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春の嵐は騎手界にも吹き荒れた!? 横山兄弟には追い風も…“先輩兄弟”には思わぬ逆風

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 高松宮記念(G1)の開催を終え、今週は大阪杯(G1)を控えている中央競馬。来週からは3歳馬によるクラシックレースが開幕する。桜の開花とともに春の訪れを実感することも増えてきた中、競馬界には“春の嵐”を感じさせる出来事が続々と起こっている。

 記憶に新しいのが、3月18日に厩務員らによって決行されたストライキである。JRAの厩務員と調教助手で組織された3労組(関東労、関西労、美駒労)と、その雇用主である日本調教師会の団体交渉が決裂。24年ぶりにストライキによる開催中止も心配された中、ストの決行と競馬開催が両立したことは大きな驚きを呼んだ。

 この件については、24日に行われた参院予算委員会でも話題に挙がり、岸田文雄首相が言及するというひと幕もあった。スト自体は19日に解除されているとはいえ、今後どういった形で着地を迎えるのかは注目を集めそうだ。

 さらに馬券を購入するファンにとっても、25日・26日の開催は悪天候もあって高配当が連発する嵐のような展開となった。26日に中京競馬場で行われた高松宮記念(G1)も、勝ったのは12番人気の低評価だったファストフォースで、3連単の配当は66万8280円という波乱の決着となり、WIN5の払戻金3848万5560円は今年ここまでの最高額となった。

 こうした流れを受けて迎えた3月の最終週。春の嵐は騎手界隈にも吹き荒れた。

 25日に行われた日経賞(G2)で9着に敗れたアスクビクターモアの陣営が、次走は横山武史騎手との新コンビで天皇賞・春(G1)に臨むことを表明。『東京スポーツ』によると、田村康仁調教師は「ジョッキーに非がないことはオーナーも僕も分かっていますが、気持ちを新たにしようということで」と語っているが、1勝クラスからコンビを組んで弥生賞ディープインパクト記念(G2)と菊花賞(G1)を制した田辺裕信騎手にとっては厳しい現実を突きつけられることとなった。

 一方で、横山武騎手にとっては願ってもないチャンスと言える。2021年には年間でG1を5勝するなど、大きな飛躍を遂げた期待の若手であるが、昨年はG1での勝利がなかった。今年はG1を3勝した相棒・エフフォーリアとの涙の別れもあっただけに、ここで燃えないはずはない。

 しかも、天皇賞・春には日経賞を連覇したタイトルホルダーも参戦予定で、そちらの主戦は兄の横山和生騎手。新たにオープンする「センテニアル・パーク京都競馬場」で迎える最初のG1レースの目玉が“兄弟対決”となれば、より一層注目を集めるに違いない。

 さらに、その横山和騎手にも幸運が舞い込んだ。昨年の朝日杯フューチュリティS(G1)を制している2歳王者・ドルチェモアの陣営が今後の方針を打ち出し、ニュージーランドT(G2)からNHKマイルC(G1)を目指すことを表明。同馬の手綱を任されることが決まった。

 もともとは新馬戦とサウジアラビアRC(G3)を横山和騎手とのコンビで連勝している本馬だが、前走の2歳G1では坂井瑠星騎手に乗り替わりとなっていた。しかし、その坂井騎手がコンティノアールとケンタッキーダービー(G1)に挑むことになったため、NHKマイルCの週は騎乗することができなくなった。その関係で元パートナーの手に戻ってくる形となった。

 そんな事情もあって、横山和騎手は4月30日の天皇賞・春にはタイトルホルダー、5月7日のNHKマイルCにはドルチェモアで参戦することが決定。かなり気は早いが、2週連続G1勝利も期待できる超強力なラインナップとなっている。

 こうした大きな動きに注目が集まった一方で、逆風が吹いた男もいる。

 それが木幡初也騎手だ。父は元JRA騎手の木幡初広氏で、2人の弟もJRA騎手という騎手一家の長男。横山家よりもひと足先に“兄弟競演”も果たし、2017年10月には史上初となる「3兄弟騎手による1~3着独占」という快挙が話題を集めたが、デビューから10年で未だ重賞勝利はゼロと苦しい戦いを強いられてきた。

 そんな中で出会ったのが、所属する竹内正洋厩舎の新星・シンリョクカだった。昨年10月に新馬戦で勝利を収めると、キャリア2戦目で臨んだ阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で12番人気という超人気薄ながら2着と激走し、波乱の立役者となった。

 その時に、テン乗りで好結果を残していたのが、他でもない木幡初騎手である。G1騎乗は2016年の阪神JF(エムオービーナス)以来、自身6年ぶり2度目の大舞台の騎乗だったが、そこで2着に食い込んだのは大きな収穫となったことだろう。3歳春シーズンの人馬の飛躍に期待は膨らんだ。

 ところが、シンリョクカは年明け早々に桜花賞(G1)に直行する方針を打ち出し、ここに来て収得賞金の関係で除外の可能性が浮上すると、皐月賞(G1)に向かうというプランも急浮上。『スポーツニッポン』の報道によると、竹内師は「どちらのレースを使うにしても吉田豊騎手の予定」と語っているという。

 吉田豊騎手といえば、シンリョクカが新馬戦を勝った時のパートナー。2戦1勝馬が勝利時の騎手に“手戻り”するというのは珍しいことではないが、初コンビのG1戦で2着という結果を残していただけに、木幡初騎手の乗り替わりは少々気の毒に思える

 嵐の中でスタートした2023年の春。横山兄弟のような追い風が吹く者もいれば、その陰には田辺騎手や木幡初騎手のように逆風を受ける者もいる。あとはその幸運を味方に、周囲の期待に応えて結果を残すことができるか。または逆風を耐えしのいだ男たちの逆襲があるのか…。春のG1戦線はそんな“騎手たちの事情”にも注目して見ていきたい。

GJ 編集部

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