【阪神大賞典(G2)展望】現役屈指のスタミナ自慢が集結!ディープボンドは好調・岩田望来との「新コンビ」で2年ぶり3勝目狙う
17日、阪神競馬場の芝3000mを舞台に行われる阪神大賞典(G2)。過去10年のうち8年で単勝1倍台の大本命馬がいた特殊なレースだ。しかし、今年は抜けた存在のいない混戦模様になるとみられている。
天皇賞・春(G1)に向けて長距離実績のあるマラソンランナーが集結した一戦。1番人気はテーオーロイヤル(牡6歳、栗東・岡田稲男厩舎)とブローザホーン(牡5歳、栗東・吉岡辰弥厩舎)の2頭が争うことになるだろう。
テーオーロイヤルは3歳秋から連勝街道を走り、4歳初戦のダイヤモンドS(G3)で重賞初制覇。続く天皇賞・春でも3着に入るなど長距離界のスター候補と呼ばれる存在だった。
ところが4歳秋以降は不振に陥ると、右後肢の骨折で長期休養入り。昨年秋のアルゼンチン共和国杯(G2)で約1年ぶりの実戦復帰を果たした。
休み明け初戦は10着に敗れはしたが、58.5kgを背負って勝ち馬との差は0秒6とまずまずの内容。復帰2戦目のステイヤーズS(G2)で2着すると、前走のダイヤモンドSで重賞2勝目を飾った。
前走後はそのまま在厩で調整。今回は中3週での出走となるが、データ的にはむしろ間隔を詰めた方がいいタイプ。栗東CWでの1週前追い切りでもラスト2ハロンを12秒5-12秒1と上々の時計をマークしており、態勢は整っている。
調教で跨った菱田裕二騎手も『スポーツ報知』の取材に対し、「阪神も勝っていますし、距離もピッタリ」と自信をのぞかせており、ダイヤモンドSに続く連勝を飾って堂々と大目標の天皇賞・春に臨みたいところだろう。
2600mまでしか距離経験がないが、ブローザホーンの勢いも侮れない。
ちょうど1年前に2勝クラスを勝利すると、続く3勝クラスも勝って、夏の函館記念(G3)で重賞初出走。同レースではほぼ最後方からの競馬となったが、直線で力強く伸びて3着に食い込んだ。
続く札幌日経OP(L)では一転、先行すると、4角先頭の積極策で快勝。夏の北海道で自在性のあるところを見せつけた。
秋は京都大賞典(G2)から始動。重賞ウイナーが多数そろったハイレベルな一戦にもかかわらず2番人気に支持された。菅原明良騎手と2度目のコンビで改めて重賞初勝利を狙ったが、レース中に心房細動を発症。最後の直線でやむなく競走を中止した。
その後は3か月の間隔を取って、年明けの日経新春杯(G2)へ。道中はちょうど中団で脚を溜めると、3角過ぎから徐々に進出。抜群の手応えで直線に向くと、上がり最速の末脚を繰り出して見事に1番人気に応えた。
その勝利は結果的に中野栄治調教師にとってのJRAラスト重賞勝利でもあった。その後は、中野師の定年引退を待たずして、栗東の吉岡厩舎に転厩済み。2月中旬から主に栗東坂路とCWコースで入念に乗り込まれている。
2走前の競走中止を除けば直近の1年間で5戦4勝の好成績。今回は初の3000m級にはなるが、不安より楽しみの方が大きい。
テーオーロイヤルとブローザホーンに勢いでは引けを取るが、現役屈指の長距離実績を誇るのがディープボンド(牡7歳、栗東・大久保龍志厩舎)だ。
これまでG1に14回挑戦して、2着が4回あるものの未勝利。ただし、国内外でG2を4勝している。そのうちの2勝が当レース(21年、22年)である。
3年前は圧倒的人気を集めたアリストテレスやユーキャンスマイルを破って優勝。続く天皇賞・春でもワールドプレミアの2着に入った。
2年前は単勝オッズ1.2倍の圧倒的支持に応えて連覇を達成。再び天皇賞・春で2着と好走した。
そして3連覇を狙った昨年の当レースは、2番手につける積極策を見せるも5着。3連覇こそ逃したが、続く天皇賞・春でみたび2着に食い込み、改めてその実力を示した。
その後は宝塚記念(G1)5着、京都大賞典(G2)3着と中距離で掲示板を確保したが、近2走はジャパンC(G1)10着、有馬記念(G1)15着とやや精彩を欠いている。
今年も有馬記念からのぶっつけで臨むローテーションは変わらないが、鞍上に中山牝馬S(G3)を勝ったばかりの若手のホープ、岩田望来騎手を抜擢。新コンビで2年ぶり3度目の勝利を狙う。
そんなディープボンド以上に長距離レースを使われ続けているのがシルヴァーソニック(牡8歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
2021年のステイヤーズS以降の直近7戦すべてが3000m以上のレースというから驚きだ。しかも、2年前の天皇賞・春で落馬競走中止した以外の6レースで3着以内を確保している。
特に近3走は、22年ステイヤーズS1着、サウジアラビアに遠征した23年のレッドシーターフH(G3)1着、さらに天皇賞・春でも3着と結果を残している。今回は11か月ぶりの実戦となるが、鞍上には2度目のコンビとなる武豊騎手を配してきた。
久々の実戦でも、消耗戦になれば強豪を撃破しても何ら不思議ではないだろう。
一部では実力に疑問符が投げかけられている現4歳世代だが、そんな中で高い長距離適性を見せているのがサヴォーナ(牡4歳、栗東・中竹和也厩舎)だ。
昨年の秋以降は神戸新聞杯(G2)2着、菊花賞(G1)5着、日経新春杯2着と、中長距離で人気以上の安定した走りを見せている。前走でブローザホーンと0秒1差なら、十分逆転の目はあるだろう。
この他には、前走のダイヤモンドSで3着し、今回は川田将雅騎手との新コンビを予定しているワープスピード(牡5歳、美浦・高木登厩舎)、一昨年のステイヤーズS2着のプリュムドール(牝6歳、栗東・奥村豊厩舎)、昨年の目黒記念(G2)2着馬のディアスティマ(牡7歳、栗東・高野友和厩舎)なども出走を予定している。
近年では珍しい絶対的な主役不在の阪神大賞典。発走は17日の15時35分を予定している。
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