
リバティアイランド1強から3強時代へ!? 「噂の大物」マスクトディーヴァが見据えるリスグラシュー化

今週、2023年度の各JRA賞が発表され、最優秀3歳牝馬には史上7頭目となる牝馬三冠を成し遂げたリバティアイランドが輝いた。
誰もが納得する極めて順当な結果だが、エリザベス女王杯(G1)を制したブレイディヴェーグに1票入ったことで満票には至らず。その賛否をここで論じるつもりはないが、3歳馬によるエリザベス女王杯制覇は2017年のモズカッチャン以来、6年ぶり。ブレイディヴェーグもまた、今年が楽しみな存在であることに間違いはないだろう。
そして、今年の明け4歳牝馬にはもう1頭、リバティアイランドとブレイディヴェーグの間に割って入るだけの大器が控えている。マスクトディーヴァ(牝4歳、栗東・辻野泰之厩舎)だ。
「マスクトディーヴァ」という上がり馬の名が全国に鳴り響いたのは、昨秋のローズS(G2)だった。重賞初挑戦ながら1番人気に推されたのが上記したブレイディヴェーグであり、スタートでやや後手を踏んだものの最後の直線では自慢の末脚が爆発。上がり最速の末脚で春の実績馬たちを一飲みにしたが、その1馬身半前を走っていたのが先に抜け出したマスクトディーヴァだった。
その勝ち時計1:43.0はローズSどころか、芝1800mの日本レコードを0.8秒も更新する驚愕のタイム。当時の阪神の芝コンディションが絶好だったこともあるが、その走りがフロックでないことは次走の秋華賞(G1)でリバティアイランドを少し慌てさせたことでも証明している。
リバティアイランドには1馬身差の完敗だったが、高い完成度を示す三冠女王に対してマスクトディーヴァはこれがG1初参戦という遅咲き。レース後には岩田望来騎手が「動きたいときに動けなかった」と不完全燃焼を強調するなど、これからの伸びしろは十分だ。

そんなマスクトディーヴァが来月4日の東京新聞杯(G3)からの始動を目指し、栗東に帰厩した。
東京新聞杯は牡馬混合戦となるが、舞台の東京・芝1600mは陣営が「春の大目標」と掲げる5月のヴィクトリアマイル(G1)と同舞台。これがマイル初挑戦となるマスクトディーヴァにとっては、収穫の大きな始動戦となりそうだ。
「昨年のマイルCS(G1)を勝ったナミュールもそうでしたが、近年、クラシック戦線で活躍した有力4歳牝馬が東京新聞杯から始動するのは『黄金パターン』と言えるかもしれません。
近いところに京都牝馬S(G3)や中山牝馬S(G3)がある中で、あえて牡馬にぶつけていくのは、陣営の期待がそれだけ高い証。春の女王決定戦のヴィクトリアマイルはもちろんですが、マスクトディーヴァもその先にある安田記念(G1)や宝塚記念(G1)を始めとした牡馬との戦いを見据えるべき逸材だと思います」(競馬記者)
記者がそう語るのも、近年の東京新聞杯における明け4歳牝馬の活躍ぶりをみれば頷ける。
連対馬にはマイルCSを勝った昨年のナミュールだけでなく、2022年のファインルージュ、2018年のリスグラシューといったところもヴィクトリアマイルで2着に健闘。特にリスグラシューは、このレースの勝利を皮切りに本格化。同年のエリザベス女王杯を勝つと、翌年には宝塚記念、コックスプレート、有馬記念(すべてG1)を3連勝し、年度代表馬にも輝いた。
現在の牝馬戦線はリバティアイランドが抜けた存在であることに間違いはないが、実は過去6頭の三冠女王の中で、古馬になってもG1を上積みできたのはアパパネとジェンティルドンナ、そしてアーモンドアイの3頭しかいない。
最近では3歳秋から本格化を遂げたイクイノックスが古馬になって世界最強馬まで上り詰めたように、3歳でエリザベス女王杯を制したブレイディヴェーグ、そして本馬にローズSで完勝したマスクトディーヴァの遅咲きの成長曲線には目を見張るものがある。
2024年はリバティアイランド1強から「3強」に持ち込めるか。同世代の遅れてきた大物2頭に注目だ。
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