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武豊「ちょっと心外」な995日ぶりにチクリ…「スーパーゾロ目」は歓迎も水を差されたいい気分、ロードカナロア倒した舞台で意地見せる?

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武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 普段は温厚なレジェンドも、少々思うところがあったようだ。

 北海道らしからぬ暑い日々が続いた今年の函館・札幌開催。夏競馬にフル参戦した武豊騎手は、「ワールドオールスタージョッキーズ2023」でも3位に入るなど、さすがの腕前を披露した。特に1日4勝で締めた最終日の札幌には、武豊騎手の公式サイト内の日記において、「いい気分」と書かれていたように、本人も満足していたようである。

 ただ、それを報じたメディアが「1日4勝は、2020年12月12日以来995日ぶり」と紹介していたことには思うところがあったようで、「珍しそうに書かれたのはちょっと心外な意味もありました」とチクリ。有終の美を飾った本人としては、水を差されたという想いがあったのかもしれない。

 しかし、「もっと爆発できるように頑張れ、というエールとして受け取りました」と続けるあたりは、レジェンドらしいところだ。かつてワンデーエイト(1日8勝)の快挙をやってみせた阪神での活躍を誓い、「なんでもいい方向に考えるのがボクの流儀」と締めくくっていた。

 ただ、今回の武豊騎手からすれば「不本意なイジり」には、8月15日付の日記で武豊騎手が喜びを見せていた経緯も、ちょっとした伏線となっていた可能性がある。

通算4444勝「武豊のスーパーゾロ目」

 このときはエコロヴァルツに騎乗して勝利を飾ったコスモス賞(OP)で通算4444勝を挙げたことを「武豊のスーパーゾロ目」とメディアが紹介。数字だけでは分かりにくいのだが、これはJRA騎手の最多勝記録を更新し続けているレジェンドにしか作れない数字でもある。

 リーディング争いを繰り広げている川田将雅騎手やC.ルメール騎手でさえ、先週末の開催を終えて、半数の通算2000勝にすら到達していない。「武豊でなければ作れないゾロ目」と言われたことに、「そうかそうかと気を良くしてしまうわけです」「これからも、色々といじっていただけたらうれしいです」とレジェンドが喜んだのも当然だっただろう。

「長くやっていると色んな記録を発掘してもらえるものです」

 当時はメディアの紹介したデータに「なるほどね」と感心していた武豊騎手だが、今回は長くやっているからこそ、発掘されてしまった不本意なデータというところか。

 そんなレジェンドの今週末は土日ともに阪神で騎乗。土曜のエニフS(L)でスマートフォルス、日曜のセントウルS(G2)はジャングロと、2頭とも上位人気が予想される期待馬たちだ。

 どちらも楽しみな馬ではあるが、特に期待したいのはセントウルSに出走を予定しているジャングロだ。

 11年前のこのレースで武豊騎手は3歳馬エピセアロームとのコンビで参戦し、後の最強スプリンターとなるロードカナロアとスプリントG1で2勝のカレンチャンを相手に大金星を挙げた。6番人気の伏兵ながら、最強クラスの2頭を相手にアタマ差抜け出したレジェンドの神業が光るファインプレーでもあった。

 本番のスプリンターズS(G1)では、ロケットスタートが魅力のモズメイメイとのコンビが既に発表されているものの、長期休養明けのアイビスサマーダッシュ(G3)を使われて状態はアップ。人馬とも相性のいい阪神が舞台の一戦だけに期待していいはずだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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