【マイルCS(G1)展望】セリフォスVSシュネルマイスター! ナミュール、エルトンバローズら伏兵陣にもチャンスか
19日、京都競馬場では秋のマイル王決定戦・マイルCS(G1)が行われる。登録馬はフルゲート割れとなる16頭にとどまったが、すべての馬が重賞勝ちを経験しているハイレベルな一戦となりそうだ。
重厚なメンバーがそろった今年のマイルCSだが、人気を集めそうなのはG1勝ち馬のセリフォスとシュネルマイスターの2頭だろう。
セリフォス(牡4歳、栗東・中内田充正厩舎)は、早くから高い完成度を誇り、デビューから無傷の3連勝でデイリー杯2歳S(G2)を制覇。続く朝日杯フューチュリティS(G1)は、ドウデュースの2着に惜敗したが、3歳秋に富士S(G2)とマイルCSを連勝し、マイル王の座に上り詰めた。
6番人気で臨んだ昨年は、初めてコンビを組んだD.レーン騎手を背に後方待機策。前半3ハロン通過が35秒1とG1としては緩い流れとなったが、直線で大外を鋭く伸びて強豪古馬勢を一蹴した。
マイル界の主役に躍り出たセリフォスだったが、今年は始動戦のドバイターフ(G1)で5着に敗れると、続く安田記念(G1)も2着。勝ったソングラインに1.1/4馬身差をつけられる完敗だった。ただ、外差し馬場で終始内を走らされたことを考えれば、負けてなお強しの内容だったといえるだろう。
近3走はレーン騎手が手綱を取っていたが、今回は川田将雅騎手に乗り替わる。セリフォスには2歳夏のデビュー戦と続く新潟2歳S(G3)で騎乗して、連勝に導いている。実戦では久々の手綱となるが、1週前追い切りにて感触を確認。この日の栗東CWで最速となるラスト1ハロン10秒7をマークしており、態勢は整いつつある。
ただ、川田騎手はレースとの相性がイマイチで、初めて騎乗した2007年から昨年まで16年連続で騎乗して「0-1-3-12」という成績。17回目の騎乗で初勝利を挙げられるか。
セリフォスと1番人気を争うとみられるのはシュネルマイスター(牡5歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。
2歳時に重賞を2勝する活躍を見せたセリフォスに対し、こちらは3歳春にNHKマイルC(G1)を勝って重賞初制覇。その後も3歳時に毎日王冠(G2)、5歳となった今春にマイラーズC(G2)を制しているが、G1に限ると目下8連敗中である。
昨年の秋以降はやや低迷していたが、4月に新装オープンした京都開催のマイラーズCで約1年半ぶりの勝利を飾った。続く安田記念では1番人気に支持されたが、ライバルのソングラインに完敗を喫し、G1・2勝目を逃している。
さらに前走の毎日王冠は後方からレースを進めて直線にかけたが、直線で前が壁になる不利が重なり消化不良の3着。それでも、ゴール前の伸び脚は休み明けとしては秀逸だった。
惜しい競馬が続いているシュネルマイスターにとって関西圏での競馬は今回が4回目となる。1週前追い切り後に栗東に移動済みで、マイラーズCの時と同じ滞在競馬で臨む。
鞍上はもちろんC.ルメール騎手が継続騎乗。国内のレースに限れば通算「4-2-2-1」とコンビ相性もいい。16戦全敗の川田騎手に対して、ルメール騎手はマイルCSに2004年から昨年まで19年連続で騎乗し、「2-3-1-13」という成績。2勝はいずれもグランアレグリアとのコンビで20年と21年に挙げたものだ。
セリフォスとシュネルマイスターの“2強”に待ったをかけるとすれば、ナミュール(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)が最右翼か。
2年前の阪神ジュベナイルF(G1)で1番人気に支持された逸材だが、G1いまだ勝利なし。3歳時は桜花賞(G1)10着、オークス(G1)3着、秋華賞(G1)2着と勝ち切れなかった。
4歳となった今年はマイル路線に専念し、ヴィクトリアマイル(G1)で2番人気に支持されたが、大きな不利もあって7着。続く安田記念でも再び不利に見舞われて16着に大敗した。
この秋は心機一転、J.モレイラ騎手との新コンビで富士S(G2)から始動。1番人気に支持されると、中団追走から春の鬱憤を晴らすかのような末脚で馬群を割って快勝している。
ただし、モレイラ騎手は今回ソウルラッシュに騎乗。そのため、モーリスで8年前の当レースを制しているR.ムーア騎手が新たなパートナーを務める。
そのソウルラッシュ(牡5歳、栗東・池江泰寿厩舎)とモレイラ騎手も虎視眈々と勝利を狙う。前走の京成杯オータムH(G3)でトップハンデの59kgを背負って勝利を収めるなど、G2とG3では4戦すべて3着以内と堅実なソウルラッシュだが、G1では3戦して13着、4着、9着とワンパンチ足りない印象だ。新コンビとなる“マジックマン”が一発回答でソウルラッシュをG1馬へ導けるか。
過去6年で3勝を挙げている3歳馬だが、今年はエルトンバローズとエエヤンの2頭だけの登録にとどまった。
よりチャンスがあるのは、目下4連勝中のエルトンバローズ(牡3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)の方だろう。
初勝利を飾ったのは今年4月のデビュー5戦目。続く1勝クラスも快勝すると、再び距離を延ばしたラジオNIKKEI賞(G3)、さらに古馬相手の毎日王冠も制覇。前走は展開と位置取りが味方したとはいえ、ソングラインとシュネルマイスターをまとめて破った点は評価していいだろう。
鞍上は初勝利のレースからコンビを組む西村淳也騎手。6年目の24歳がG1初制覇へ、大きなチャンスを迎える。
もう1頭の3歳馬、エエヤン(牡3歳、美浦・伊藤大士厩舎)は、3走前にニュージーランドT(G2)を制覇。その後はNHKマイルCで9着、毎日王冠は8着に敗れているが、着順ほど負けていない。3戦3勝の右回りコースで本領発揮となるか。
この他には、5月に京王杯スプリングC(G2)を制し、秋初戦の富士Sもナミュールの2着に好走したレッドモンレーヴ(牡4歳、美浦・蛯名正義厩舎)、2走前のエプソムC(G3)で待望の重賞制覇を飾ったジャスティンカフェ(牡5歳、栗東・安田翔伍厩舎)、初マイルの前走・富士Sで3着に食い込んだソーヴァリアント(牡5歳、美浦・大竹正博厩舎)ら伏兵陣も多士済々だ。
2強の様相を呈している今年のマイルCSだが、他の14頭も重賞勝ちの実力馬だけに、枠順や展開次第ではどの馬にも勝機はあるだろう。発走は19日の15時40分を予定している。
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