武豊をキャリア2年目に上回った中堅騎手が「5ヶ月ぶり」の祝杯! 「単勝176.4倍」シンガリ人気馬と圧巻の逃走劇で大型連敗にピリオド
超穴馬とのコンビで、久々の祝杯だ。
27日、小倉10Rに行われた九州スポーツ杯(2勝クラス)は、大逃げを打った16頭立て16番人気グラストンベリー(牝4歳、栗東・藤岡健一厩舎)と川須栄彦騎手のコンビが、そのまま後続に5馬身差をつけて圧勝した。
誰もが度肝を抜かれる逃走劇だった。グラストンベリーは今年に入り3戦し、3走とも二桁着順。すべて勝ち馬から3秒前後も離された大惨敗だった。今回はハンデ戦で斤量52キロだったとはいえ、近走を考えると単勝176.4倍の最低人気だったのも無理はない。
圧巻の逃走劇で大型連敗にピリオド
ダート1700mで争われたレース。2枠4番から抜群のスタートダッシュを決めたグラストンベリーと川須騎手は、迷うこと無くハナを奪う。同馬が刻んだ1000m通過タイムは58秒8のハイペースだったこともあり、3コーナー過ぎからは大逃げの形となった。
かなり飛ばしていた上、人気もシンガリだけに、そのうち脚を失くすと想定したファンも多かったかもしれない。しかし4コーナーでさらに後続との差を拡大したことで、場内もにわかにざわつき始める。直線に入ってもセーフティリードを保ったまま後続に影すら踏ませず、まんまと逃げ切ってしまった。
「今年に入って見せ場すら作れていなかったグラストンベリーが、まさかここまで一変するとは……。殊勲の川須騎手がレース後『クラスが上がってから楽についていけず、苦しい競馬が続いていた』と話した通り、今回は初の1700mに距離を延ばしたのが功を奏したのでしょう。
ちなみにグラストンベリーは、ここまでハナを奪ったときは3戦2勝と好成績だったんですよ。気づいたときには、すでに後の祭りでしたが」(競馬誌ライター)
超穴馬の圧巻の逃げ切り勝ちには、ネットの掲示板やSNSなどに「まさかこの馬が逃げ切るとは」「こんなのどうやって予想すればいいのか」といった驚愕の声が上がったのも当然だろう。また鞍上の川須騎手に対しては「見事な逃げ切り勝ちだった」「久々の勝利おめでとう!」といった祝福のコメントが寄せられた。
というのも、川須騎手は今年3月に勝って以来、これが実に5ヶ月ぶりの白星。「117」まで伸びていた連敗街道を、ようやくストップさせることとなった。
ちなみに同騎手は、小倉競馬場のある福岡県の出身。故郷での勝利は昨年の北九州記念(G3)以来、およそ1年ぶりにもなっただけに、喜びもひとしおだったに違いない。
「今年で騎手生活14年目を迎えている川須騎手は、デビュー2年目に91勝をあげ、関西リーディングで武豊騎手を上回る順位に入ったほどの実力の持ち主。近年はやや勝ち星が伸び悩んでいるみたいですが、腕があることは間違いないだけに、ここから徐々に盛り返していってほしいですね」(同)
久々の祝杯をあげた川須騎手も、レース後には「正直びっくりです」「こんなに強いとは思いませんでした」と話すなど、グラストンベリーの激走におどろいた様子だ。
ただ「この馬のリズムで行くことだけを考えていました」とも話したことから、戦前から思い描いた通りの競馬ができたのではないだろうか。このコンビが引き続きダート戦線を賑わせてくれることを期待したい。
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