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中山金杯(G3)中山コースが得意な「上がり馬」を狙え!?【東大式必勝馬券予想】

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アイフルという馬の物語

 令和6年、賀正。新年の挨拶もそこそこに「1年の計は金杯にあり!」

 6日(土)には東西でハンデ戦のG3「中山金杯」(芝2000m)、「京都金杯」(芝1600m)が行われる。ベタな常套句だが「金杯で乾杯!」幸先よくいきたいものだ。

 創設は東が1952年、西が1963年の古参重賞だが1995年まで正式名称はどちらも「金杯(盃)」でオールドファンは(東)カッコヒガシ、(西)カッコニシと呼んで峻別していた。その後ゴルフの世界でも同姓同名の“渡辺司”プロが出現、同様に呼ばれたのには笑った。

 思い出の馬を1頭挙げるとすると、昭和51年の“カッコ東”(当時は府中開催)を制したアイフルだ。正月にふさわしく、縁起よいエピソードに包まれた生涯を記しておこう。

 名前の由来からして「愛+降る」「愛+full」でまさに愛がいっぱい。初の競走馬所有となる藤本義昭氏の妻と3人の娘が考えたそうだ。名誉のために言っておくが同名の消費者金融は1982年にこの商号に。お馬さんのほうが先である。

 母グリンロッチにとっても初仔のアイフルは1973年11月18日の東京・2歳新馬戦(馬齢は現呼称、以下同)でデビュー。ブービー人気ながら勝利するわけだが、なな、なんと!3頭が1着同着!! Wikipediaにも記載されていない大珍事。中央競馬では3着の3頭同着は2012年の室町S(京都)などで知られているが1着は後にも先にもこれだけでは?

 1着賞金はゴルフのようにシェアされず。フルに頂戴したアイフルは弥生賞最下位でクラシックは諦めるもダービー当日に3勝目を挙げオープン入り。その後4走連続2着など4歳夏まで勝ちきれず、当時の降級制度で今の2勝クラスまで落ちたものの、年末の条件戦を勝った勢いで5歳緒戦に金杯(東)を選ぶ。

 1番人気は1歳下でダービー、菊花賞3着のハーバーヤング57キロ、2番人気は直前の有馬記念を勝ったイシノアラシ58キロ、3番人気は当時すでに8勝の古豪ヤマブキオー57キロ、結構な豪華メンバーの中アイフルは54キロのハンデをもらい4番人気だった。

 おなじみホワイトフォンテンの逃げを見ながら道中中団を進んだアイフルは、前年の4冠ジョッキー(カブラヤオー・テスコガビー)菅原泰夫のムチに応え直線力強く抜け出し、強豪3頭を尻目に2着フロリオーギにも1馬身差をつけ重賞初制覇を果たす。

 まだまだ縁起物の物語は続き、秋には天皇賞(当時3200m)に挑戦。嶋田功を背に今度は紛れない全馬(牡)58キロ。しかし、金杯で下した強豪3頭や菊花賞馬コクサイプリンスをまたも従え先頭ゴール! 勢いに乗って鞍上を菅原に戻して有馬記念に駒を進めるが、これが競馬ファンなら誰もが知るT&T対決……。1着トウショウボーイ、2着テンポイント、その3着に縋りついたのがアイフルなのだ。

 日本国民の目にその光景を焼き付けた彼は6歳の翌年も中山記念、アルゼンチン共和国杯(当時5月開催)に連勝し、宝塚記念で4着。賢明諸氏ならその1、2、3着がT・T・G(グリーングラス)だったことは書かなくてもご存じだろう。

 立派に横綱の太刀持ち露払いを果たし愛に溢れたアイフルは、この後に屈腱炎を発症し引退。通算43戦で1着12回、2着13回、3着10回と1、2、3着すべて2桁の成績は、不朽の大記録と言ってもいいだろう。

 そろそろ「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

コース巧者のリカンカブールに妙味?

 申し訳ないがレースも縁起物ゆえ、登録をしてくる関係者が多く、出走馬が直前まで確定しない予想屋泣かせ。東大式鉄則「中山コースが得意なハンデそこそこの上がり馬」くらいしか言えない。

 去年のラーグルフも2歳秋の芙蓉S(中山2000m)と直前の3勝クラスを勝っている。今年はリカンカブールが近いか。それよりは「スポーツ紙を信じてみよう」!? 昔から東は日刊スポーツ賞、西はスポーツニッポン賞。両紙とも社の名誉と1年の命運をかけて当てにきている(はずだ)。

「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」。これを今年の座右の銘にしたい。令和6年は始まった。辰年だけに竜頭蛇尾にはならぬよう祈る。(一部敬称略)

尼崎昇

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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