JRA昭和の競馬ファンが知る「残念ダービー」は“残念”ではない!? 実は“出世レース”のラジオNIKKEI賞(G3)で注目すべきは勝ち馬より2着馬?
有名なのが1977年、当時クラシック出走権のなかったマルゼンスキーは日本短波賞に出走。ダービー出走が叶わなかった怒りをぶつけるが如く、2着プレストウコウに7馬身もの差をつけて優勝した。マルゼンスキーはこの勝利を含めて8戦8勝、無敗で引退している。
ちなみに当日の中山競馬場には、マルゼンスキーを目当てに8万人近い観客が押し寄せたといい、単勝オッズは終始1.0倍。2着に退けたプレストウコウは、同年秋の菊花賞(G1)を制したことは、今でも語り草となっている。
さらに歴史を紐解くと、こうした外国産馬のクラシック出走制限が撤廃された2000年代以降も「残念ダービー」の面影は残っていた。
2002年のラジオたんぱ賞時代の優勝馬カッツミーから、最近の2018年優勝馬メイショウテッコンまで、なんと17年連続で、春の3歳G1レースに出走が叶わなかった馬が優勝。まさに“残念”なダービーとしての一面もあった。
ただ、皐月賞はもちろん、ダービーにも出走できなかったメンバーが優勝するとは、ラジオNIKKEI賞はいわゆる「低レベルな一戦では?」というと、決してそうではない。
1981年に出走したミナガワマンナは、ラジオたんぱ賞2着も、その秋に菊花賞制覇。1986年2着馬ニッポーテイオーは、古馬になってから1987年の天皇賞・秋とマイルCS(ともにG1)で勝利している。
1994年のラジオたんぱ賞では、ヤシマソブリンが優勝。2着には後に3度も安田記念(G1)に出走した、あのタイキブリザードの名があり、4着にはオフサイドトラップの名もある。
さらに2000年代に入っても、後に“大出世”を果たす馬を輩出している。
2004年2着馬のカンパニーが、後に8歳馬として史上初の平地G1制覇を果たすことを、当時は想像できただろうか。また2007年2着馬は、後にジャパンC(G1)を制するスクリーンヒーローだ。
極めつけは2018年、こちらも2着馬のフィエールマンだろう。同年の菊花賞を制覇した後も大活躍。昨年の天皇賞・春(G1)を制した姿は記憶に新しい。
こうした傾向から、近年のラジオNIKKEI賞では優勝馬よりも「2着馬」の方が後に活躍している印象がある。
もはや“残念”なダービーではなく、立派に「出世レース」としての地位を築きつつあるラジオNIKKEI賞。果たして今年の出走馬から、どんなサクセスストーリーが生まれるのか。2着馬はもちろん、全ての出走馬の秋以降の走りにも注目してほしい。(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。
PICK UP
Ranking
17:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- JRA天皇賞・春(G1)エタリオウの「扱い」が鍵? 「最強コンビ」桃井はること楠原安里梨が占う平成最後の聖戦
- 【NHKマイルC】“アスコリピチェーノVSジャンタルマンタル”仁義なき社台グループの頂上決戦に決着をつける不気味な伏兵!
- 【日本ダービー】「芝未勝利馬」の参戦視野に懐疑的な声? 無傷の4連勝でダービー挑戦も「シンガリ」に敗れたサクセスブロッケンの記憶
- 【NHKマイルC】ファンの興味は「15番枠」が1番人気?固唾をのんで待つ運命の枠順発表…ただの偶然で済まされない「幸運」を手にするのはどの馬か
- JRA矢作芳人調教師「馬場のことは、いつも棟広に聞いているぐらいだから」ジャパンC(G1)にコントレイルを出走させる名伯楽も信頼!『KEIBAコンシェルジュ』棟広良隆氏【特別インタビュー】
- 競馬・パチスロ「勝ちまくり」の無双モード!?「キャプテン渡辺」が濃厚すぎる上半期を振り返る!!【特別インタビュー】
- 【NHKマイルC】父は名マイラー、母もマイルG1馬の「黄金血統」、前走惨敗で評価急落も…注意しておきたい激走候補2頭
- 【宝塚記念】今年のグランプリは「超ハイレベル」の一戦?リバティアイランド、ドウデュースら「最強メンバー」が激突も
関連記事
JRA岩田康誠ついに「干され」始めた!? ラジオNIKKEI賞(G3)で「重賞100勝&全10場重賞制覇」にWリーチで出るか“挑発”ガッツポーズ
JRA “最有望株”嶋田純次は「崖っぷち」!? 競馬学校“不運”の27期生が続々ブレークも…… ラジオNIKKEI賞(G3)アサマノイタズラで「重賞初V」なるか
JRA【ラジオNIKKEI賞(G3)展望】皐月賞(G1)「最下位」の雪辱狙うアサマノイタズラVS NHKマイルC(G1)4着リッケンバッカー!
CBC賞(G3)ヨカヨカに続け! 2021年九州産馬の注目馬6頭
JRA「3歳賞金ベスト100」から見る名門厩舎の明暗! ドゥラメンテ&モーリスの堀厩舎がまさかの「全滅」……二冠・手塚厩舎&ソダシ須貝厩舎が大躍進! 2歳王者グレナディアガーズ中内田厩舎の意外な事実