ヤマニンゼファー死亡……ふたりの騎手にG1初制覇をもたらした名馬の数奇な運命
1992年、翌93年の安田記念(G1)を連覇、そして同年の天皇賞・秋(G1)も制し、JRA賞最優秀5歳以上牡馬(当時)、最優秀スプリンター、最優秀父内国産馬を受賞したヤマニンゼファーが老衰で死亡した。
ヤマニンゼファーは父ニホンピロウイナー、母ヤマニンポリシー、母の父ブラッシンググルームという血統を持つ。引退後は種牡馬としても活躍しており、最盛期には100頭を超える種付頭数を記録していた。だが、08年、09年の種付頭数がゼロだったことと高齢を理由に同年には種牡馬からも引退。その後、功労馬として北海道の新冠町にある錦岡牧場で余生を送っていた。
記録にも記憶にも残る活躍をしていたヤマニンゼファー。この訃報に対してネット上のファンからも「また名馬が去ったのか…」「ご冥福をお祈りします」と惜しむ声があがっている。
またファンがこの馬の名前を聞いて思い出すのはふたりの騎手、この馬でG1をはじめて制した田中勝春騎手と柴田善臣騎手のことではないだろうか。
田中騎手は92年の安田記念にヤマニンゼファーに騎乗。11番人気で18番という大外枠を引き当て、期待薄だったもののスタート直後から果敢に仕掛け、見事に優勝。ゴール板の前で田中騎手が見せた派手なガッツポーズはいまだにファンの語り草となっている。
翌年、京王杯スプリングカップから引退するまでヤマニンゼファーには柴田騎手が騎乗することになった。この乗り替わりの一因は、田中騎手の所属厩舎からセキテイリュウオーが台頭し、騎乗することを余儀なくされたためだともいわれている。
新コンビは京王杯スプリングカップを制して安田記念に向かった。同レースはこの歳から外国調教馬が5頭まで出走可能になる国際競走に変更されている。前年の王者、ヤマニンゼファーは2番人気に推され、”外国からの刺客”を迎え撃つことになった。
レース序盤、先頭集団の後方につけていたヤマニンゼファーは4コーナーを回って直線に入ると、するすると先頭に進出。後続馬からの追走を受けるもそのままトップを譲ることなく、2着に1.1/4馬身差をつけ、ゴール板を駆け抜けた。ゴール直後、柴田騎手はムチを手にしていた右手を大きくあげ、喜びを爆発させている。
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