エフフォーリア、タイトルホルダーは消し? イクイノックスの仕上がりもズバリ! 競馬評論家・鈴木和幸のJRA有馬記念【最終追い切り診断】
●鈴木和幸の第67回有馬記念注目馬の最終追い切り診断
いよいよ週末に迫ったグランプリ。出走馬の中から特に気になった馬の最終追い切り診断をお届けする。
おそらく1番人気になるであろうイクイノックス。
天皇賞・秋(G1)制覇後はこの疲れをとることに専念、ここに向けての初時計12月4日、すでに長短5本の時計を出している。先週14日には長め7Fから95秒9-38秒3-11秒9を併せ馬でマークし、順調さをアピール。ならば今週は単走、軽めと思いきや……意欲むき出しの3頭併せの中、5Fからの時計を出してきた。さすがに強く追うようなことはせず、鞍上もルメールではなく助手、感触を確かめた程度だ。このため67秒2-37秒6の時計でしかないが、ゴール前は抑えきれないような勢いでラスト1Fは11秒3の速さだったし、2頭の間からクビほど抜け出てのゴール。何もかもが青写真通り、天皇賞前と比較しても劣るところは何一つなく、むしろ馬体の張りはひと叩きされたおかげで増した様子。3歳馬が古馬相手のG1を連勝できる状態と断言したい。
ここ6戦、メンバー最速の上がりをマークしているヴェラアズール。
ジャパンC(G1)を含めた3連勝の反動が心配されたが、14日のウッド6F83秒0-37秒4を見る限り疲労残りは感じられない。今週も馬なりでウッド6F82秒9-37秒0-11秒5を単走で。この時計は前走時と大差がなく、すこぶる順調と見てよかろう。ただ、これは私個人の見方だが、姿勢が高いフォームなので迫力は伝わってこなかった。
ここ2戦の大敗が気になる昨年のグランプリホース・エフフォーリア。
14日の1週前追い切りを見ると、併走先着、1F11秒3をマークして急ピッチで復調してきたようだ。ただ、今週の3頭併せ馬はウッド6F85秒台のいかにも上がり中心、横山武史騎手の仕掛けの反応もイマイチだった印象も。昨年の天皇賞・秋→有馬記念(G1)の前はうなって走っていた記憶があるので、完全復調まではどうか。
C.デムーロがG1馬に導いたジェラルディーナ。
大仕事をやってのけたあとは、さすがに上がり中心の馬なりに終始している。しかし、2本の時計はどちらも1F11秒台、鋭さは失われていない。今週は直線併せの馬に1馬身先着の6F86秒1-38秒3、順調さは誇示できてもさらなる体調アップとまではいかず、牡馬勢の厚い壁はそうは簡単には破れまい。
クラシック3冠を経験、最後の菊花賞(G1)で最高の3着したジャスティンパレス。
その前の神戸新聞杯(G2)を勝っているので、この秋最高の上がり馬かも知れない。今週も意欲の3頭併せ、2頭の間を割って出て6F82秒5ー36秒4-11秒4をマーク、さらに一段と仕上げが進み、デビュー以来の最高で臨む有馬記念というわけで、何やら穴の匂いが漂い始めてきた。
凱旋門賞(G1)大敗帰りのタイトルホルダー。
ここまでに長短10本の時計を出してきたが、特別にハードなものはなく、そこに物足りなさが残る。今週の最終追い切りは形こそ5Fからの3頭併せだがテンの2Fが16秒7、14秒3と遅く、牝馬のような上がりだけの内容。ゴール前は勢いで中の馬に負けていたし、決して褒められた内容には私には映らなかった。凱旋門賞が2.4秒もの大差負け、このショックからはまだ立ち直れていない気がする。
ディープボンドも凱旋門賞で同じくらいの大敗だ。
こちらは11月27日から時計を出し始めたが、15日の1週前追い切りでは併走の格下馬に先着したもののゴール前の脚色は余力がなかった。タイトルホルダー同様に絶好調時のデキは取り戻せないでの出走になってしまうのではあるまいか。
4歳秋になって2連勝、ブレークアップがここにきてにわかに調子を上げている。
11月30日の時点で速い時計が出たところを見ると、その後の豊富な乗り込みともども本格化のゾーンに入った気さえする。前走勝ちは有馬記念と同距離の2500m、中山も3勝と得意。今週の追い切りは平凡だったが意識して控えたところがあり、穴に一票の価値はある。
前走、ジャパンCで17着とG1の壁にぶち当たってしまったボッケリーニ。
だが、このショックもなく元気の良さだけならどの馬にも負けない。3着突っ込みくらいの大混戦時の複穴に考えてもいいだろう。
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