注目だ。
そしてパンサラッサといえば、主戦の吉田豊騎手も忘れてはならない。
2021年のオクトーバーS(L)で初騎乗ながら逃げて勝利をもたらすと、昨年のドバイターフでもコンビを組んで世界の強豪を相手に果敢に挑み、自身初の海外G1制覇を達成。1着同着で世界的名手L.デットーリとともに表彰台に登った。
現役屈指の逃げ馬のキャラを確立させた立役者の一人であるが、この裏にあったのが矢作師との縁。昨年のドバイ挑戦前に『netkeiba.com』で掲載されたコラムにて、師は「パンサラッサの持ち味を一番引き出せるジョッキーは豊。だからドバイでも迷わず豊を指名した」と起用の理由を説明。
そのうえで、吉田豊騎手についても「思い切りの良いところが好き。とくに前に行くような馬の騎手を選ぶ時には自然と選択肢に入ってくる」と語っており、そういった特性も踏まえたうえでパンサラッサ×吉田豊のコンビが定着したのだという。
今年がデビュー30年目。しかも1975年4月19日生まれは卯(うさぎ)年の年男という吉田豊騎手。上述したコラムの中でも「僕ももう年なので、こういうチャンスをいただける機会も限られている」と述べており、この節目の一年にかける思いは例年以上に強いはず。
ここ2年は年間17勝と苦しい戦いが続いているが、その中で巡り合った相棒と、信頼して任せてくれる師に報いるためにも、パンサラッサにもう一度大きな白星を。お正月のトレンド入りも追い風に、2023年のパンサラッサと吉田豊騎手の躍動に期待したい。
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