JRA種牡馬モーリスは「何」が変わったのか。想定外の追い風も? 重賞連勝中の絶好調サイアーを徹底解剖!
今年のモーリス産駒は、ひと味違う。
先週20・21日に開催された3場では、出走した産駒15頭のうち4頭が勝利。なかでも土曜日の重賞ファルコンS(G3)を制したルークズネストは印象的だった。
同馬は今年1月のシンザン記念(G3)2着馬。記念すべき、モーリス産駒の重賞初制覇を記録した同重賞では、優勝したピクシーナイトと仲良く産駒ワンツーフィニッシュを決めている。
さらに先々週の14日(日)には、フィリーズレビュー(G2)でシゲルピンクルビーが優勝。今年3月下旬の段階で、モーリス産駒はすでにG2を1勝、G3を2勝しており、重賞未勝利だった昨年が嘘のような成績を挙げている。
ほかにも1月の京成杯(G3)でテンバガーが3着など、今年のクラシックロードや3歳戦で注目せざるを得ない種牡馬になりつつあるモーリス。昨年の新種牡馬時代から、2年目に突入した産駒成績を振り返ろう。
現役時代の中央15戦8勝も立派だが、香港3戦3勝が印象に残るモーリス。安田記念、マイルCS、天皇賞・秋(すべてG1)のほか、香港マイル、チャンピオンズマイル、香港カップ(すべて香港G1)を制した実績を手土産に、所属していた堀宣行厩舎の“同僚”ドゥラメンテと2017年に種牡馬入り。初年度は265頭の繁殖牝馬と交配された。
期待された初年度産駒は、2020年にデビュー。31勝を挙げたものの、2着38回、3着21回と勝ちきれない点が話題に挙がるなど、競馬ファンの間では、成功したか否か賛否両論が巻き起こっていた。
ところが2年目の今年は、先週の時点ですでに21勝をマーク。種牡馬ランキングでは、堂々の10位。22勝のキングカメハメハに次ぐ成績を残している。JRAの開催に限定すると、今年1月からの全12週のうち、産駒が未勝利だった週は1月の初週と2月最終週のわずか2週だけ。昨年と違った安定感が出てきた印象がある。
さらに今年の成績で目立つのは、苦手と評価されていたダートでも成績を残している点だ。
昨年31勝の内訳は、芝28勝に対してダートはわずか3勝と極端な成績だった。しかし今年の21勝では、芝13勝でダートは8勝。バランスよい成績を残している。
今年のモーリス産駒への”追い風”はまだある。ズバリ、新潟競馬場での代替開催だ。2月13日に発生した福島県沖地震の影響で、4月10日から予定されていた第1回福島開催の中止が決定。代替開催は新潟競馬場で行うことが決定している。
昨年のデビューから先週まで、モーリス産駒のコース別の着別度数を調べると、最も好成績を挙げているのが中山競馬場の芝2000mコースで、[3-2-2-14/21]という成績が残っている。
さらに2位の小倉競馬場の芝2000mの[3-1-3-1/8]に次ぐのが、新潟競馬場の芝外回り1600mコースだ。先に挙げた中山、小倉コースと最多タイの3勝をマーク。さらにモーリス産駒は、新潟競馬場の芝1800mでも1勝しており、新潟開催の着別度数は[4-1-1-19/25]。勝率16.0%、連対率20.0%、複勝率24.0%と悪くない。
“想定外”の開催となる新潟競馬場で、モーリス産駒が躍動する可能性は十分にあるだろう。
ちなみに「モーリス産駒」で検索すると、「失敗」や「走らない」「勝てない」といったネガティヴワードが並んでいた。競馬ファンからネタにされることもあった初年度の「黒歴史」を覆す、モーリス産駒の躍進を期待したい。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
JRA毎日杯(G3)ディープインパクト産駒と真っ向勝負!絶好調「モーリスの血」が3週連続重賞制覇に向け、ルペルカーリアを後押しする!?
JRA社台スタリオン強気の種付け料「倍増」は先見の明!? 新種牡馬「モーリスの逆襲」に一方のドゥラメンテは……
JRAドゥラメンテ、モーリスに「失敗種牡馬」烙印の危機!? 良血揃いも「重賞19連敗」の大誤算…… ノーマークから存在感見せたダークホースとは
JRAドゥラメンテとモーリス「明暗」くっきり!? 阪神JF(G1)唯一の登録馬が「除外危機」も、朝日杯FS(G1)では立場逆転
JRA福永祐一「ポテンシャルの高さでしょう」ご無沙汰モーリス産駒の大逆襲「マイル王」に俺はなる!? 本格化は4歳「春秋連覇」の共通点