
日本ダービー「30年ぶり」落馬の坂井瑠星に吉兆サイン!? ドゥラエレーデは宝塚記念(G1)を視野…ダービージョッキー予感させる偉大な先輩の足跡

タスティエーラがクビ差で制した今年の日本ダービー(G1)だが、ドゥラエレーデ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)と坂井瑠星騎手のコンビは、スタート直後に落馬、競走中止となった。昨年のホープフルS(G1)を優勝した実力馬ながら、前例のない臨戦過程とテン乗りが嫌われたのか、意外にも8番人気。低評価を覆したいところだったが、まさかの競走中止となってしまった。
「パトロールビデオを見る限り、あれだけ躓いて体勢を崩してしまっては坂井騎手もどうすることもできなかったと思います。こればかりは不運だったとしか言いようがないですね。
なお日本ダービーでの落馬による競走中止は1993年のマルチマックスと南井克巳元騎手以来、30年ぶりの事例となります」(競馬誌ライター)
31日に26回目の誕生日を迎える坂井騎手は昨年、スタニングローズと挑んだ秋華賞(G1)でG1初制覇。同年暮れには初コンビだったドルチェモアでも朝日杯フューチュリティS(G1)を優勝するなど近年、成長著しい若手騎手の1人だ。
今年初のG1レースとなったフェブラリーS(G1)も、テン乗りだったレモンポップで優勝。師匠である矢作芳人調教師による英才教育の効果は抜群で、全国リーディングでもトップテン入りするほどの腕前に成長した。G1・3勝のうち2勝をテン乗りで挙げた坂井騎手だけに、同じく初コンビだったドゥラエレーデにも、大仕事を期待したファンが少なからずいただろう。

また坂井騎手自身も、『スポーツ報知』の取材に「一番特別なレース。夢だし、ジョッキーになったからには一番勝ちたい」とダービーへの熱い想いを語っていた。初騎乗となった2020年は9番人気サトノインプレッサを好騎乗で4着に導いた。それ以来、2度目の騎乗だったのだが、何とも残念な結果に終わってしまった。落馬によって不完全燃焼でレースを終えてしまった坂井騎手の悔しさは、こちらの想像以上かもしれない。
しかし、見方を変えてみると今回の落馬が、吉兆のサインとなる可能性もあるという。
というのも、坂井騎手と同じくダービーで落馬による競走中止を経験した過去の先輩が、後にダービージョッキーに輝いていたからだ。
ダービージョッキー予感させる偉大な先輩の足跡
先述した南井騎手(元調教師)は落馬したダービーから約2ヶ月半後に行われた3歳新馬戦(当時)で名馬ナリタブライアンに出会うと、翌年には日本ダービーを含む牡馬三冠制覇を達成した。
また、1969年の日本ダービーでタカツバキに騎乗し、同じくスタートしてすぐに落馬してしまった嶋田功元騎手(元調教師)も、それから4年後に開催されたダービーをタケホープとのコンビで制しているのだ。
直接的な因果関係はないものの、坂井騎手はダービーで落馬を経験した2人の大先輩と共通点を持つことになる。
「タカツバキは単勝支持率44%を超える圧倒的な人気を背負っていました。それだけに落馬した嶋田騎手は相当悔しかったでしょう。幸い怪我などはなかったものの、レースが終わった後の調整ルームでは1人で泣いたようです。
なお嶋田騎手は現役引退後、調教師に転身。2012年に勇退しましたが、その際に『騎手時代に日本ダービーを1番人気で落馬したこと、その後、9番人気のタケホープで勝ったことは印象深いです』というコメントを残していました」(同)
坂井騎手もドゥラエレーデもダービーが終わった後、JRAから異常なしと発表されたのは不幸中の幸いだった。陣営の発表によれば、ファン投票で選ばれるようであれば、6月25日の宝塚記念(G1)を視野に入れつつ調整されるようだ。
ちなみに今週末の坂井騎手は、ドゥラエレーデと同じスリーエイチレーシングが所有するドルチェモアで安田記念(G1)への参戦を予定している。まずはここで期待のホープが名誉挽回の騎乗を見せてくれることを期待したい。
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