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横山武史「コメントしないから!」に現場騒然…怒りが収まらなかったソールオリエンスの惜敗、手塚貴久師「2馬身くらいロス」の裏事情

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横山武史「コメントしないから!」に現場騒然…怒りが収まらなかったソールオリエンスの惜敗、手塚貴久師「2馬身くらいロス」の裏事情の画像1
マスクトディーヴァ 撮影:Ruriko.I

 近年恒例の3日間開催が行われた先週末。日曜阪神は秋華賞(G1)のトライアル、ローズS(G2)を7番人気の伏兵マスクトディーヴァが、鮮やかな差し切り勝ち。月曜中山は菊花賞(G1)のトライアル、セントライト記念(G2)を2番人気レーベンスティールが制した。

 春の牝馬二冠で他馬を圧倒したリバティアイランドに「三冠当確」ムードが漂う中、阪神の芝1800mを突き抜けたマスクトディーヴァの走りは文句なし。コースレコードを叩き出した1分43秒0(良)の勝ちタイムだけでなく、ここまで4戦3勝のキャリアとまだ底を見せていない。本番で同じ走りが出来るようなら女王打倒も夢ではないかもしれない。

 ただ、セントライト記念は菊花賞を占うにあたって、頭を悩ませられそうな結果だった。

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ソールオリエンス 撮影:Ruriko.I

「クビ差」で明暗が分かれた昨年11月東京のデビュー戦(芝1800m)以来の対決となった2頭。勝ったソールオリエンスは無敗で皐月賞(G1)を制し、日本ダービー(G1)でも2着に入った。

 これに対し、レーベンスティールは春のクラシックに参戦するどころか、裏街道のラジオNIKKEI賞(G3)ですら伏兵のエルトンバローズの3着に敗れたばかり。ポテンシャルの高さでは引けを取らないと評価されても、ソールオリエンスが単勝1.6倍の支持を集めたのも無理はない。

 実際、前任者の戸崎圭太騎手から乗り替わったJ.モレイラ騎手が、「120点」といえる完璧な騎乗でリベンジに成功。それも「クビ差」どころか1馬身3/4差の快勝だったのだから、陣営も胸を撫で下ろしただろう。

 しかし、モレイラ騎手が「G1馬になるチャンスがある」、田中博康調教師が「このパフォーマンスを見せられたことは自信になります」と喜びのコメントを出した一方で、ソールオリエンス陣営は、「4コーナーで振られて2馬身くらいロス」「本番でリベンジできるようにしたい」という手塚貴久調教師のコメントのみ。手綱を取った横山武史騎手のコメントはなかった。

 レース前の追い切りにも跨った横山武騎手は「こちらが思っている成長曲線をきれいに描いてきています」「すごくいい状態に仕上がったと思います」とパートナーの勝利を十分に意識していたはずだ。たとえ2着に敗れたとしても、何かしらのコメントを知りたい関係者やファンも多かっただろう。

 無言を貫いた理由として現場関係者から気になる話を耳にしたため、少しだけ触れてみたいと思う。

 2着に敗れたとはいえ、ソールオリエンスの走りは悲観するほどでもなかった。秋の始動戦としては悪くない滑り出しといえそうだが、現場はかなり紛糾したようである。

横山武史騎手「コメントしないから!」に現場騒然…

「モレイラ騎手のコメントを取るために引き上げてくる馬たちを見守っていたら、物凄い怒声が聞こえてきました。最初は熱心なファンが叫んでいるのかなと思いましたが、実は横山武騎手の声でした。

これには周囲の関係者やファンも驚いていました。詳細については聞き取れなかったのですが、どうやら不利を受けて競馬にならないといった感じで、相手の騎手に向かって叫んでいました。

検量室に引き上げてきてからも怒りは収まらなかったようで、居合わせた記者らに向かって『コメントはしないから!』と伝えて立ち去りました。それで各社も手塚調教師のコメントで取り繕いましたが、今後のマスコミ対応が心配になる言動でした」(競馬記者)

 記者の話によると、実はこれまでも何度かコメント拒否を示唆するような予兆があったという。

「彼は思ったことや感じたことをハッキリ話すので、その真っ直ぐな性格が好感を持たれてマスコミやファンの信頼を得てきました。エフフォーリアの時もそうでしたが、あれだけ実績を残した馬でも良くない時は良くないと厳しいコメントも出していたように、自分に嘘がつけないタイプ。

ただ、正直過ぎるところが、いわゆるアンチに揚げ足を取られることもあります。そのきっかけとなったのが今年のヴィクトリアマイル(G1)だったようです。不完全燃焼に終わったナミュールに騎乗していましたが、レース後に『あんな不利があっては走る馬も走れません』とコメントを残しました。

彼としては嘘偽りなく不利が全てと言ったつもりなのですが、ネットの掲示板やSNSなどでは『不利を言い訳にするな』『だったらその不利を受けないようにするのが一流だろ』という批判を目にしたらしいです。近しい関係者は『騎手批判』は絶対あるし、いちいち気にしなければいいとフォローしていたようですが、それからというものコメントを拒否するケースが増えたみたいです」(別の記者)

 こういったところは、“マスコミ泣かせ”の横山典弘騎手を父に持つだけに「血は争えない」といったところだろうか。

 とはいえ、現在の横山武騎手は、すでに日本の競馬界を引っ張るくらいの存在。こういったことは、若手時代の武豊騎手や川田将雅騎手も経験してきた。そんな彼らもしっかりとコメントを出してくれている。

 かといって当たり障りのない最低限のコメントなら、叩かれることは少なくなったとしても、ハッキリとモノをいう横山武騎手の魅力は半減してしまう。周囲には応援してくれる関係者やファンが多くいるので、これからも一部のアンチの声を気にすることなく、率直な想いを発信してくれることを願うばかりだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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