【チャンピオンズC(G1)展望】「G1大差勝ち」レモンポップVS「無敗5連勝」セラフィックコール!メイショウハリオ、テーオーケインズなどG1ホースがズラリ
12月3日、中京競馬場では、その名の通り砂の“王者”を決めるチャンピオンズC(G1)が行われる。今年はフルゲート16頭に対して、19頭が登録。うち8頭がG1ホースで、ジャパンC(G1)に出走するパンサラッサを除いても7頭が出走を予定している。今年は近年まれに見るハイレベルな戦いが見られそうだ。
通算で「9-3-0-1」の好成績を残し、G1・2勝を含む3つの重賞勝利すべてを今年に入ってから挙げているレモンポップ(牡5歳、美浦・田中博康厩舎)が中心か。
快進撃が始まったのは今年1月の根岸S(G3)だった。好位から抜け出して接戦をモノにすると、続くフェブラリーS(G1)で堂々の1番人気に支持された。
坂井瑠星騎手に乗り替わった一戦で、不安視されたのは根岸Sから1ハロン長い距離。陣営も含めて「1400mがベストで、マイルは少し長い」という見方が目立ったが、いつも通り好位を進むと、直線で悠々と抜け出して完勝を収めた。
その後は海外遠征を敢行。1200mのドバイゴールデンシャヒーン(G1)と、ゴドルフィンマイル(G2)の両睨みだったが、初となるスプリント戦へ矛先を向けた。
しかし、レース後に田中博調教師が「初の1200mで厳しい流れになってしまった」と話したように、短距離の速い流れに乗ることができず。初めて連対を外す10着に惨敗。「世界の一線級相手のペースに戸惑っていた」と、師も世界とのスピードの違いを認めるコメントを出した。
ところが、この経験が功を奏したのか、それ以来の実戦となる秋初戦、南部杯(G1)で圧倒的な強さを見せつけることになる。
海外帰りで休み明け、かつ連覇を狙うカフェファラオという強敵がいたにもかかわらず、レモンポップは単勝1.5倍の断然人気に推された。スタートからスピードに乗って楽にハナを切ると、早くも勝利を確信するほどの手応えで4角へ。直線は持ったまま後続との差を広げ、最後は2着イグナイターに2秒0の大差(推定12馬身)をつけてゴールした。
この圧勝劇を受けて、陣営はJBCスプリント(G1)、ブリーダーズCダートマイル(G1)、チャンピオンズCという3つの選択肢の中から、初の9ハロン戦となる当レースに矛先を向けてきた。1800mという距離はもちろん、これまでワンターンのコースしか経験しておらず、4つのコーナーを克服できるかが大きなポイントとなるだろう。
実績十分のレモンポップに挑戦状をたたきつけるのは、3歳馬のセラフィックコール(牡3歳、栗東・寺島良厩舎)だ。
なんとデビューしたのは今年2月で、レモンポップが制したフェブラリーSの1週間前だった。初戦を勝利すると、それから約9か月で無傷の5連勝を飾り、主役候補の1頭としてG1初挑戦を迎える。
初戦から2着馬につけた着差は、順に8馬身、4馬身、ハナ、3馬身半、3馬身。3走前の八王子特別(2勝クラス)は2100mと、結果的に距離がやや長かったか。1800mの他4戦では、格の違いを見せつけている。
前走は重賞初挑戦となったみやこS(G3)。いつも通りスタートで立ち遅れて後方からの競馬となったが、これまでとは違い勝負所での手応えはやや苦しかった。それでも4角11番手から直線大外を通って力強く伸びると、粘る先行各馬を並ぶ間もなく差し切った。
2走前から手綱を取るM.デムーロ騎手は「能力が高いです。道中の行きっぷりは目立ちません。ズブいぐらいですが、4コーナーで気合を入れていたらギアが上がってきて瞬発力を見せてくれます。思ったより最後は楽でした」と、まだ成長の余地があるといったコメントを残している。
一気にメンバーレベルが上がる今回は斤量がカギとなるか。前走は他の古馬より2kg軽い55kgを背負っていた。それが今回は57kgを背負い、58kgの古馬とは1kg差に縮まる。克服できれば、一気にダート界の頂点を極めることになるだろう。
レモンポップとセラフィックコールを追いかける3頭の6歳馬もまだまだG1タイトルを狙える力を持つ。
これまで交流G1を3勝している実績馬のメイショウハリオ(牡6歳、栗東・岡田稲男厩舎)は、今春のかしわ記念(G1)でマイルG1を初制覇すると、続く帝王賞(G1)でレース史上初の連覇を達成。向かうところ敵なしと思われたが、1番人気に支持された前走JBCクラシック(G1)で4着に敗れた。
鞍上を務めた浜中俊騎手が敗因として挙げたのは、「休み明けで本来の走りができなかった」というもの。実際に、全く同じ帝王賞からのぶっつけで臨んだ昨年のJBCクラシックでも5着に敗れており、叩き良化型なのは間違いないだろう。その末脚は確実なだけに、底力を問われる展開になれば直線で突き抜けてもおかしくない。
メイショウハリオと同じくG1を3勝しているテーオーケインズ(牡6歳、栗東・高柳大輔厩舎)も見限るのは早計だ。昨年のJBCクラシック勝利を最後に1年以上もG1勝ちから遠ざかっているものの、その後も大崩れすることなく堅実に走っている。
昨年の当レースでは断然1番人気に推されたが、まさかの4着に敗退。それでリズムを崩したか、今年初戦の川崎記念(G1)で2着に敗れると、ドバイワールドC(G1)4着、帝王賞3着、JBCクラシック3着と上位争いには加わっているものの、勝ち切れていない。
ただ、寒い時期を得意としているだけに、一度叩かれたことも相まって間違いなく状態を上げてくるだろう。引き続き松山弘平騎手とのコンビで、昨年の悔しさを晴らせるか。
実績的にはメイショウハリオとテーオーケインズに大きく劣るが、ハギノアレグリアス(牡6歳、栗東・四位洋文厩舎)も侮れない存在だ。
屈腱炎で4歳シーズンを全休するなど、2度の長期休養で出世が遅れていたが、昨年の10月以降は「3-3-0-1」と安定。前走のシリウスS(G3)はトップハンデ58.5kgを背負って快勝しており、一気に頂点に上り詰めてもおかしくない。中京コースも「2-1-0-0」とコース相性はいい。
長くローカルの芝中距離路線を走っていたアイコンテーラー(牝5歳、栗東・河内洋厩舎)は、ダートに転じて本格化。前走のJBCレディスクラシックでG1初出走初勝利を手にした。鞍上にはJ.モレイラ騎手が配され、激走ムードが漂う。
他には昨年の2着馬クラウンプライド(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)、昨年2番人気に支持されるも12着に敗れたグロリアムンディ(牡5歳、栗東・大久保龍志厩舎)、ダートで9戦7勝のウィルソンテソーロ(牡4歳、美浦・小手川準厩舎)なども実力は上位。
また、芝でG1勝ちがあるドゥラエレーデ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)と、ジオグリフ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)、さらに昨年のジャパンダートダービー(G1)覇者ノットゥルノ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)など強力なメンバーがそろった。
レモンポップとセラフィックコールの2強ムードも漂う今年のチャンピオンズCだが、前者は初距離、後者は初G1と全幅の信頼は置きづらい。脚質も異なるだけに、展開一つで伏兵馬が間に割って入る可能性は高いだろう。ダート王を決める注目の一戦は、12月3日の15時30分に発走を迎える。
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