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改革元年に登場した笠松の天才少女! オグリキャップ妹の桜花賞制覇に続く挑戦は、安藤勝己「中央移籍」の道標に【競馬クロニクル 第39回】

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前ダート改革で登場した笠松の女傑

 1995年、中央競馬は大変革を断行した。

 中央と地方の交流が大幅に拡大されることになり、所属に関わらず出走可能なダートグレード競走(「交流重賞」とも呼ばれる)を整備。同時に、いくつかの条件付きではあるものの、地方在籍馬に中央のクラシック競走への門戸を開いたのだ。

 そのタイミングを計ったように登場したのが地方・笠松競馬の女傑、ライデンリーダーである。

 ライデンリーダーの父は、中央競馬で朝日チャレンジC(G3)を制し、のちに笠松競馬へ移籍して活躍したワカオライデン。母は中央でデビューし、のちに笠松競馬へ移籍して8勝を挙げたヒカリリーダー(父ネプテューヌス)。1992年の5月に北海道・新冠のヒカル牧場で生まれ、笠松の荒川友司厩舎へ預けられ、手綱は当地で18年連続のリーディングジョッキーとなり、メディアをして「笠松にアンカツあり」と言わしめた名手、安藤勝己に託された。

 血統的に地味であり、調教の動きも特段優れたものではなかったライデンリーダー。1994年6月のデビュー戦(ダート800m)の単勝は3番人気にすぎなかったが、好スタートから先行すると、直線であっさり抜け出し、2着に2馬身半差退けて快勝した。

 これ以降、彼女は連戦連勝を続け、6戦目の中京盃(重賞、ダート1400m)では2着に8馬身、タイムにして1秒7もの差を付けて圧勝。のちに明らかになったが、調教師の荒川はライデンリーダーが中央へ足る存在であると見込み、中京盃のあとにJRAの「クラシック登録」(クラシック競走に出走するために必要な登録システム)を済ませていたのだという。

 その後もライデンリーダーの勢いは衰えず、2歳シーズンを9戦9勝というパーフェクトな成績で終えると、古馬との戦いになった3歳初戦のうぐいす特別でも2着に7馬身差で圧勝。いよいよ中央競馬のクラシック競走にチャレンジすることが発表された。

 ライデンリーダーの中央初戦は、新たに指定交流競走となった報知杯4歳牝馬特別(G2、芝1400m/現・フィリーズレビュー)。1月17日に起こった阪神・淡路大震災によって阪神競馬場にも被害が及んだため、京都に舞台を替えて施行された桜花賞(G1、京都・芝1600m)のトライアルレースである。

「交流元年」と呼ばれたこの年、いきなり無敗の10連勝、それもぶっちぎりの連続という強烈な成績を引っ提げたヒロインの登場に、中央のファンは大いに盛り上がった。それは前年、笠松競馬から中央へ移籍したオグリキャップの半妹、オグリローマン(父ブレイヴェストローマン)が桜花賞を制したことも少なからず影響してのことだった。

 レースは衝撃的なものとなった。

杉本清アナ「これは強い!恐れ入った!」

 オープン特別を2連勝して臨んだエイユーギャルが2.8倍の単勝1番人気に推され、ライデンリーダーがそれに続く3.5倍の2番人気となってスタートを迎えたこのレース。ライデンリーダーは初の芝馬場に戸惑ったか、中団で追走に苦しんでいるかに思われ、安藤に仕掛けられながら7番手で直線へ向いた際は、無敗のヒロインに暗雲が垂れ込めたかに見えた。

 しかし、ここであらためて鞍上のゴーサインを受けると、馬群の外から1頭だけまったく違った脚色で矢のように伸び、先に抜け出していたエイユーギャルを軽く呑み込んで、3馬身半(0秒6)の差を付けて圧勝を飾ったのだ。

 当時、関西テレビで実況中継を務めていた杉本清が「これは強い!恐れ入った!」とライデンリーダーの驚異的な走りをアナウンスしたことも話題になった。

 報知杯4歳牝馬特別を圧勝し、ファンの人気は一気に沸騰。牝馬クラシックの1冠目の桜花賞でライデンリーダーは並み居る中央勢を抑え、オッズ1.7倍の圧倒的1番人気に推された。

 レースは1000mの通過ラップが58秒1という、稍重馬場にしてはハイペースで進み、ライデンリーダーは報知杯と同じく中団の後ろ目、10番手付近を速い流れに苦しみながらも追走。第4コーナーを11番手で回ってラストスパートに入るが、ワンダーパヒューム、ダンスパートナー、プライムステージには及ばず、4着に入着するにとどまった。

 しかし、4着までに優先出走権が与えられるオークス(G1、東京2400m)へのチケットは手にすることができた。

 オークスでも単勝オッズ3.2倍の1番人気に推されたライデンリーダーは、これまでとは一転して2番手を追走。しかし1000mの通過が59秒0という速めの流れにスタミナを奪われたか、直線へ向くとじりじりと後退。結果、13着に大敗した(優勝は武豊騎乗のダンスパートナー)。

 キャリア初の大敗となったライデンリーダーだが、秋も中央への挑戦を止めなかった。
 
 地元での東海チャンピオンシップ(重賞、名古屋・ダート1900m)を快勝すると、エリザベス女王杯(G1、京都・芝2400m)のトライアルレースであるローズS(G2、芝2000m)に参戦。中団を進むと、しぶとく追い込んで3着に入り、優先出走権を得ることに成功した。

 しかし、単勝6番人気と支持を落として出走したエリザベス女王杯では、中団から伸びることなく13着に大敗(優勝は小島太騎乗のサクラキャンドル)。手綱をとった安藤勝己は「力が足りなかった」とのコメントを残し、ライデンリーダーの牝馬三冠への挑戦は終わったのだった。

 中央で勝利は手にできなかったライデンリーダーだが、地方競馬所属馬として初めてJRAの牝馬三冠すべてに出走した偉業を称え、NARグランプリ(地方競馬全国協会主催の表彰制度)の年度代表馬に選出された。

 その後はほとんど目立った成績を挙げられなかったライデンリーダーだが、1995年、競馬ファンのハートを沸き立たせた勇気ある挑戦は、いまも生き続けている。そして安藤勝己が2003年、中央へ移籍する下地を作ったことも忘れてはならないだろう。(一部敬称略)

三好達彦

三好達彦

1962年生まれ。ライター&編集者。旅行誌、婦人誌の編集部を経たのち、競馬好きが高じてJRA発行の競馬総合月刊誌『優駿』の編集スタッフに加わり、約20年間携わった。偏愛した馬はオグリキャップ、ホクトヘリオス、テイエムオペラオー。サッカー観戦も趣味で、FC東京のファンでもある。

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