JRAジャパンC(G1)「4頭のダービー馬を格付けチェック」まさかのマカヒキ>コントレイル>>>>>シャフリヤール>超えられない壁>ワグネリアン?
いよいよ今週は、大一番ジャパンC(G1)だ。
日本からはコントレイル(牡4)、シャフリヤール(牡3)、マカヒキ(牡8)、ワグネリアン(牡6)と4頭の日本ダービー馬が出走。さらにキセキ、ユーバーレーベン、オーソリティ、アリストテレスといった実力馬が揃い、海外からはジャパン、ブルーム、グランドグローリーが来日。
ジョッキーもハイレベルで、C.ルメール、M.デムーロ、川田将雅、福永祐一、武豊、横山武史、戸崎圭太、池添謙一、横山典弘が参戦。そして久々の短期免許となるR.ムーア、C.デムーロの二人も来日し、まさにこの秋最大級の注目レースと言っていいだろう。
中でも4頭の日本ダービー馬が出走するのは史上初であり、JRAの歴史においても大きな意味がある。仮に来年で4頭のダービー馬を揃えるには、このレースで引退となるコントレイルを除き、シャフリヤール、マカヒキ、ワグネリアンの3頭が来年も現役を続け、来年の日本ダービー馬が出走と極めて高いハードルとなっている。それだけにこの4頭の共演は是非目に焼き付けておきたい。
そしてファンとしても、この4頭の“格付けチェック”は重要なポイントだ。人気上位のコントレイルとシャフリヤールはともかく、マカヒキとワグネリアンは買いかどうかを見極める必要があるだろう。
そこでそれぞれの能力や世代レベル、過去の傾向などを比較しダービー馬ランキングを作成した。
■日本ダービーの内容
まずは単純に日本ダービーのレース内容だ。まずはひとつの基準として検証したい。
2016年 マカヒキ 2分24秒0 33秒3(良)
2018年 ワグネリアン 2分23秒6 34秒3(良)
2020年 コントレイル 2分24秒1 34秒0(良)
2021年 シャフリヤール 2分22秒5 33秒4(良)
馬場の違いはあるものの、シャフリヤールの2分22秒5、そして上がり33秒4は別格。2番手は上がり33秒3を記録したマカヒキの内容が良く、3番手評価は少し離れてコントレイル。最後のワグネリアンは23秒台ではあるが、上がりは18頭中6番目タイなので、あまりアピールできない。なお4頭とも父はディープインパクトで、ノースヒルズ生産のコントレイル以外の3頭はノーザンファームの生産馬だ。
△コントレイル
○マカヒキ
○シャフリヤール
×ワグネリアン
■世代レベル
次にそれぞれの世代の強さを見てみよう。対象は各世代で有馬記念、宝塚記念、大阪杯、天皇賞・春、天皇賞・秋、ジャパンCの古馬中長距離G1レースを勝利した馬。
まずマカヒキ世代は、サトノダイヤモンドが有馬記念、レインボーラインが天皇賞・春、ミッキーロケットが宝塚記念を勝利。ちなみに日本ダービー4着エアスピネルは来週のチャンピオンズC(G1)に出走する。
ワグネリアン世代は、ブラストワンピースが有馬記念、フィエールマンが天皇賞・春を2連覇。
コントレイル世代は同馬が抜けた実績だが、同馬は菊花賞を最後に3戦3敗。そして世代ナンバー2の評価を集めるサリオスは古馬G1未勝利。牝馬のレイパパレぐらいしか古馬混合G1を勝利しておらず、レベル的に疑問を感じるところ。
最後にシャフリヤール世代は、天皇賞・秋をエフフォーリアが快勝。検証距離外のスプリンターズSをピクシーナイトが勝利するなど、マイルCSで2着のシュネルマイスターや白毛のソダシも含めて世代レベルは近年屈指といわれている。
4頭の世代レベルを考えると、シャフリヤール世代が1番手で2番手はマカヒキ世代。そしてワグネリアン世代、コントレイル世代と続く。
×コントレイル
○マカヒキ
○シャフリヤール
△ワグネリアン
■日本ダービー後の成績
次にそれぞれの日本ダービー後の成績を見てみよう。マカヒキは前走の京都大賞典(G2)が約5年ぶりの勝利。日本ダービー後は19戦して【2.1.2.14】で勝率10.5%・連対率15.8%。ジャパンCは3度出走して4・4・9着となっている。
ワグネリアンは日本ダービー後に10戦して1勝。【1.0.2.7】で勝率・連対率ともに10%。ジャパンCは2019年に出走して3着となっている。上がり33秒台の脚を最後に記録したのは3歳時の弥生賞なので、時計勝負には不安が大きい。
コントレイルは菊花賞勝利後にG1を3戦3敗だが、【0.2.1.0】の内容で天皇賞・秋とジャパンCが2着、大阪杯3着なので未勝利とはいえ上々といえよう。
シャフリヤールは日本ダービー後の前走神戸新聞杯(G2)が4着で案外な内容。その神戸新聞杯でシャフリヤールに先着した3頭は、いずれも菊花賞で馬券にも絡めていない。神戸新聞杯は不良馬場が合わなかったとはいえ、負けすぎな印象は否めない。
○コントレイル
○マカヒキ
△シャフリヤール
×ワグネリアン
続いてジャパンC特有のデータをもとに、過去10年の傾向からより勝つチャンスが大きい馬を探る。
■年齢
勝ち馬の年齢は牡馬は4~5歳、牝馬は3~5歳となっており、6歳以上の勝利は2003年のタップダンスシチーまで遡る。また3歳牡馬の勝利も2010年のローズキングダムが最後だ。このデータからコントレイル以外はアウト。
○コントレイル
×マカヒキ
×シャフリヤール
×ワグネリアン
■キャリアと実績
さらにレース経験は6戦以上が必要。レース数が少ない馬の出走は少ないが、やはりある程度のレース経験はプラスであってマイナスではない。そして勝利数も最低でも4勝以上が必要となり、キャリア5戦で3勝のシャフリヤールにとってマイナス要素。
○コントレイル
○マカヒキ
×シャフリヤール
○ワグネリアン
■ローテーションと前走着順
続いてローテーションを見てみると、前走は京都大賞典、秋華賞、天皇賞・秋のいずれか。そして京都大賞典なら3着以内と馬券に絡んでいることが重要だ。ここではシャフリヤールとワグネリアンが減点となる。
○コントレイル
○マカヒキ
×シャフリヤール
×ワグネリアン
さて上記の各項目を踏まえて格付けチェックをしてみよう。
マカヒキ ○○○×○○
コントレイル △×○○○○
シャフリヤール ○○△×××
ワグネリアン ×△××○×
1位は意外にもマカヒキ。前走の京都大賞典が久々の勝利となったが、あのレースで一気に格付けが上がった印象、年齢は懸念材料だが格付け1位としたい。
2位コントレイルは世代レベルの疑問が足を引っ張っている印象。3位シャフリヤールはキャリアや前走、ローテーションが大きくマイナス。4位ワグネリアンは残念ながら推せる要素がほぼなく、苦戦は必至というところ。
以上、ジャパンCに出走する4頭のダービー馬を比較してみたが、この4頭以外にも有力馬は揃っており、ダービー馬が全滅する可能性も少なくない。しかしながらデータ的にこの4頭の中でもっとも魅力的なのは、コントレイルでもシャフリヤールでもなくマカヒキという結果が出た。馬券候補の1頭に加えてみてはいかがだろうか。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。
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