JRA【三冠最終戦】菊花賞(G1)で散った二冠馬、辿り着けなかった二冠馬たち。ミホノブルボン、メイショウサムソン、ネオユニヴァース、トウカイテイオー、ドゥラメンテ
今週はいよいよ菊花賞だ。無敗の二冠馬コントレイルが、菊花賞も制し令和初の三冠馬、そして史上3頭目のJRA無敗のクラシック三冠馬となれるかどうか、まさに試練の時が訪れようとしている。
先週行われた秋華賞はデアリングタクトが勝利し、無敗の牝馬三冠が馬が誕生した。2週連続の快挙達成を望む声も多く、周囲の期待は日に日に増すばかりだ。
この菊花賞を三冠がかかった最終戦として見た場合、大きく分けて出走馬は3種類に分かれる。春二冠に続き三冠を達成した馬、菊花賞で敗退し三冠を逃してしまった馬、そしてそれ以外の馬である。皐月賞と日本ダービーを制し二冠を達成しながら、菊花賞で涙を飲んだ悲運の二冠馬たちを紹介していこう。
春の皐月賞と日本ダービーを勝利し、菊花賞に出走した馬は以下の8頭。
1950年 クモノハナ 2着
1953年 ボストニアン 2着
1960年 コダマ 5着
1963年 メイズイ 6着
1970年 タニノムーティエ 11着
1992年 ミホノブルボン 2着
2003年 ネオユニヴァース 3着
2006年 メイショウサムソン 4着
三冠がかかった菊花賞でクモノハナはハイレコードに、ボストニアンはハクリヨウに、そしてミホノブルボンはライスシャワーに敗れ2着、あと一歩で三冠を逃してしまった。特にクモノハナは勝ち馬とわずかアタマ差であり、非情な結末だった。
コダマは無敗で皐月賞と日本ダービーを制したが、秋初戦のオープン戦2着、阪神大賞典3着を経て、菊花賞は1番人気で5着。現在では考えられないローテーションだが、当時は菊花賞前に2回ほどレースを使うのは一般的であった。
メイズイは菊花賞で単勝支持率83.2%と圧倒的人気を集めたが、鞍上の強引な騎乗や展開などが要因となり、まさかの6着に敗退。日本中央競馬会は三冠達成を想定してくす玉を用意していたというから、当時の注目ぶりが想像できる。
タニノムーティエは後の日本ダービー馬タニノギムレット、ウオッカを生産したカントリー牧場の生産で、日本ダービーを勝利した時の成績はなんと15戦12勝。弥生賞を勝利した後にスプリングステークスに出走するなど、今ではまずあり得ないローテーションだった。日本ダービー後の放牧中に喘鳴症にかかってしまい、休養明け後は2戦してすべて大敗。三冠がかかった菊花賞も2.2秒差の11着に敗退している。
ミホノブルボンはコントレイルと同様に、デビューから無敗で菊花賞まで駒を進めてきた。父マグニテュードは市場でも評価が高くなく、ミホノブルボンも700万円ほどで取引された馬だったという。加えて短距離系種牡馬ということもあり、管理する戸山為夫調教師は距離を克服するため、当時完成したばかりの坂路で同馬を徹底的に鍛えた。そして皐月賞、日本ダービーで圧倒的な強さを見せつけ、菊花賞トライアルの京都新聞杯はレコードタイムでの勝利。しかし菊花賞は長距離血統で秀でるライスシャワーに完敗。ミホノブルボン自身も当時の菊花賞レコードを上回る時計であったが、まさに相手が悪かったといえるだろう。
ネオユニヴァースは現在JRA所属となっているミルコ・デムーロ騎手を語るうえで、ドゥラメンテとともに代表的な一頭だろう。外国人騎手初となる日本ダービー勝利は永遠に残る記録。しかし日本ダービー後は宝塚記念に出走し4着、神戸新聞杯3着と精彩を欠き、菊花賞は1番人気ながら0.2秒差の3着に惜敗。宝塚記念出走の影響、展開、血統など様々な要因があったと言われているが、外国人騎手初の三冠達成は夢と消えた。
メイショウサムソンは競りで700万円という低評価の馬だった。そして2歳時だけで7戦という使われ方からもわかるように、決してクラシックを目指す王道を歩んでいたわけではなかった。しかし3歳春のスプリングステークスから本領を発揮し、皐月賞と日本ダービーを連勝。菊花賞では前年のディープインパクトに続く三冠達成の期待が高まったが、1番人気で4着に敗退。皐月賞と日本ダービーを雨の影響が残る馬場で勝利しており、父オペラハウス、母の父ダンシングブレーヴというヨーロッパ血統が、当時レコードが続出していた京都の速い馬場に合わなかったという見方もあった。
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