【安田記念特集】20世紀最強マイラー・タイキシャトルが開いた「扉」と残した「軌跡」。絶対王者はその「継承者」を待っている
全キャリア13戦の内、ダートだろうが芝だろうが、スプリントだろうがマイルだろうが、5番手以下に立ち遅れたことがない抜群のスタートセンスとダッシュ力。それにもかかわらず、13戦中12戦で上がり3ハロンがメンバー3位以内。
まさに「テン良し、終い良し」という競走馬としての理想形。13戦11勝、馬券圏内100%は、まさに当然の成績である。
ただ、安田記念を圧勝したタイキシャトルの次走がジャックルマロワ賞に決まったという報道があっても、それがフランスのNo.1マイラーを決める格式の高いレースであることを知っている競馬ファンは、ほとんどいなかったのではないだろうか。
当時の日本競馬は海外G1を勝った経験がなく「世界との距離はあまりに遠い」と言われていた。はっきり言って「夢のまた夢」だったと述べても、決して過言ではなかったのだ。
だからこそ、シーキングザパールがモーリスドゲスト賞を勝ち、その翌日にタイキシャトルがジャックルマロワ賞を勝った時、日本の競馬ファンは大人げもなく狂喜乱舞した。
それは野茂英雄がアメリカでメジャーリーガーをきりきり舞いさせた時と同じであり、中田英寿がイタリア・セリエAのユヴェントス戦でバイシクルシュートを決めた時と同じ感覚である。
ジャックルマロワ賞の着差こそ半馬身差だったが、この戦いが如何にハイレベルであったかは、この年にタイキシャトルがフランスの最優秀古馬に選出されている事実が、すべてを物語っている。
フランスという競馬大国が、日本競馬が生み出した歴史的マイラーに屈したのだ。
あれから18年。今年の安田記念には、あの時と同じく「マイル界の絶対王者」が出走する。
モーリスはここを勝てば、タイキシャトルと並ぶ5つ目のG1タイトルを手にする。だが、名実ともにタイキシャトルを超えるには、いや、日本競馬が18年の時を経て前進していることを証明するには、やはりアジアを飛び出し、世界に打って出る必要があるだろう。
昨年の年度代表馬にとって、ここは単なる通過点か。それとも、ライバルがジャイアントキリングを成し遂げるのか。
いずれにせよ、20世紀最強のマイラーは待っている。
己の存在を踏み越えて新時代を築く、世界に誇るマイル王の再来を――。
PICK UP
Ranking
23:30更新- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!