
JRA皐月賞(G1)C.ルメール「勝つ自信あります」イクイノックス惜敗直後の逆襲!屈腱炎から復活した「遅咲きの大器」が長引くスランプ脱出の救世主となるか

17日、中山競馬場で行われた最終12RのサンシャインS(3勝クラス)は、C.ルメール騎手の1番人気パラダイスリーフ(牡6、美浦・木村哲也厩舎)が勝利。ハンデ戦とあって混戦模様だったが、蓋を開ければトップハンデを物ともせず堂々たる横綱相撲を披露した。
13頭立ての芝2500mで行われたレース。1枠1番からのスタートはやや出遅れるも、すぐに追い上げ道中は3番手を追走する。
後続を大きく離して逃げていたエターナルヴィテスが、4コーナー付近で一杯となりズルズルと後退していくなか、それを抜群の手応えで交わしながら最後の直線に入る。
馬場の真ん中から先に抜け出しを図ったブレークアップを、残り200mを切った辺りで交わし、ゴールまでそのまま押し切った。
レース後、鞍上のルメール騎手は「勝つ自信がありました。良いポジションを取れて、ずっと冷静に走ってくれました。距離も馬場も合っていました」と振り返り、「上のクラスでも良い競馬をしてくれると思います」と先々も期待できるコメントを残した。
ひとつ前の皐月賞(G1)で3番人気のイクイノックスに騎乗し、惜しくも2着に敗れていたルメール騎手。奇しくも同じシルクレーシング所有馬で、最後は逆襲とばかりに鮮やかな勝利でこの日を締め括った。
「遅咲きの大器」が長引くスランプ脱出の救世主となるか
これで晴れてオープンクラス入りとなったパラダイスリーフは、実は6歳ながらキャリア7戦の遅咲きだ。2019年の皐月賞馬サートゥルナーリアや昨年の安田記念(G1)を制したダノンキングリーらと同期で、全兄には重賞を2勝したゼーヴィントがいる血統だ。
デビューは3歳になってからと遅かったが、鋭い末脚を武器に新馬戦と2戦目の新緑賞(1勝クラス)を連勝。古馬との初対戦となった3戦目の信濃川特別(2勝クラス)では、スタートで出遅れるも3着に好走し実力を示していた。
クラシック出走は叶わなかったものの、将来を期待する声も多かったなか、その後に屈腱炎を発症して長期離脱を余儀なくされる。復帰の目途が立たないまま、競馬ファンの間でも忘れかけられていた昨年の9月、約2年ぶりの実戦となったジャングルポケットC(2勝クラス)を完勝。当時手綱を取った横山武史騎手が「かなり強いです」と興奮気味に語ったほどの逸材だ。
その後、同クラスで3着、2着と惜敗が続くなか、今回は距離を延ばして2500mに挑戦となったわけだが、それも全く問題にしなかった。元々スタミナ面には心配がなく、今回の勝ち時計2分32秒8は好タイム。長距離はむしろ歓迎といえるだろう。
ここまでの戦績は全て3着以内で、大怪我から復帰しても堅実さは変わらず。2年ぶりの復帰戦となった2001メモリアル・ジャングルポケットC(2勝クラス)以外の6戦は、全て1番人気に支持されていることからも、この馬に対する期待の高さが窺える。
思い返せば、兄のゼーヴィントも屈腱炎を発症し、そのまま復帰できずに引退に追い込まれた過去がある。そんな兄の分まで、大怪我を乗り越え復活した「遅咲きの大器」が、今後は不調が続くルメール騎手の“救世主”となるかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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