川田将雅騎乗の2.6億円馬「トラウマ」が心配…皐月賞(G1)でキャリア初の大敗に兄弟そろって“中山恐怖症”の危機
16日に行われた皐月賞(G1)では、リーディングトップ3のジョッキーたちの明暗がくっきりと分かれる結果となった。
前回勝利したのがコントレイル、その前がナリタブライアンという三冠馬級でなければ跳ね返せない1枠1番からソールオリエンスを勝利に導いたのは、リーディング3位の横山武史騎手だ。
一昨年、エフフォーリアとこの皐月賞を勝利したことをきっかけに大ブレイクした横山武騎手。年度代表馬となったエフフォーリアだけでなく、タイトルホルダーで菊花賞(G1)、キラーアビリティでホープフルS(G1)を勝利するなど、横山武騎手が築く新時代の到来を予感させるほどの大活躍だった。
しかし、昨年はエフフォーリアが不振を極めるなど、まさかのG1未勝利。重賞3勝に終わってしまい、先週の皐月賞のレース後の勝利騎手インタビューでも「G1で成績を残していなかったので、何が足りないのかをずっと研究してきた」と雌伏の時を振り返っている。
そんな横山武騎手は今回、馬場コンディションが最も悪い最内枠からスタートし、最後は馬場が最も良い大外を突き抜けるという大胆な騎乗。レース後にはソールオリエンスの豪快な末脚が脚光を浴びたが、それを引き出したジョッキーの作戦勝ちとも言えるだろう。
また、1番人気ファントムシーフを3着に導いたリーディング2位のC.ルメール騎手も、さすがの騎乗と言わせるだけのものだった。
これまで先行して結果を残してきたファントムシーフだが「ペースが速いので後ろから行った」という冷静な判断。向正面で後ろ脚を落鉄してしまうアクシデントがなければ、もっと勝ち馬に迫っていたかもしれない。レース前から「広いコースの方がいい」と語っている通り、次の日本ダービー(G1)では逆転候補の筆頭に挙げられるだろう。
その一方で、まさかの大敗を喫してしまったのが、リーディング首位をひた走っている川田将雅騎手だ。
騎乗したダノンタッチダウンは10番人気と、横山武騎手のソールオリエンス(2番人気)、ルメール騎手のファントムシーフ(1番人気)と比較するのは酷な話だ。しかし、昨年の朝日杯フューチュリティS(G1)2着馬が大差の殿負けというのは、陣営も想定外だったに違いない。
「レースでは、これまでよりも前から競馬する積極策に出たものの、4コーナーで早々に後退してしまいました。最後は歩くような足取りでなんとかゴールまでたどり着いたという感じですが、川田騎手のコメントは『現状の精一杯です』という一言。この言葉からも初の2000mが長かったのかもしれません。
久々のレースでしたが、少なくとも直前の気配は悪くなかったですし、これが本来の走りではないことは明らか。実績のあるマイルで巻き返してほしいですね」(競馬記者)
ダノンタッチダウンといえば、一昨年のセレクトセールで2億6400万円(税込)という高値で取引された良血馬。ここまで高額になったのは兄ダノンザキッドの活躍によるところが大きいが、実はその兄も皐月賞で1番人気に推されて15着に大敗した苦い経験がある。
「当時のダノンザキッドの主戦も川田騎手でしたが『返し馬の雰囲気が抜群によかったので、自信を持って競馬へ向かえたが、まったく能力を出せないまま終わってしまった』と首を傾げていました。
ダノンザキッドはその翌年の中山記念(G2)でも1番人気を背負って7着に惨敗していますが、川田騎手が『馬が中山で嫌な記憶があるのか、まったく走ってくれませんでした』と指摘。北村友一騎手と挑んだ今年の中山記念でも11着に大敗していることからも、もしかしたら中山競馬場がトラウマになってしまっているのかもしれません」(同)
記者の話を聞くと心配になってくるのが、弟ダノンタッチダウンのメンタル面だ。陣営も「雰囲気や性格が似ている」という兄弟だが、兄ダノンザキッドと同じく今回の皐月賞がキャリア初の大敗であり、大差で最下位という負け方は兄よりも悲惨と言わざるを得ない。
無論、川田騎手が無理をさせなかった結果でもあるが、これが後々功を奏してくれることを祈るばかりだ。
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