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横山典弘「ポツン」は東京新聞杯(G3)の布石!? 前走1番人気13着マテンロウオリオンが切れない理由

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 今週日曜日に行われる東京新聞杯(G3)は、安田記念(G1)やヴィクトリアマイル(G1)と同じ東京・芝1600mで行われることもあり好メンバーが揃った。

 NHKマイルC(G1)2着の実績を持つマテンロウオリオン、牝馬三冠で活躍したナミュール、毎日王冠(G2)2着で福永祐一騎手が騎乗するジャスティンカフェ、昨年のサマーマイルシリーズ王者のウインカーネリアン。さらにピンハイ、エアロロノア、ファルコニア、プリンスリターン、プレサージュリフト、オニャンコポンなど、この中の何頭かは安田記念やヴィクトリアマイルにも出走するだろうから、ファンにとっても重要なレースといえる。

 その中で馬券的に悩ましい存在がマテンロウオリオンではなかろうか。

 3歳時はシンザン記念(G3)を勝利し、ニュージーランドT(G2)とNHKマイルCで2着した。秋以降は一息の成績が続いており、特に前走の京都金杯(G3)は1番人気に支持されながら13着に大敗している。

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横山典弘騎手

 実績から能力があることは確かだが、悩ましいのは鞍上の横山典弘騎手が前走で見せた“ポツン騎乗”だ。

 ポツン騎乗とは横山騎手が時おり見せる、馬群から離れた最後方のポジションに留まる騎乗。そのまま直線まで待機することもあれば、道中動いてまくることもある。

 前走の京都金杯は好スタートを決めながら、最後方からの大外一気を選択。前が止まりにくい中京のマイル戦でありながら、代名詞であるポツン騎乗を敢行したのである。16頭中16番手、前を行くミッキーブリランテから10馬身以上離れた後方を追走。マイル戦でありながら、あまりの離れっぷりにファンのざわめきが競馬場に響く。直線に入って外に持ち出すと、一瞬伸びかけたところはあったものの、最後は横山騎手も諦めた様子で、手綱を緩めて13着に敗退した。同じ追い込み馬ながら、最内を突いて抜け出したイルーシヴパンサーとは対照的な結末だった。

 横山騎手といえば天才的な騎乗を見せる一方で、不定期に披露するポツン騎乗が議論を巻き起こしている。批判的な見方が多いが、すべてで結果が出なかったわけではない。

「前走1番人気13着」ポツンは今回への布石!?

 例えば2015年の天皇賞・春(G1)ではゴールドシップに騎乗し、最後方ポツンからまくり、一気に勝ち切って見せた。また2015年の京葉Sで騎乗したレーザーバレットは、中山ダート1200mで信じられないポツン騎乗。しかし大外一気で15頭を抜き去って勝利した。条件戦や特別戦を含めれば、こういった大胆な騎乗からの勝利は決して少なくない。

 勝てば神騎乗だが、負ければ非難を集めるのが勝負の世界。確かに京都金杯で1番人気を背負いながらもリスクの高いポツン騎乗は、ファンにとってショックだったかもしれない。しかし横山騎手からすれば、あの騎乗には何らかの意図があったのは明白。実際に他のレースでは、ポツン騎乗で惨敗を喫した次走で好走した例もある。

 2016年の日本ダービー(G1)は、ブレイブスマッシュに騎乗して驚異的なポツン騎乗を披露。道中離れた18番手を追走し、直線もまともに追わず18番手でゴール。明らかに距離に不安はあったとはいえ、あまりにも消極的な騎乗であった。しかし夏を休養に挟んだ秋の復帰戦(キャピタルS)は、最後方ではなく中盤後ろからの競馬となり、8番人気ながら3着に好走している。

 そもそもマテンロウオリオンの成績を振り返ってみると、あのポツン騎乗の謎も解けてくる。最も強烈なパフォーマンスを示したのは、2着に惜敗したNHKマイルCといっていいからだ。

 このレースで横山騎手は、スタート直後に控える戦術を選択。18頭立ての17番手を追走した。最後方18番手を進んだ武豊騎手騎乗のジャングロとともに馬群から離れており、ほぼポツンといっていい状況。直線で大外から追い込むと、上がり最速の豪脚で15頭をごぼう抜き。勝ち馬ダノンスコーピオンと同タイムの2着に好走したのである。

 NHKマイルC後のマテンロウオリオンは、日本ダービー17着、スワンS(G2)7着、マイルCS(G1)10着と結果が出なかった。そして前走の京都金杯を見ると、横山騎手の騎乗はNHKマイルCのリプレイを見ているかのようであった。つまり横山騎手はマテンロウオリオンの豪脚を引き出すために、あえてNHKマイルCで見せた戦術を取ったと考えられなくもない。

 マテンロウオリオンにとって春の最大目標は安田記念で間違いあるまい。そこで勝つために何をすべきか考えた場合、京都金杯同様に最後方からの大外一気のスタイルを貫くか、あるいはまったく別の選択肢を取るかだ。

 そこで思い出されるのが名牝ブエナビスタである。

 もともと安藤勝己騎手を主戦に後方から追い込む脚質だったブエナビスタだったが、横山騎手は先行脚質に変えて有馬記念(G1)2着、京都記念(G2)1着、宝塚記念(G1)2着に好走させた実績がある。そういった経緯を考えれば、天才・横山騎手がこのまま同じスタイルに固執するとは思えない。この東京新聞杯か、あるいは次の安田記念か、横山騎手が周囲をアッと言わせる競馬をしてくる可能性もある。

 そういった意味でも、前走の結果だけを鵜呑みにしてマテンロウオリオンを軽視するのは危険だ。横山騎手がどんな奇策を見せるか、その一挙手一投足から目が離せない。当然のことながら、この東京新聞杯もマテンロウオリオンを見限ることはできないのである。

仙谷コウタ

仙谷コウタ

初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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