【中山GJ(G1)展望】かつてのクラシック候補が「ポスト・オジュウチョウサン」へ、4250mの過酷レースに挑戦!
皐月賞(G1)が行われる前日の15日には中山競馬場で国内最長距離の一戦、中山グランドジャンプ(J・G1)が行われる。昨年の当レースを優勝したオジュウチョウサンや同2着だったブラゾンダムールが相次いで引退したこともあり、ハードル界には世代交代の波が押し寄せている。
そんな中、障害転向からわずか4戦目で中山大障害(J・G1)を制したのが、ニシノデイジー(牡7歳、美浦・高木登厩舎)だ。
本馬は2歳時に札幌2歳S(G3)と東京スポーツ杯2歳S(G3)を連勝するなど、牡馬クラシックの有力候補にも名前が挙がるほどの期待の星だった。しかし、2歳暮れのホープフルS(G1)で3着に敗れると、それ以降は連戦連敗。陣営は長距離、マイル、ダートなど様々な路線を試したが、平地ではついに復活を果たせず。昨年春に障害路線に転じると、これが吉と出た。
転向初戦こそ3着に敗れたが、2戦目で初勝利を挙げたニシノデイジー。3戦目の秋陽ジャンプS(OP)で2着すると、オジュウチョウサンの引退レースとして注目された中山大障害を5番人気で制し、ついにG1馬に輝いた。
ポスト・オジュウチョウサンの筆頭候補として名乗りを上げたニシノデイジーだが、今年は始動戦の阪神スプリングJ(J・G2)で1番人気を裏切って3着に敗れている。
このとき鞍上を務めたのはオジュウチョウサンと7年以上にわたってコンビを組んでいた石神深一騎手。ハードル界の新たな有望株との初コンビだったが、「ペースが落ちた時にかかり気味で進んでしまった」とレース中に折り合いを欠いたことを明かし、「その分、最後の脚がなかった」と、敗因を分析していた。
「次は修正して乗りたい」
石神騎手が春の大目標に向けてそうコメントしたように、コンビ2度目ならしっかりと対策は施してくるはずだ。中山大障害で見せた無尽蔵のスタミナをここでも発揮できるか。
ミッキーメテオ(牡6歳、美浦・西田雄一郎厩舎)は、21年秋に障害に転向。いきなり連続3着と素質の片鱗を示すと、7戦目で初勝利を挙げた。さらに昇級初戦のイルミネーションJS(OP)でアサクサゲンキに10馬身差をつける圧勝劇で2連勝。勢いに乗って臨んだ前走・阪神スプリングJだったが、ニシノデイジーに次ぐ2番人気に支持されるも4着に敗れている。
その前走で勝ち馬のジェミニキングから1秒5離されたが、3着ニシノデイジーとは0秒1差。前哨戦の1~2着馬が不在なら、ニシノデイジーと優勝争いを演じてもおかしくないだろう。
鞍上を務めるのは、昨年の中山大障害をニシノデイジーとのコンビで制した五十嵐雄祐騎手。ライバル馬をよく知るだけに、ニシノデイジー陣営にとっては何とも不気味な存在といえそうだ。五十嵐騎手はアポロマーベリックとのコンビで制した14年以来、2度目の中山GJ制覇を狙う。
昨年末に引退したオジュウチョウサンより1歳下の古豪も健在だ。6歳時に障害に転向後、28戦4勝の成績を残しているマイネルレオーネ(牡11歳、栗東・清水久詞厩舎)は、重賞勝利こそないが、10歳を迎えた昨年は中山GJと中山大障害で連続3着と好走している。
なにより28戦して、一度も競走中止がなく、年齢を重ねて飛越はますます安定。ニシノデイジーとミッキーメテオを合わせてもかなわない経験値を武器にG1初勝利を見据える。
テーオーソクラテス(牡6歳、栗東・奥村豊厩舎)は、4歳の秋に障害に転向。その後は11戦5勝という安定した成績を残している。昨年12月からはオープンクラスで目下3連勝中。勢いはメンバー随一といっていいだろう。
11戦すべてで鞍上を務めてきた小坂忠士騎手は、これまでコウエイトライやスプリングゲントとのコンビで障害重賞を通算12勝しているが、J・G1は18度の騎乗で未勝利。2月に40歳を迎えた不惑の苦労人が19度目の挑戦で悲願達成を狙う。
この他には、昨年の当レースと過去2年の中山大障害ですべて5着と掲示板を確保しているビレッジイーグル(牡6歳、美浦・竹内正洋厩舎)、先月のペガサスジャンプS(OP)でビレッジイーグルの2着に追い込んだダイシンクローバー(セ7歳、栗東・安田隆行厩舎)、21年の東京ジャンプS(J・G3)覇者のスマートアペックス(牡6歳、栗東・中村直也厩舎)などが出走を予定している。
合計12回の障害飛越を経て、4250m先のゴールを先頭で駆け抜ける新王者は果たしてどの馬になるのか。発走は15日、15時40分を予定している。
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