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ヤマニンゼファー死亡……ふたりの騎手にG1初制覇をもたらした名馬の数奇な運命

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 見事に連覇を成し遂げたヤマニンゼファーは次走の毎日王冠(G2)で6着とつまずくも、天皇賞・秋に出走。このレースには田中騎手を背に乗せたセキテイリュウオーの姿もあった。レースで1番人気に推されたのはライスシャワー、ヤマニンゼファーは5番人気、セキテイリュウオーは6番人気とあまり注目を受けていたとは言い難い。だが、結果としてこの2頭がこのレースの主役となっている。

 スタート直後、内枠のツインターボが後続に最大5馬身差をつける大逃げを打つ。快調に飛ばしていたツインターボだったが、それも4コーナーまで。そこから後続に捕まってしまい、直線に入る頃にはすでに差はなくなっていた。

 直線に入るとどの馬も仕掛け始めるが、その中から飛び出したのがヤマニンゼファーだった。注目のライスシャワーは馬群を抜けて前に出ようともがくも脚がなく伸びない。

 このままヤマニンゼファーが勝利するかと思いきや、大外から猛烈な末脚を使いセキテイリュウオーがトップに並びかけ、一時は先頭を奪う。このセキテイリュウオーの勢いを認識したのだろう。柴田騎手は愛馬の進路を外に向け、セキテイリュウオーに併せることを選択する。

 直線200mからは2頭の熾烈な叩き合いが開始され、100mを過ぎる頃には他の馬たちを引き離していた。終わりのしれない叩き合いはどちらも引かず、そのまま2頭並んだ形でゴール板の前を駆け抜ける。どちらが勝ってもおかしくなかった。だが、軍配はヤマニンゼファーに上がり、無情にもセキテイリュウオーはハナ差で敗れた。

 レース後のインタビューでは柴田騎手は、最後の直線はすごかったですねという問いに対し「敗けられないという気持ちはありました。よく差し替えしてくれた。馬に感謝ですね」と語り、ゴール直後に勝利を確信できたかという問いには「ハナか、頭は、勝ったと思ったんですけど、2着の人(田中騎手)に聞いたら、わからないといわれて自信なくなりました」と最後の最後まで混戦だった激闘を振り返っている。

 この勝利で柴田騎手はG1、2勝目をあげた。一方、降りた田中騎手はこれ以後、コンスタントに勝利を上げるもG1には縁がなく、次にG1制覇を成し遂げるまで15年間を要することとなった(2007年、皐月賞・ヴィクトリー)。

 田中騎手はヤマニンゼファーに乗り続ければもっと早くにG1・2勝目を達成し、そして柴田騎手のG1初勝利にはもう少し時間がかかったのかもしれない。

 競馬に”if”はないが、もし歯車がひとつ違ったらまた違うドラマを演出してくれていたのだろう。多くの人に感動を与えてくれたヤマニンゼファーの冥福を祈りたい。

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