【香港ヴァーズ(G1)展望】シャフリヤール有馬記念検討で回避も……ディープインパクトの血を持つ日本馬3頭が集結!
10日、香港のシャティン競馬場で4つのG1からなる「香港国際競走」が開催される。先陣を切って行われるのは、クラシックディスタンスの2400mで争われる香港ヴァーズ(G1)だ。
日本からはディープインパクトの血を持つ4頭が出走を予定していたが、7日にシャフリヤールの出走取り消しが発表された。
同馬を所有するサンデーレーシングのホームページによると、現地で馬体検査が行われた際に、不整脈の疑いがあったという。前走の米国ブリーダーズCターフ(G1)で3着に入り、復活の狼煙を上げていただけに残念な知らせとなってしまった。次走については有馬記念(G1)への出走も検討されているという。
ダービー馬のリタイアによって、残る日本馬はジェラルディーナ、レーベンスティール、ゼッフィーロの3頭。この中で唯一のG1馬であるジェラルディーナ(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)をまず取り上げたい。
父は香港マイルと香港Cを含むG1を6勝したモーリス、母は国内外でG1を7勝したジェンティルドンナなので、血統表の母父の欄にディープインパクトの名前がある。
牝馬三冠は未出走に終わるなど出世は遅れたが、昨年のエリザベス女王杯(G1)で強豪を破ると、続く有馬記念でもイクイノックスの3着に好走。今年は更なる活躍が期待されたが、始動戦の大阪杯(G1)で6着に敗れると、続くクイーンエリザベス2世C(G1)も6着、さらに宝塚記念(G1)4着で春を終えた。
秋はオールカマー(G2)から始動するも6着。連覇を狙ったエリザベス女王杯は5着と、今年に入ってから、ことごとく人気を裏切っている。
近走はスタートで後手を踏んで、流れに乗れないレースがほとんど。五分のスタートを切って流れに乗ることができさえすれば、G1でも上位争いに加わる力はまだあるはずだ。
母はラストランの有馬記念で有終の美を飾ったが、あれから9年、その娘もラストランで復活の勝利を挙げることができるか。
レーベンスティール(牡3歳、美浦・田中博康厩舎)は、リアルスティールの初年度産駒。つまり、父の父がディープインパクトとなる。
昨年11月の2歳新馬でデビューすると、敗れはしたがソールオリエンスと接戦を演じた。勝ち馬は、その後に京成杯(G3)と皐月賞(G1)を勝ち、本馬も注目を浴びる存在になった。
昨年12月に2戦目で初勝利を飾ると、今年5月に1勝クラスを勝ち上がり、夏のラジオNIKKEI賞(G3)に出走。1番人気に支持されたが、中団後方から外々を回らされる厳しい展開となり、脚を余す形で3着に敗れた。
そして迎えた秋初戦のセントライト記念(G2)でソールオリエンスと2度目の対決。後方に控えたライバルを尻目に中団から早めに抜け出すと、最後は1.3/4馬身差をつけてデビュー戦の借りを返した。
その後は優先出走権を得た菊花賞(G1)を見送って、満を持して香港の地でG1初挑戦を果たす。
ディープインパクトの孫2頭と対峙する日本馬3頭目は、ディープインパクト産駒のゼッフィーロ(牡4歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
この馬も3歳時はクラシックと縁がなく、オープン入りしたのも4歳となった今年3月だった。昇級初戦のメトロポリタンS(L)でタイム差なしの3着に入ると、続く目黒記念(G2)は4着。デビュー10戦目にして初めて馬券圏外に敗れた。
その後は秋初戦のオールカマーで7番人気ながら3着に好走すると、前走のアルゼンチン共和国杯(G2)でJ.モレイラ騎手を背に完勝し、初のG1舞台へと駒を進めてきた。
本馬の最大の特長は、いかにもディープインパクト産駒らしいバネのある走り。デビューから1年ほどは先行策を採ることがほとんどだったが、今年の2戦目以降は差す競馬に脚質を転換。目下6戦続けてメンバー最速の上がり3ハロンを駆使し、末脚に磨きをかけている。
日本馬3頭のライバルになり得るのは、ウォームハートとジュンコの2頭だろう。
ウォームハート(牝3歳、愛・A.オブライエン厩舎)は、8月以降にG1を2連勝。前走のBCフィリー&メアターフで連勝は止まったが、クビ差の2着に健闘している。
凱旋門賞(G1)8勝、仏リーディングトレーナーに31回も輝いた名伯楽が送り込むジュンコ(セ4歳、仏・A.ファーブル厩舎)は、前走のバイエルン大賞(独G1)を超スローペースで逃げてG1初制覇を飾った。
香港ヴァーズは、過去4年で日本馬が3勝している最も相性のいいレース。シャフリヤールが回避したとはいえ、日本の3頭が上位を独占する可能性も十分あるだろう。発走は10日、日本時間15時10分を予定している。
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