JRA チャンピオンズC(G1)カフェファラオ「切り札」導入は諸刃の剣?C.ルメール好感触もサリオスで思い出される「苦い思い出」
5日、中京競馬場でダート王決定戦のチャンピオンズC(G1)が行われる。同レースが初のダート戦となる白毛馬のソダシをはじめ、昨年の覇者チュウワウィザード、6月の帝王賞(G1)を快勝したテーオーケインズなどが上位人気を形成している模様だ。
そんななか、今年G1を勝ちながらも現在単勝10倍以上の伏兵に留まっているのが、今年のフェブラリーS(G1)優勝のカフェファラオ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。
9戦5勝と、レースへ出走すれば半分以上は勝っている強さの持ち主。昨年は無敗でダート3歳馬の登竜門と言われるユニコーンS(G3)を制するなど、早くから能力の高さが際立っている外国産馬だ。
しかし、敗れた4戦は全て4着以下。その中には、2番人気と高い支持を得るも6着と完敗した昨年の同レースも含まれている。ピンかパーの印象は否めず、7月の函館記念(G3)以来と臨戦過程もファンの中で引っかかっているのか、人気は今一つのようだ。
そのカフェファラオだが、今回勝てば2017年のゴールドドリーム以来の史上7頭目となるダートG1統一制覇を達成することになる。偉業を成し遂げるためにも、今回は負けられない一戦となるだろう。そこで陣営はカフェファラオへとっておきの「切り札」を切る姿勢を見せている。
その切り札とは「ブリンカー」だ。
ブリンカーは馬具の一種で、合成ゴムやプラスチック製のカップで作られている。一般的にメンコの目穴部分に取り付けて視界の一部を直接遮ることで、馬の意識をレースや調教に集中させ、周囲からの影響に惑わされずに走らせる効果がある。
1週前追い切りでブリンカーを装着したカフェファラオは、素晴らしい動きを披露。レースでも騎乗するC.ルメール騎手が「ブリンカーを着けて一生懸命走ってくれた。走り方、手前の替え方も良かった」と、『デイリースポーツ』の取材で回答しており、効果は早速表れているようだ。
「カフェファラオは2走前のかしわ記念(G1)で敗れた際、ルメール騎手が『スタートからあまり進みませんでした』と、行きっぷりの悪さを指摘していました。
調教を見る限りブリンカーの効果はありそうです。チャンピオンズCがどういう結果であれ、かしわ記念のような負け方は無いような気がしますよ」(競馬記者)
一方、別の記者はブリンカーがカフェファラオにとって「諸刃の剣」となってしまうのでは、と懸念している。
「堀師は1週前追い切りについて『ブリンカー着用で気持ちが高ぶったのか、息遣いが悪かった』と話しており、ブリンカー効果が出過ぎている気がします。
枠順は前に馬を置いて折り合いを付けることが難しいとされている大外16番ですから、引っ掛かってしまうなんてことも……」(別の競馬記者)
堀厩舎とブリンカーで思い出されるのが、先月のマイルCS(G1)へ出走したサリオスだ。
サリオスはこのレースでブリンカーを初めて装着したが、結果的に前年を下回る6着に敗れた。元JRA騎手の安藤勝己氏は「ブリンカー効いてて、展開と相まって引っ掛かった」と、馬具の逆効果を敗因の1つに挙げている。
果たして「切り札」を身につけて走るカフェファラオは、4年ぶりの統一ダート王になれるのか。それとも、僚馬サリオスの二の舞を踏んでしまうのだろうか。前者が現実に起こることに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
JRAチャンピオンズC(G1)コントレイルの矢作芳人厩舎に「大番狂わせ」の期待、波乱の立役者のキーワードは「○○は○○でも」
JRA【チャンピオンズC(G1)展望】純白の女王ソダシがダート界に殴り込みも苦戦必至!? “連覇”狙うチュウワウィザード、カフェファラオが巻き返しへ!
JRA「距離と芝は大丈夫」C.ルメールは合格点も……、カフェファラオ「追試」に課題は盛り沢山! 函館記念(G3)で露呈したのは芝適性よりも深刻な問題
JRA 武豊「兄弟コンビ」の函館記念(G3)制覇に自信の「◎」! 昨年は三連単「300万円超え」ダートG1馬カフェファラオ参戦で今年も大混戦必至
JRAカフェファラオは出てきても「消し」で問題なし!? 白毛のアイドルソダシと対決の可能性も…… はたして函館記念(G3)に挑戦する意味はあるのか