JRA今村聖奈「この馬らしいレースが出来ず」テイエムスパーダ大敗は出遅れだけじゃない!? シルクロードS(G3)で問われた「超速タイム」の価値

3番人気で6着に敗れた前走の京阪杯(G3)に続き、快速馬テイエムスパーダ(牝4、栗東・五十嵐忠男厩舎)に騎乗した今村聖奈騎手だが、29日のシルクロードS(G3)はスタートで後手を踏んだことが響いて見せ場なく14着。9番人気の評価だったとはいえ、不完全燃焼に終わってしまった。
「今日はこの馬らしいレースが出来ず申し訳無かったです」
レースをそう振り返った今村騎手だが、これまで積極策で結果を残していたパートナーだけに、最後方から直線を迎えたのは痛恨だった。自身の最速上がりとなる33秒7をマークしたものの、勝ち馬ナムラクレアの32秒9をはじめ、前にいた馬に揃って速い上がりを使われたのでは手も足も出ない。今村騎手の言葉通り、「この馬らしいレース」が出来なかったといえるだろう。
かといって、先手を取れなかったことだけが敗因とは言い切れない事実もある。今村騎手と初コンビを組んだCBC賞(G3)で、重賞初騎乗初勝利の快挙をもたらしたテイエムスパーダだが、昨夏の小倉開催はレコードが連発された異常な高速馬場。いや“超速馬場”といった方がいいかもしれない。
ガイアフォースが1勝クラスの芝2000m戦で1分56秒8(良)を叩き出せば、CBC賞のテイエムスパーダは芝1200m戦で1分5秒8(良)という、目を疑うような勝ちタイムをマークした。
2年前の同レースも1分6秒0(良)で制したファストフォースがレコードを更新していたが、前日に芝1200mのレコードが22年ぶりに塗り替えられる1分6秒4が出ていたばかり。テイエムスパーダはそれをさらに0秒2も更新していたのだ。
とはいえ、3歳牝馬の同馬が48キロのハンデに恵まれたことに加え、元主戦の国分恭介騎手が体重的に騎乗することが叶わなかった関係で今村騎手が抜擢された経緯もある。他馬の出方を気にすることなくハナを主張した今村騎手の好判断が、2着馬に3馬身半もの差をつけるレコード勝ちに繋がったといえる。
ただ、持ち時計がすべてと言い切れないのも競馬の難しいところ。馬場やコース、斤量が異なった中山のスプリンターズS(G1)では16頭中の15着と振るわなかった。このレースを制したジャンダルムの勝ち時計は1分7秒8(良)で、先週末のシルクロードSを制したナムラクレアのそれも1分7秒3(良)に留まっている。昨年のCBC賞のレコードに対し前者は2秒0、後者は1秒5も遅かったのである。
そこで疑問が生じるのは、JRAがなぜ小倉競馬場であのような馬場を作ったのかだ。
問われた「超速タイム」の価値
G1などで激戦が繰り広げられた結果、レコード決着だったならまだ見応えのあるレースだったと感じられる部分もあるが、過去の歴史を振り返ってもレコードホルダーが必ずしもG1馬という訳でもない。気になるのはむしろ、そんな高速馬場で目一杯走った肉体的なダメージや脚元への負担の方である。そういう意味では、夏のローカル開催でタイムトライアルをしたところで弊害こそあれ、これといった価値はないということにもなりかねないはずだ。
先日のアメリカジョッキークラブC(G2)で大本命に支持されたガイアフォースも同じく小倉に使われていた馬。こちらについては次走のセントライト記念(G2)を勝ち、レコード決着の菊花賞(G1)で8着に凡走した経緯もあるが、陣営の予想以上に小倉で激走した疲れが残っていた可能性も考えられる。
今年から平地競走の負担重量の引き上げを実施しているJRA。「騎手の健康と福祉、および将来にわたる騎手の優秀な人材確保」が目的ということだが、斤量増で競走馬への負担が増えることには懸念がある。
昨年のジャパンC(G1)に出走した外国馬が凡走したように、これは小倉だけの問題ではなく東京やその他の競馬場にも言えること。逆の意味では海外遠征を視野に入れる日本馬にとっても、決して歓迎できるものではないはず。そろそろJRAもこういった状況を見直す時期ではないだろうか。
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