
武豊「仮想」凱旋門賞の実現に可能性?ゼロとはいえないジャパンC参戦…ドリームレースの実現はC.デムーロがカギ

1日、フランスのパリロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞(G1)は、デビューから6連勝を決めたエースインパクト(牡3、仏・JC.ルジェ厩舎)が優勝。日本からただ1頭挑戦したスルーセブンシーズもC.ルメール騎手を背に4着と健闘したが、日本競馬の悲願とされる世界最高峰レース制覇の夢は来年へと持ち越しとなった。
ただ、近年でまったくいいところのなかった日本馬としては、オルフェーヴルが2着、キズナが4着に好走した2013年(優勝トレヴ)に続く好走。例年この時期は悪天候での開催が多く、極限までのパワーとスタミナを求められる欧州の極悪馬場が、高速馬場に慣れた日本馬に立ちはだかっていたものの、好天に恵まれた今年はスルーセブンシーズにとって幸いした可能性が高い。
実際、それを裏付けるのがエースインパクトの勝ち時計2分25秒50だ。同馬の上がり3ハロンは最速タイの33秒06(3着オネストも同じ)で、直線でほぼ同じ位置にいたスルーセブンシーズのそれも33秒30と発表されている。極悪馬場が目立った近5年の凱旋門賞の勝ちタイムが2分29秒台から2分39秒台だったことを思えば、極端な例えをするとジャパンC(G1)と有馬記念(G1)ほど、走破時計が異なっていたことになる。
この日、『グリーンチャンネル』の「2023凱旋門賞中継」にゲスト出演していた武豊騎手が、「僕個人としては乗りたいし勝ちたい。ドウデュースが来年も現役ならもう一度トライしたいという気持ちが強いです。来年はここ(解説)にいないですからね(笑)」と再挑戦に意欲を見せたのも、昨年挑戦して不本意な結果に終わったドウデュースも良馬場なら十分にチャンスがあると感じたからだろう。
そんな競馬界のレジェンドにとって、ちょっとした朗報が舞い込んできたのが先日のこと。フランスの電子版日刊競馬紙「ジュールドギャロ(JDG)」が3日に報じた情報によると、エースインパクトの共同オーナーであるグッスリーレーシング代表のカメル・シェブーブ氏は、同馬が来年も現役を続行する可能性が低いとした上で、このまま引退して種牡馬入りするか、その前にジャパンCに出走するか、という2つの選択肢があることを表明したらしいのだ。
あくまで選択肢の1つということであり、実現するかどうかは定かでないものの、昨年の凱旋門賞馬アルピニスタも直前の故障が判明しなければ参戦に前向きだっただけに、その可能性はゼロとはいえない。
ドリームレースの実現はC.デムーロ騎手がカギ

そこで注目したいのは、この選択肢がエースインパクトの主戦C.デムーロ騎手から「東京コースと日本のレースペースがこの馬に合う」という進言があった点である。
「日本馬のスルーセブンシーズが能力を発揮できる馬場で、それを上回る上がりで強い勝ち方をしたなら、今年のパリロンシャンは日本に近い馬場状態だったという仮説も成り立ちます。宝塚記念(G1)で2着に入った実力を物差しにすると、イクイノックスやドウデュースがもし出走していたら……と考えたファンも少なくなかったでしょう。
そのスルーセブンシーズを一蹴した訳ですから、エースインパクトがジャパンCに出てきたとしても勝算は十分にあるといえそうです。何よりも短期免許で何度も来日しているデムーロ騎手の言葉だけに説得力がありますね」(競馬記者)
正直、半信半疑で「どうせ、行けたら行く」くらいの見方もあるだろうが、日本の馬場と競馬を知り尽くしているデムーロ騎手の言葉なら、陣営も興味を持ったのではないか。
もしエースインパクトのジャパンC参戦が実現するようなら、ドリームレースとなることは必至。ドウデュースに騎乗を予定している武豊騎手としても「仮想凱旋門賞」を体験する願ってもないチャンスとなる。「世界最強馬」の称号を保持したいイクイノックス陣営も直接対決は望むところだろう。
凱旋門賞直後の会見で「ジャパンCは、今のところは考えていません」と答えていたエースインパクト陣営が、「選択肢の1つ」としたのは大きな前進。結論が出されるのは3週間以内と見られており、本馬の動向はこの秋最大の注目を集めることになりそうだ。
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