
武豊ヤマニンウルス「+46kg」に調教師「体はもっと増える」…デビューから右肩上がりの馬体重に心配の声も、厩舎の信頼と実績に期待
ダートの怪物ヤマニンウルスのもう1つの特徴
14日、京都競馬場で行われた雅S(3勝クラス)は、1番人気のヤマニンウルス(牡4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が勝利。主戦の武豊騎手がデビュー無敗の6連勝で2022年の米年度代表馬に輝いた名馬を引き合いに「和製フライトラインになってほしい」と期待をかけるダート界の超大物が、無敗の4連勝でオープン入りを決めた。
怪物の底は、今回も見えなかった。13頭立て、ダート1800mのレースでスタートを決めたヤマニンウルスは、ハナを主張したレガーメペスカを行かせる“定位置”の2番手をキープ。デビューから3連勝を決めた必勝パターンに持ち込むと、4コーナーで早々に先頭に躍り出て、あっという間にセーフティリードを作ってしまった。
「今回も強かったですね。ゲートは普通ですが二の脚が速く、武豊騎手も楽に番手を取りに行っている印象です。2着馬との着差こそ4.3秒→1.0秒→0.6秒、そして今回が0.2秒とクラスが上がるごとに詰まっていますが、今回もゴール前で流したところに2着馬が追い上げてきただけで、着差以上に強い競馬でした。これまでレース間隔を空けて使っている馬なので、ダメージが少ない競馬になったのは良かったと思います。
これでデビューから4連勝。あの出脚の速さは今後も大きな武器になりますし、オープンクラスに上がっても楽しみです。武豊騎手の期待も相当大きいと思いますね」(競馬記者)
数々の金字塔を打ち立てる芝だけでなく、カネヒキリやヴァーミリアン、コパノリッキーなど数多くのダート界のスターにも騎乗した武豊騎手。そんなレジェンドジョッキーがただならぬ期待を寄せていることが、このヤマニンウルスが秘めるスケールの大きさを物語っている。
右肩上がりの馬体重に心配の声も
その一方で「大きさ」といえば、ヤマニンウルスがデビュー当初から「どんどん大きくなっている」ことはご存じだろうか。右肩上がりの馬体重は、一部のファンの間でも話題になっているようだ。
一昨年の夏にデビューしたヤマニンウルスだが、536kgの馬体重は2番手に18kg差をつける断然トップだった。そんな大型馬が2戦目に+24kgの560kg、3戦目も+16kgで576kgと、どんどん馬体重を増加させているのだから驚きだ。
4戦目となった雅Sでは+6kgに留まったが582kgと、デビュー戦からは46kgの増加。いよいよ600kgの大台も見えてきた。その上でさらにファンを驚かせたのが、レース快勝後の斉藤調教師による「太くはなかったし、体はもっと増えてくると思う」というコメントである。
「そのスケールだけでなく、馬体重もレースを重ねるごとにどんどん大きくなってますね……(笑)。ただ、ここまで大きくなると、その巨体を支える脚元がさらに心配になってきます。これまでレース間隔を空けて使われているヤマニンウルスですが、大型馬ゆえの調整の難しさもあるそうです。ただ、斉藤厩舎の活躍馬は大きく馬体を増やすことが特徴の1つでもあるだけに、楽しみでもあります」(別の記者)

記者がそう語る通り、かつて斉藤厩舎の看板馬だったクロノジェネシスは、若い頃から世代トップクラスの活躍馬だったが、古馬になってからさらに大きく成長。2020年には牝馬ながらに宝塚記念(G1)や有馬記念(G1)で強豪牡馬の撃破に成功しており、JRAの特別賞に輝いている。
そんな名牝もデビュー時は440kgだった馬体重が、引退レースでは478kgと大きく馬体を増やしながら成長した1頭だ。
また、2022年のエリザベス女王杯(G1)を勝ち、昨年末に引退したジェラルディーナもデビュー時は440kgだったが、引退レースは466kgでの出走だった。無論、斉藤厩舎で活躍したすべての馬が大きく馬体を増やしたわけではないが、大型化が懸念されるヤマニンウルスにとっては頼もしい厩舎といえるだろう。
レース後、武豊騎手が「今後が楽しみ」と改めて期待を寄せれば、斉藤調教師も「今回は、前走後のダメージがなかったので2か月(の間隔)で使えた。今後は様子を見て決めたい」と前を向く。今回もレースぶりに余裕があっただけに、あまり間隔を空けずに出走できるかもしれない。
いずれにせよ、怪物が“名実ともに”どこまで大きく成長するのか楽しみだ。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆
関連記事
【ブルーバードC(G3)展望】新ダート三冠路線がいよいよ始動! 開幕戦であのJRAのパイオニアと地方最強ジョッキーがコンビ結成!?
【東海S(G2)展望】4戦3勝「未完の大器」オメガギネスが登場!控えて好結果ペプチドナイル&ウィリアムバローズら上位勢は実力伯仲
【AJCC(G2)展望】「重賞3勝」ボッケリーニVS「中山巧者」ラーグルフ!逸材バトルボーンも出走なら主役候補
コントレイル、デアリングタクト世代のベテランが「最低人気」で超久々の祝杯!「真骨頂を見た」来月一杯でステッキを置くいぶし銀がまたも大仕事
川田将雅「リバティアイランド三冠級」の勝負駆け!「すみません、ちょっと…」感無量のG1制覇から約3年、らしさを捨てて勝ちにこだわった理由