「重賞レベルの力」C.ルメール絶賛の遅れてきた大器が4連勝!エフフォーリア失った鹿戸雄一厩舎に「看板候補」の新星現る
厩舎の新しい「顔」となるような大物候補が誕生したかもしれない。
19日に東京競馬場で行われた10RのアメジストS(3勝クラス)は、単勝1.8倍の断然人気に推されたスパイダーゴールド(牡4、美浦・鹿戸雄一厩舎)が後続に2馬身半差をつけて完勝。兄にきさらぎ賞(G3)を勝ったラーゴムを持つ良血が、昨年の未勝利から破竹の4連勝を決めた。
14頭立て芝2000mのレース。好スタートを決めたスパイダーゴールドは、鞍上のC.ルメール騎手が「ちょうどいいポジションで運べた」と振り返った通り、道中で2番手を追走する。サザンナイツが大逃げで引っ張る流れの中、絶好の手応えを保ったまま最後の直線を迎える。
そこから徐々に逃げ馬との差を縮めると、残り200m付近で早くも先頭へ。鞍上のムチが1発、2発と飛ぶと後続を突き放し、最後は余裕しゃくしゃくでゴールを駆け抜けた。
「未勝利と1勝クラスは完勝だったものの、前走の2勝クラスの着差が僅かだったので、いきなり勝ち負けは厳しいかなとも思いましたが、杞憂に終わりましたね。ここでは明らかに力が違いました。
また勝ち時計の1分57秒7は時期が違うとはいえ、昨年の天皇賞・秋(G1)で勝ったイクイノックスがマークした時計にコンマ2秒に迫る好タイムでした。レース後にはルメール騎手も『重賞レベルの力がある』と絶賛していましたし、今後の活躍も本当に楽しみですよ」(競馬誌ライター)
一昨年のデビュー戦では単勝1.9倍に推されるも2着に敗れ、その後の2戦も2着→5着と勝ち上がることが出来なかったスパイダーゴールド。4戦目の未勝利戦は競走中に鼻出血を起こしながら、2着に1馬身1/4差をつけての初勝利だった。
そこから素質が徐々に開花し、続く湯沢特別(1勝クラス)では単勝1.7倍の5億円馬リアドを撃破。さらに前走のオリエンタル賞(2勝クラス)でも、単勝1.6倍に推された神戸新聞杯(G2)4着馬のジュンブロッサムを蹴散らしており、破ってきた相手にも不足はない。
4連勝の全てで手綱を取っているルメール騎手も、以前から「能力があります」「上でも期待できます」と評価しているだけに、いよいよ本格化した印象がある。次戦は未定だが、重賞でもいきなり好勝負が期待できそうだ。
そして、スパイダーゴールドを管理する鹿戸厩舎にとっても、同馬の本格化は喜ばしい限りだろう。
12日の京都記念(G2)では、管理するG1・3勝のエフフォーリアが心房細動によりまさかの競走中止。その後、電撃引退を余儀なくされてしまった。
道半ばで種牡馬入りとなったエフフォーリアに対し、鹿戸師は「成功すると信じています。できればエフフォーリアの子供で大きいレースに挑戦できるようになりたい」と前を向いたが、それと同時に「この馬は僕にとって宝物。僕にとってのヒーロー」と噛み締めていた。
それだけにスパイダーゴールドの4連勝でのOP入りは、厩舎の新たな希望となるに違いない。「遅れてきた大器」が、早ければ今年中に鹿戸厩舎の看板となる日が訪れるかもしれない。
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