「リスグラシューのようになってほしい」2歳馬離れの超抜時計をマーク、来春の日本ダービーも意識させた名門期待の逸材が単勝1.4倍デビューで惨敗…
24日、東京5Rに行われた2歳新馬戦(芝1800m)は、ハナを奪った5番人気ヴェロキラプトルが後続に半馬身差をつけて優勝。鞍上の三浦皇成騎手は節目となるJRA通算1000勝を達成した。
先月半ばにリーチをかけてから連敗が続いていたこともあり、三浦騎手は「1勝することの大変さや、ありがたみっていうのを今までのジョッキー人生で一番強く感じられたと思います。本当に貴重な1勝になりました」と、今回のVについて喜びひとしおといったコメントを残している。
またデビュー戦で白星を決めたヴェロキラプトルについては「心身の成長はこれからで、距離ももっとあっていいと思う」とその将来性を展望。6月の東京・芝1800mで初勝利を飾った馬は、ジオグリフが昨年の皐月賞(G1)を制している。なお新種牡馬スワーヴリチャードは、これが産駒のJRA初勝利と嬉しい記録が重なった。
その一方で、単勝1.4倍の圧倒的支持に応えられず7着に敗れたのが、ハーツクライ産駒のルージュスエルテ(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)と菅原明良騎手のコンビである。
11頭立てのレースでルージュスエルテと菅原明騎手は好スタートを決めると、前から5、6番手の位置。ただ道中で徐々にポジションが下がって行くと、後ろから3番手で4コーナーを回り最後の直線に入る。
直線では大外に持ち出されるとメンバー中最速となる上がり3ハロン33秒4をマークしたのだが、掲示板の5着にさえ届かずに終わった。
一昨年の京都新聞杯(G2)を制し、同年の菊花賞(G1)では1番人気に推されたレッドジェネシスの半妹である同馬だが、ここまで人気が集中することとなったのは血統背景以外にも理由があった。
というのも、同馬は美浦のウッドコースで行われた1週前追い切りにおいて、2歳新馬としては破格といえるラスト1ハロン10秒7の超抜時計をマーク。併せていた年長馬を5馬身も突き放したことで、取材に訪れていた記者陣の度肝を抜いていたのだ。
それだけの走りをデビュー前の段階で披露していた逸材であり、担当するスタッフは本馬が牝馬であるものの、来春の日本ダービー(G1)への登録を国枝調教師に何度もお願いするほどの期待のかけようだったという。
また国枝師も種牡馬ハーツクライのラストクロップとなる本馬に対し「リスグラシューのようになってほしい」と、同じハーツクライ産駒であり国内外でG1・4勝を挙げた名牝の名を引き合いに出すなど、まんざらでもない様子だった。
「スタートを決めた際は安心して見ていられそうだと思ったのですが、その後あそこまで位置取りが下がってしまうとはちょっと予想外でしたね。ラストは能力の片りんを見せてくれましたが、レースの前半1000m通過が63秒4であり、上位7着までが上がり33秒台を記録したスローペース。結果的には勝負どころの位置取りが厳しかったのだと思います」(競馬誌ライター)
いきなり出鼻をくじかれる結果となったが、国枝師はレース後、『日刊スポーツ』の取材に「結果論だけどポンと出た時に行っても良かったかもね。今回は能力で負けたのではなく、適性や位置取りだと思う。短いところでもいいかな」と話すなど、あくまでも力負けではなかったことを強調した。
なお同厩舎といえば、牝馬三冠を達成したアーモンドアイとアパパネ、秋華賞(G1)を勝ったアカイトリノムスメといった厩舎を代表する牝馬が初戦を取りこぼしていることはファンの間でも知られるところである。
その背景を考えると、ルージュスエルテもここから巻き返す余地は十分残っているに違いない。果たして次走で本領発揮となるだろうか。
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