【紫苑S(G2)展望】打倒リバティアイランドへ、春の実績馬VS夏の上がり馬! 「出世レース」がG2に格上げ!
9日、中山競馬場では秋競馬のオープニングを飾る3歳重賞の紫苑S(G2)が行われる。
2016年にオープンからG3に格上げされるとヴィブロス、ディアドラ、ノームコア、カレンブーケドール、スタニングローズなどの活躍馬を次々と輩出する出世レースとなった。G2に格付けされた今年、ここをステップに飛躍する牝馬は現れるか。
4月の桜花賞(G1)当日に行われた忘れな草賞(L)勝ちのグランベルナデット(牝3歳、美浦・大竹正博厩舎)が最有力候補と目される1頭だ。
父がキズナ、母は北米で重賞3勝を含む8勝を挙げたラブリーベルナデットという良血馬で、デビュー4戦目で“残念桜花賞”を制し、打倒リバティアイランドに名乗りを上げている。
忘れな草賞では、好スタートを決めて2番手から抜け出す横綱相撲を見せたグランベルナデット。鞍上を務めた松山弘平騎手も「能力がある馬」「(道中の)リズムも良かったですし、最後まで長くいい脚を使って、強い競馬でした。これからも楽しみな馬だと思います」と述べ、オークス(G1)では別路線組の注目馬として期待の存在だった。
ところが、オークスを前に腸炎を発症して無念の回避。リバティアイランドとの初対決はお預けとなった。幸い経過は良好で、8月には美浦に帰厩。調教でも好時計を出しており、万全の態勢で秋初戦を迎えることになりそうだ。
勝利という最高の形で、リバティアイランドが待ち受ける秋華賞(G1)に向かうことができるか。鞍上は引き続き松山騎手が務める。
社台ファームが誇る良血馬のヒップホップソウル(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)も注目に値する。父はキタサンブラック、母は2011年のフェアリーS(G3)を制したダンスファンタジアで、祖母はG1・2勝のダンスインザムードのいわゆる“ダンス一族”である。
今年1月のフェアリーSでは母娘制覇を期待され1番人気に支持されたが11着に大敗。評価を一気に落とした。しかし、続くフラワーC(G3)は8番人気ながら、2着に好走。さらにオークスでは14番人気の低評価を覆し、中団から末脚を伸ばして、桜花賞組以外では最先着となる6着に食い込んでみせている。
リバティアイランドには大きく離されたが、2着ハーパーとは0秒3差。夏の成長次第では混戦模様の秋華賞2番手争いで、一歩抜け出す存在になってもおかしくないだろう。今回は鞍上にテン乗りの横山武史騎手を配して、秋の大一番に向けて勝利をもぎとりたいところだ。
モリアーナ(牝3歳、美浦・武藤善則厩舎)は、デビュー2連勝で臨んだ昨年の阪神ジュベナイルF(G1)で2番人気に推された素質馬。その一戦はいいところなく12着に敗れたが、続くクイーンC(G3)で3着と巻き返しに成功。しかし、賞金加算とはならず、大目標の桜花賞は無念の除外となった。仕切り直しの一戦となったニュージーランドT(G2)では牡馬相手に4着に善戦すると、NHKマイルC(G1)でも6着と大崩れしていない。
今回は初の2000mで、距離克服がカギとなるが、昨夏に1800mのコスモス賞(OP)でドゥアイズに完勝しており、むしろ距離延長がプラスになる可能性もありそう。鞍上は前走に続き横山典弘騎手と2度目のタッグを予定している。
エミュー(牝3歳、美浦・和田正一郎厩舎)は、フラワーCを含めた全3勝を中山で挙げているコース巧者。桜花賞とオークスはともに2桁着順に敗れたが、「3-0-0-5」の戦績が示す通り、ピンかパーのタイプで、惨敗は想定内ともいえる。
不良馬場のフラワーCを勝利したように、パワーを要する馬場になれば再びの大駆けも期待できそう。M.デムーロ騎手を背に始動戦で白星発進を決めたい。
エミューと同じハービンジャー産駒のキミノナハマリア(牝3歳、栗東・千田輝彦厩舎)は、鞍上にC.ルメール騎手を配して勝負気配が漂う。
春はフローラS(G2)で11着、オークスでは18着と結果を残せず。1番人気に支持された前走のHTB賞(2勝クラス)でも3着に敗れた。今後を占う上で試金石の一戦となる。
この他には、ローカルで未勝利、1勝クラス、2勝クラスと3連勝中のソレイユヴィータ(牝3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)、昨夏に新馬、ダリア賞(OP)を2連勝し、前走・豊栄特別(2勝クラス)で約1年ぶりの勝利を挙げたミシシッピテソーロ(牝3歳、美浦・畠山吉宏厩舎)、今年1月の紅梅S(L)を勝利したダルエスサラーム(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)なども上位進出を狙っている。
G2に格上げされたとはいえ、ここ数年に比べると、やや小粒な印象が否めない今年のメンバー。3枚ある秋華賞の切符をつかみ取り、本番でアッと驚かせる馬は誕生するか。紫苑Sは9日、15時45分に発走を予定している。
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