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【フェアリーS(G3)展望】ダノンバラード産駒2頭が実績上位も不安要素あり!?

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 9日、中山競馬場では3歳牝馬限定戦のフェアリーS(G3)が行われる。あまり牝馬クラシックに直結するイメージのなかったレースだが、近年はスマイルカナ(20年1着)、ファインルージュ(21年1着)、スターズオンアース(22年2着)、ライラック(22年1着)などがここを飛躍のステップにしている。

 今年は26頭が特別登録を行ったが、2勝馬も例年以上にそろった。中でもキタウイング(牝3歳、美浦・小島茂之厩舎)が頭一つ抜けた実績を残している。

 新馬戦で4着に敗れた後の2戦目を新潟で勝ち上がると、連闘で挑んだ新潟2歳S(G3)で牡馬を蹴散らし、2連勝で重賞初制覇。その後はリフレッシュ放牧を挟むと、11月中旬から約1か月にわたって栗東に滞在し、大目標の阪神JF(G1)へと向かった。

 それまで控える競馬しかしていなかったキタウイングだが、ぶっつけで臨んだ2歳女王決定戦は、デビュー4戦目で初めての先行策。4~5番手の好位をキープしたまま、4角を回ったが、直線で力尽きて、14着に惨敗した。

 初タッグを組んだ和田竜二騎手は「1番の馬(サンティーテソーロ)が速くて前に空間ができてしまった。前に壁をつくりたかったので、もう一列後ろで運べた方が良かった」と、想定外の位置取りを悔やんだ。

 今回は鞍上に未勝利戦で勝利に導いた杉原誠人騎手を起用。持ち前の末脚を生かす競馬ができれば、人馬ともに重賞2勝目を挙げても不思議はないだろう。

 キタウイングと同じダノンバラード産駒のミシシッピテソーロ(牝3歳、美浦・畠山吉宏厩舎)は、デビューから木幡巧也騎手とのコンビで新馬、ダリア賞(OP)を豪快に差し切って連勝。3戦目のアルテミスS(G3)でも5番人気に支持されたが、ブービーの9着に敗れ評価を大きく落とした。

 そして迎えた前走・阪神JFは原優介騎手との新コンビ。18頭立ての16番人気と人気は全くなかったが、中団からしぶとく脚を伸ばして5着に健闘してみせた。

 G1初騎乗で掲示板を確保した原騎手に替わって、今回は昨年に自己最多の重賞4勝を挙げた鮫島克駿騎手にバトンタッチする。

 先述したようにキタウイングとミシシッピテソーロの父はダノンバラードだが、その産駒は福島・新潟といったローカルの平坦コースを得意としている一方で、中山・阪神といったゴール前に急坂があるタフなコースを苦手にしている。

 ミシシッピテソーロは前走の阪神JFである程度メドはつけたが、キタウイングはこれを覆すことができるか。桜花賞(G1)を目指すダノンバラード産駒2頭にとって今後を占う上でも重要なレースとなるだろう。

 同じ2勝馬でもメイクアスナッチ(牝3歳、美浦・武市康男厩舎)は、デビューから負け知らず。昨年8月の札幌2歳新馬(芝1200m)で勝ち上がると、同10月の東京1勝クラス(芝1400m)も勝利。重賞初挑戦での戴冠を狙う。

 過去2戦はどちらも逃げてメンバー中2位の上がり時計をマークしているようにスピードの持続力が武器。ただし、1200mでデビューしたようにマイルは距離の不安もある。

 実際、前走で初コンビを組んだ戸崎圭太騎手は「1400mはギリギリもちました」とコメントしており、距離克服は大きなカギとなる。

 ただし舞台は紛れのあるトリッキーな中山マイル。内々で脚を溜めてロスなく運ぶことができれば上位争いに絡んでもおかしくはないだろう。

 これ以外のJRA所属馬は全て収得賞金400万円の1勝馬で、出走には抽選突破が条件となる。

 1勝馬の中では、非凡な才能を持つヒップホップソウル(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)に注目が集まる。

 昨秋の中山芝マイルで行われた新馬戦を4馬身差で圧勝。2戦目のベゴニア賞(1勝クラス)でも1番人気に推されたが、逃げ馬を捉えきれず2着に惜敗した。

 本馬は血統も魅力だ。母は現役時代に短距離路線で活躍したダンスファンタジアで、2歳時には阪神JFで2番人気の支持を受けた逸材。12年前の当レースを勝っており、母仔制覇も懸かっている。

 この他には、京王杯2歳S(G2)で3着に入ったスピードオブライト(牝3歳、美浦・相沢郁厩舎)、同レース8着ながら上がり3ハロン最速を叩き出したエナジーチャイム(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎)、アルテミスSで3着に逃げ粘ったアリスヴェリテ(牝3歳、栗東・中竹和也厩舎)、同レース6着のディナトセレーネ(牝3歳、美浦・尾関知人厩舎)も重賞制覇を射程に入れている。

 すでに2勝を挙げている実績馬が勝つのか、それとも1勝馬が抽選突破の運を味方に下克上を果たすのか。出世レースとして定着しつつあるフェアリーSは、9日の15時35分に発走予定だ。

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