【世界1位】イクイノックスVS【世界4位】ロマンチックウォリアー! 香港最強馬が天皇賞・秋(G1)挑戦に「本気」なワケ

先月30日、香港のシャティン競馬場で行われたクイーンエリザベス2世C(G1)は、ロマンチックウォリアー(セン5歳、香・C.シャム厩舎)が勝利。地元・香港の最強馬が日本馬3頭の挑戦を退けている。
ジャスティンパレスの優勝、そしてタイトルホルダーの競走中止に揺れた日本の天皇賞・春(G1)が行われて間もなく、今度は香港で春の現役最強馬決定戦が幕を開けた。
ここ10年で日本馬が3勝しているクイーンエリザベス2世C。今年も金鯱賞(G2)を勝ったプログノーシス、昨年のエリザベス女王杯(G1)の勝ち馬ジェラルディーナ、先月の大阪杯(G1)で3着に好走したダノンザキッドが参戦するなど、チャンス十分といった陣容だった。
しかし、終わってみればロマンチックウォリアーの完勝だった。最後の直線であっさりと抜け出すと、ゴール手前では鞍上のJ.マクドナルド騎手が後ろを気にする余裕の勝利。着差こそ2着プログノーシスと2馬身差だったが、香港の中距離王の貫禄をまざまざと見せつけられる結果となった。
「さすがの強さでしたね。昨年2月の香港クラシックCで敗れてから、7戦5勝2着2回とパーフェクト連対を続いているロマンチックウォリアーですが、先着を許したのは地元香港の英雄ゴールデンシックスティのみ。このレースはJRAでも馬券発売されていましたが、日本馬びいきの日本の競馬ファンですら、本馬を単勝1.3倍の圧倒的1番人気に支持していました。このレースには英国からG1連勝中のドバイオナーも参戦していましたが、さすがに歯が立たなかったようですね」(競馬記者)
日本馬3頭を始めライバルたちにとっては、まさに相手が悪かったとしか言いようのない強さを見せたロマンチックウォリアーだが、日本のメディアが色めきだったのは、むしろレース後だったようだ。
「天皇賞・秋(G1)への参戦を真剣に考えています」
レース後、メディアにそう今後のプランを明かしたのはロマンチックウォリアーを所有するピーター・ラウ氏だ。見事、愛馬がクイーンエリザベス2世C連覇を果たしたが、今後は香港でもう1戦し、秋には日本遠征プランを計画しているという。今回の走りを見ても、もし来日することになれば日本馬にとって大きな脅威となるだろう。
「ロマンチックウォリアーが所属する香港競馬は6月に閉幕して、秋から来シーズンが開幕しますが、12月の香港国際競走まではこれといった大きなレースがありません。できるだけハイレベルなレースに挑戦したいロマンチックウォリアーが、秋に地理的にも近い日本をターゲットにするのは理に適っていますね。天皇賞・秋は本馬が6戦5勝2着1回と得意にしている2000mですし、チャンスは十分ある気がします」(競馬記者)
クイーンエリザベス2世Cを勝った香港の刺客といえば、2018年の宝塚記念(G1)に挑戦したワーザーを覚えているファンも少なくないのではないだろうか。
すでに最盛期を過ぎた7歳馬だったこともあって10番人気の低評価だったが、蓋を開けてみれば勝ったミッキーロケットを最後まで追い詰めたのが本馬だった。クイーンエリザベス2世Cを勝ったのは2年前という古豪だったが、ロマンチックウォリアーはまさに今がキャリアの絶頂期である。

「ロマンチックウォリアーは、日本のイクイノックスが世界1位になったことで話題になった、先月のロンジンワールドベストレースホースランキングで4位タイにランクインするほどの強豪です。レーティング123はイクイノックスが昨年の天皇賞・秋で叩き出した数値と同じ。今回のクイーンエリザベス2世Cの優勝で、さらに評価を上げてくると思います」(別の記者)
記者曰く、日本の天皇賞・秋への参戦はオーナーだけでなく、シャム調教師も熱望しているという。というのもシャム調教師の師匠にあたるW.アラン調教師が、かつてフェアリーキングプローンで日本の安田記念(G1)を勝利した経緯があるからだ。「彼のように日本のG1を勝ちたい」と発言しているだけに、今回の日本遠征には現実味がある。
「もし実現したら、日本でお会いできるのを楽しみにしています」
今秋の天皇賞・秋には、連覇を懸けたイクイノックスも参戦する可能性がある。また、同世代のダービー馬ドウデュースら日本の強豪はもちろん、今回のクイーンエリザベス2世Cで敗れたプログノーシスらも地元・日本でリベンジする機会を狙っているはずだ。
例年、超豪華メンバーが集う天皇賞・秋だが、今年は一際大きな盛り上がりを見せることになるかもしれない。
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