武豊「良いアドバイスをもらった」代打Vも、後輩ジョッキーは戦線離脱を決断…本番へ向け、再び浮上した鞍上問題
さすがレジェンドという手腕を見せつけた。
5日、大井競馬場で行われた交流重賞レディスプレリュード(G2)は、6番人気のアーテルアストレア(牝4歳、栗東・橋口慎介厩舎)が勝利。急遽の代打騎乗となった武豊騎手だったが、最後の直線で相棒の末脚を爆発させて見事な初重賞制覇へ導いた。
「急遽の代打だったんですけど、なんとか良い仕事はできたかなと思います」
アーテルアストレアはここ7戦連続で菱田裕二騎手が騎乗していたが、先月30日に落馬負傷。主戦騎手がまさかのアクシデントに襲われたものの、経験豊富な武豊騎手が空いていたことは陣営にとっても不幸中の幸いだったに違いない。
この日、アーテルアストレアは10頭中6番人気に甘んじていた。14戦5勝、2着1回、3着1回という本馬だが、これまで馬券圏内に入ったのはいずれも左回り。今回は右回りの大井だったこともあって“嫌われた”のだ。今回が初コンビだった武豊騎手にとっては難しい騎乗となった。
しかし、「菱田ジョッキーから、細かく馬の癖とか特徴を教えてもらっていた」とレジェンドの大きな武器になったのが、主戦・菱田騎手の助言だったようだ。レース後には「良いアドバイスをもらったなと思いました」と後輩ジョッキーへ感謝を伝えている。
さらに「同じコース、距離なんで、次も楽しみですね」と本番のJBCレディスクラシック(G1)への期待も語った武豊騎手。だが、今回はあくまで急遽巡ってきた代打騎乗。武豊騎手はすでにアイコンテーラーとのコンビでの出走が決まっており、本番でアーテルアストレアは強力なライバルになる。
そうなってくると、アーテルアストレアのJBCレディスクラシックは、やはり主戦の菱田騎手とのコンビが濃厚か。実際にレース後にはSNSや掲示板などでは「次は菱田くんとのコンビ楽しみ!」「菱田ジョッキーは武豊騎手に感謝だね、これで胸を張ってG1にいける」「初G1チャンスだぞ!菱田!」とコンビ再結成を期待する声が見られた。
確かに、これでアーテルアストレアと菱田騎手が再びコンビを組んでJBCレディスクラシックに挑めば大団円といったところか。武豊騎手は助演男優賞だろう。
だが、どうやらそう簡単にはいかないようだ。
本番へ向け、再び浮上した鞍上問題
「(先月)30日に落馬負傷した菱田騎手ですが、幸い左肩の脱臼とのこと。一時は早期復帰も期待されていたのですが、どうやら本人の意思で再発防止のために手術することになったそうです。
ちなみにJBCレディスクラシックは11月3日。手術だと当然間に合わないでしょう。残念ですが、アーテルアストレア陣営は他の鞍上を探すことになりそうです」(競馬記者)
左肩を脱臼しての手術といえば、一昨年にルーキーだった古川奈穂騎手が経験している。5月初旬に発表があり、復帰したのは同年10月初旬。約5か月間の戦線離脱を余儀なくされていた。
「脱臼はクセになるので、菱田騎手の手術したい気持ちもわかりますし、代打Vを決めた武豊騎手も『手術を決断したのは賢明な判断で、再発がレース中だと大変なことにもなりかねません』(武豊騎手の公式HP)と語っている通り、早期の手術がベストだと思います。
ただ、今はこれから秋のG1シーズンが始まり、大事なレースが続く時。騎手としても勝負所だと思いますし、乗れる若手の1人として売り出し中の菱田騎手からすれば、存在感を発揮しておきたいところです。それだけに、このタイミングでの長期戦線離脱は痛いですよ」(別の記者)
実際に、武豊騎手とのコンビでJBCレディスクラシックに挑むアイコンテーラーも、実は菱田騎手が主戦を務めていた馬。落馬負傷したその日のシリウスS(G3)で、こちらも急遽の代打となった団野大成騎手が2着に導き、G1挑戦へ賞金加算に成功した経緯がある。
「しっかりと治して、今以上のバランスで騎乗できるようになって復帰したいと思います」
手術発表の際に、そう今後を見据えて意気込みを語っていた菱田騎手。なお、全治は未定とのことだ。脱臼癖の心配から解き放たれることは大きいが、同時に失うものも小さくはないかもしれない。
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