小倉2歳Sに「幻の勝ち馬」の存在!? 解散まで1年半の名スプリンター養成厩舎に最後の大物登場か
4日、小倉11Rで行われた小倉2歳S(G3)は4番人気のロンドンプラン(牡2歳、栗東・宮本博厩舎)が勝利した。発走直前に蹄鉄が外れて打ち替えを行った影響からかスタートでは大きく出遅れたが、不利をモノともせずに馬場の外目から馬群をまとめて差し切った。ロンドンプランの上がり3Fのタイムは33.1秒と次点を1.1秒も上回っており、その素質には疑いようがないだろう。
しかし、そのさらに1馬身前でゴールしたかもしれない馬が存在するのだ。
その名はペースセッティング(牡2歳、栗東・安田隆行厩舎)。小倉2歳Sと同日の未勝利戦で勝利した馬で、その勝ちタイム1:07:9は、小倉2歳Sより0.2秒も速い。一般的に0.2秒=1馬身といわれているため、1馬身前でゴールしたともいえるだろう。
こうしたタイム比較は、よほど条件が揃わない限り眉唾ものであるが、今回比較した2レースはかなり近い条件だったため、説得力は増す。
まずは馬場状態だ。同日の同コースでの開催であり、中間の降雨もなかったため大きな差はないだろう。続いてペースだが、ペースセッティングの未勝利戦は前半3ハロンが32.9秒、小倉2歳Sが33.2秒であった。後者がやや遅いが、相対的にはともにハイペースの部類で大差ないといえる。そして2頭が背負った斤量も54キロと同じである。
これらの要素から、ペースセッティングのパフォーマンスが、重賞級だったと考えても良さそうだ。
ちなみに、小倉2歳Sでは前半にハイペースを刻んだ逃げ・先行馬が総崩れし、馬券圏内3頭は差し・追い込み馬が独占する形となった。対するペースセッティングは32.9-35.0のラップで逃げ切りを決めており、そのスピードの持続力は相当かもしれない。
レースで騎乗した坂井瑠星騎手は「どういう勝ち方をするかというレースでしたが、スピードの違いで押し切ってくれました。まだ課題は残っていますが、持っているものはかなりのものがあると思います」とその素質に太鼓判を押した。
2着馬の松山弘平騎手も「今日は相手が強かった」と完敗を認めており、ペースセッティングに3馬身離された2着馬以下の面々は不運だったとしかいいようがないだろう。
名スプリンター養成厩舎に最後の大物登場か
本馬が将来有望な若駒であることは数字から見えてきたが、もう一つ注目したいのは同馬の所属厩舎だ。安田隆行厩舎はロードカナロアを筆頭にカレンチャンやダノンスマッシュなど名スプリンターを多数輩出している名門。これまでに積み上げたスプリントG1のタイトルは9つ(海外含める)にのぼる。
そんな短距離王の名伯楽も定年に伴う引退が24年2月と、約1年半後に迫っている。来年デビューの世代ではスプリントG1に挑戦することができず、現役馬を除けば今年の2歳馬が挑戦資格を持った最後の世代なのである。
厩舎の現役馬でスプリント重賞を勝っているのは高齢のダイアトニックだけと、G1に手が届きそうな馬は少なく思える。“実質重賞勝ち”といえそうなパフォーマンスで鮮烈なアピールをした2歳馬が短距離王の切り札となれるだろうか。
スプリントG1制覇のチャンスは国内戦に限れば来年のスプリンターズS1回きりだが、注目して追いかけていきたい。
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