JRAマイネル軍団総帥・岡田繁幸さん逝く。武豊「僕の原点、この馬と一緒に全国区になった」絶体絶命だった天才を世に放った偉大な決断と信念【特別寄稿】
もともと晩成型のスーパークリークだったが、能力の高さで春のクラシック出走をつかみかけていた。しかし、日本ダービーの出走を目指していた矢先に左前脚の骨折が判明……。
半年間の休養を余儀なくされて迎えた、秋初戦の神戸新聞杯(G2)。しかし、ブランクのためかスーパークリークは本来の伸びを欠き3着に敗退。それも当時の神戸新聞杯は菊花賞トライアルではなかったため、3着では賞金が加算できなかった。
秋の大目標となる菊花賞の出走を確実なものにするため、なんとしても出走権を掴みたかった陣営は、続く菊花賞トライアル京都新聞杯(G2)への出走を決断。休養明け叩き2走目となるスーパークリークは今度こそ本領発揮を期待されたが、他騎手が振るったムチが顔に当たるなどの不運もあり6着敗退……。菊花賞への出走は、完全に不透明なものとなってしまった。
結局1988年・秋、第49回の菊花賞には36頭が登録。レースが行われる京都競馬場のフルゲートが18頭であることに対し、スーパークリークの出走順位19番目。つまり回避馬が1頭も出なければ、菊花賞に出走することすらできないということだった。
それでも諦めきれない陣営は、スーパークリークを菊花賞に向けて仕上げていく。幼少の頃からスーパークリークを鍛え上げてきた伊藤調教師は「絶対にスーパークリークに乗った方がいい。勝てるから」と武豊騎手に伝え、まだG1勝ったことがなかった武豊騎手には他にも乗れる馬がいたが「クリークがダメなら仕方ない」と腹を括った。
ただ、舞台は牡馬クラシックの最後を飾る菊花賞。「強い馬が勝つ」といわれる伝統のレースを勝ちたいのは、当然スーパークリークの陣営だけではない。数千頭のライバルを退け、わずか18しかない出走権を掴んだ他馬の陣営が、そう簡単にそれを手放すはずもなく、一頭の回避馬も出ないまま菊花賞は、出馬投票の締め切りを迎えようとしていた。
しかし、スーパークリークと武豊の運命は”ある男”の決意によって大きく急転する。
PICK UP
Ranking
23:30更新- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!