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JRA迷走サリオス「激変」に3つの伏線!? D.レーン「ベストの競馬が出来た」…連敗続きの実力馬はなぜ復活したのか

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サリオス

 5日、東京競馬場で開催された春のマイル王決定戦・安田記念(G1)を制したのは、4番人気ソングラインと池添謙一騎手のコンビ。ハナ差の2着に泣いた昨年のNHKマイルC(G1)から1年、これが嬉しい初G1制覇となった。

 池添騎手が「スムーズさを優先して引いて位置取りが悪くなりました」と、レース後に悔やんだヴィクトリアマイル(G1)は不完全燃焼の5着。内枠で窮屈な競馬を強いられた前走に対し、今回は7枠13番の外枠を引けたことも功を奏した。思い切りのいい騎乗で、外から存分にパートナーの末脚を引き出した好騎乗といえるだろう。

 ゴール前で接戦を繰り広げたソングライン、シュネルマイスターの激闘も素晴らしかったが、3着に入ったサリオス(牡5、美浦・堀宣行厩舎)も、久々に“らしさ”が見られた好走ではなかったか。

 2019年の朝日杯FS(G1)を優勝した2歳マイル王は、無敗で三冠を制したコントレイル世代の1頭だ。翌春のクラシック二冠でともに2着に入り、世代NO.2の評価を受けながら、同年秋の毎日王冠(G2)勝利を最後に連戦連敗。ライバルのコントレイルはすでにターフを去り、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)で2着に導いたD.レーン騎手とのコンビでも、キャリア最低の8番人気まで評価を落としていたのが、今年の安田記念である。

 結果的に3着に敗れたとはいえ、勝ち馬からクビ→アタマの僅差でタイム差なし。新ためて同馬の底力に驚かされたファンも少なくなったはずだ。

「いいポジションでリズムよく運べたし、手応えもよかった。力を出し切ってくれたし、ベストの競馬ができたと思う」

 レース後のコメントでそう振り返ったレーン騎手に続いて、元JRA騎手の安藤勝己氏も「サリオス、シュネルマイスターは地力やね」と評価した。

 ではなぜ、高松宮記念(G1)で15着に惨敗していた馬が、勝ち負けを演じられるほどに一変したのか。

迷走サリオス「激変」に3つの伏線

 言葉を話すことが出来ない競走馬相手だけに、はっきりとした理由は分からないものの、推測可能な要因は3つほどある。

 まず一つ目は、安田記念を含めて【1.2.2.0】の好相性を誇るレーン騎手が騎乗したことだろう。2年ぶりの来日となった今年は、期待されたほどの成績を残せていなかったが、前日土曜の鳴尾記念(G3)をヴェルトライゼンデで制し、待望の今年重賞初制覇。これにより、手綱を取ったレーン騎手も気分よく大一番に臨むことが出来ただろう。

 2つ目は、芝1200mの高松宮記念から得意のマイル戦に戻ったことだ。サリオスの距離適性が中距離と論じていた安藤氏は、「ずっと言ってきたとおり」と、スプリント戦を選択して大敗した陣営を一刀両断していた。重馬場も影響しただろうが、さすがに忙しかった。

 3つ目は、もしかしたら太目残りで使われ続けていたのではないかという疑惑だ。パドックで528キロと発表されたサリオスの馬体は、22キロ減と大幅にダイエットした数字。この「激やせ」がいい意味で刺激になった可能性も少なからずあるのではないか。

 528キロの馬体重は偶然とはいえ、2年前の日本ダービー出走時と同じ。大型馬ではあるが、これくらいの体重の方が合っているのかもしれない。

「暑さにあまり強くないので、前走のときより大幅に馬体は減っていますが、帰厩当初よりカイ食いが良くなっていますし、毛艶もピカピカです」

 陣営の説明によると、大幅な馬体減には暑さも関係しているらしいが、状態はむしろよかったらしい。

 サリオス陣営にとって残念なのは、頼みのレーン騎手が宝塚記念(G1)の行われる6月26日までの滞在で帰国するため、またしばらくコンビ復活がなさそうなことだ。

 いずれにしても、低迷していた実力馬の復活劇は、これからのG1戦線を大いに盛り上げてくれるに違いない。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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