持ったまま後続に「大差」をつける圧勝劇! ドゥラメンテ産駒からまた新たな「超大物候補」が出現
競馬ファンの間に衝撃が走ったのは23日、中京競馬場のダート1800mで行われた6Rの3歳以上1勝クラスだ。初ダートだった4番人気サーマルソアリング(牝3歳、栗東・藤原英昭厩舎)がハナを奪うと、後続に大差をつけてぶっちぎりの大楽勝を決めてしまったのである。
一昨年に早逝した父ドゥラメンテと母トータルヒートの間に生まれた同馬は、ここまで全て芝のレースを使われて7戦1勝。今年3月のチューリップ賞(G2)では勝ったモズメイメイから0秒4差に健闘していたが、前走の自己条件では14着に大敗するなど、ここのところやや成績が頭打ちとなっていた。
そこで現況を打開するため矛先をダートに替えてきたと思われるが、これが見事すぎるほどハマった形となった。
3枠4番からスタートしたサーマルソアリングと鞍上の西村淳也騎手は、気合をつけながら1コーナーでハナに立つ。引っ張り切りの手応えで13頭を引き連れて進み、前半1000mを61秒8のマイペースで通過した。
3~4コーナーにかけてもほぼ持ったままだったが、後続に迫られるどころか逆に差を大きく広げる展開となったことで競馬場にいたファンもざわつき始める。最後の直線に入った時点ですでに8馬身ほどのセーフティリードをとると、ラスト100m付近からはほとんど手綱を抑えていたものの、後続に2秒2の大差をつける独走劇となった。
「これは衝撃的な勝ち方でしたね。ダート適性が高かったことももちろんあったと思いますが、それでもまさか持ったまま後続をちぎり捨ててしまうとは……。着差を捉えるためにカメラが引いたことで、客席の屋根が映り込んでしまったシーンなども、平地のレースではあまり見かけないレアな光景でした。
なお2012年に中京競馬場がリニューアルされて以降、ダート1800mの最大着差はこれまで1秒6でしたが、今回のサーマルソアリングはそれを大きく更新する結果にもなっています」(競馬誌ライター)
また良馬場の勝ちタイム1分51秒8も、先週行われた名鉄杯(L)のそれと0秒1しか違わない優秀なものだ。開催時期はかなり違うが、昨年のチャンピオンズC(G1)でジュンライトボルトがマークした1分51秒9の時計をコンマ1秒上回っているのだから、1勝クラスとして中身も破格だったことは間違いない。
この快時計をサーマルソアリングは初ダートだった上、ゴール前で完全に流していたにもかかわらず叩き出してしまったのだから、レース後のSNSやネット掲示板などには「化け物か」「ミックファイアよりも上なのでは」「砂のリバティアイランドだろこれ」などといった絶賛のコメントが殺到したのも当然だったと言えるだろう。
「サーマルソアリングは現役時代に米国で重賞2勝を挙げるなど活躍したリーサルヒートを祖母に持つ血統だけに、ダートで化ける下地は備わっていたと思います。父のドゥラメンテもリバティアイランドやタイトルホルダーといった芝のG1馬も然ることながら、JBCレディスクラシック(G1)勝ち馬のヴァレーデラルナや重賞ウイナーのバーデンヴァイラーなど、砂の活躍馬も輩出していますからね。
また管理するのが、そのヴァレーデラルナと同じ藤原厩舎であることも、本馬にとってはかなりのアドバンテージとなるのではないでしょうか。今後かなりの出世を期待していいと思います」(同)
レース後の西村淳騎手はサーマルソアリングについて「格が違いました」と、ごくシンプルなコメント。今年の3歳世代ダート馬はミックファイアやデルマソトガケ、ミトノオーなど粒ぞろいだが、また新たな超大物候補が現れたと見て間違いなさそうだ。
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