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武豊と歩んだ「最強世代」の元相棒が挑む大記録…波瀾万丈ホースに偉業達成の期待

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柴田善臣騎手

「達成できて良かったです。皆さまにご迷惑をお掛けしながら、そしてここまで支えられながら、長く乗ることができていると思います」

 5日の福島1Rをビルカールで制し、岡部幸雄元騎手が保持していたJRA史上最年長記録を14日更新する、56歳3カ月7日での勝利を万感の思いを語ったのは柴田善臣騎手。今春には黄綬褒章を受章した大ベテランの偉業達成に湧いた競馬界だった。

 柴田善騎手の偉業に続けと史上初の大記録に挑むのは、競走馬のベテランであるエアスピネル(牡9歳、栗東・笹田和秀厩舎)だ。本馬は2016年クラシック世代の出身で、既に種牡馬入りした同世代のサトノダイヤモンドやシルバーステートの産駒が次々デビューする中でも現役を続け、年齢は9歳に達している。

 今ではダートを主戦場にするエアスピネルだが、キャリア前半は芝のレースでクラシック候補の一角を担った。新馬戦とデイリー杯2歳S(G2)を連勝して迎えた朝日杯FS(G1)では単勝オッズ1.5倍の圧倒的人気に支持された逸材である。

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武豊騎手

 武豊騎手の平地G1完全制覇という夢を背負って走った大一番は、最後の直線を楽な手応えで抜け出すも、外から強襲してきたリオンディーズの猛追に屈して2着。あと一歩のところで勝利をさらわれた武豊騎手が、M.デムーロ騎手のことを「空気の読めないイタリア人がいたもんで……」といじったコメントが印象に残っている方も多いだろう。

 その後クラシック路線に進んだエアスピネルは皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)で4着、菊花賞(G1)で3着に善戦した。ディーマジェスティ、マカヒキ、サトノダイヤモンドと王者が次々入れ替わり、その層の厚さから“最強世代”とも呼ばれた2016年世代。その中で名手・武豊騎手と共に第一線で戦い続けたエアスピネルは紛れもなく主役級の1頭だった。

 古馬になってからは芝マイル路線に進み、富士S(G3・当時)制覇やマイルCS(G1)2着などの実績を積み上げたエアスピネルに転機が訪れたのは7歳の夏。G1や重賞で活躍した馬ならとうに引退しておかしくない年齢になっても、G1戦線で存在感を見せた。

波瀾万丈ホースに偉業達成の期待

 初ダートのプロキオンS(G3)では2着に好走。そして翌年、つまり昨年のフェブラリーS(G1)では9番人気の評価を覆し8歳ながら2着に大健闘。そんな波瀾万丈の競走生活を送ってきたエアスピネルが挑むのが、柴田善騎手と同じ“最年長勝利記録”だ。

 重賞の最年長勝利記録として真っ先に思い浮かぶのは今年4月の中山GJ(G1)を11歳で制したオジュウチョウサンだろうか。同馬の記録はJRA所属馬の最年長重賞勝利だが、海外馬では10〜12歳時に中山GJを3連覇した豪州のカラジという馬がいる。

 平地重賞というくくりではトウカイトリックがステイヤーズS(G2)をアサカディフィートが小倉大賞典(G3)をそれぞれ10歳で勝利している。

 そして、今回エアスピネルが挑戦するのが、「ダート重賞」の最年長勝利記録だ。ダート路線では年齢を重ねて活躍する馬も多いが、意外にもこれまでの最年長勝利は8歳。2020年アンタレスS(G3)のウェスタールンドなど7頭が達成している。

 つまり、9歳のエアスピネルが今週出走する武蔵野S(G3)で勝利すれば一気に単独トップに立つわけだ。下馬評はそれほど高くないとはいえ、“全馬未到”の大記録を達成するとしたらここしかないという見方もできる。エアスピネルは武蔵野Sに2年連続で出走して3着→2着と好走。同じく東京ダート1600mで行われるフェブラリーSでも2着に来ている得意条件なのだ。

 近走の成績は奮わないが、前々走のさきたま杯は勝ち馬と0.2秒差の4着で入線。あと一押しで重賞タイトルに手が届く力は持っているといって良いだろう。

 もし今回のレースを勝てば、重賞勝利自体も4歳時の富士S以来5年ぶりのこと。ダービー優勝という頂点に到達しながら挑戦をやめなかった同期のマカヒキもついに先日引退し、同世代のクラシック出走馬で現役(JRAに限る)を続けている最後の1頭となった。

 エアスピネルにも引退の時は確実に迫っている。波瀾万丈な戦績の締めくくりに相応しい大偉業を達成し、長きに渡り走り続けたことが報われてほしいものだ。

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