
【ドバイワールドC(G1)展望】「距離延長」ウシュバテソーロが必勝態勢!G1獲り狙うウィルソンテソーロは原優介と再コンビ

30日、ドバイのメイダン競馬場ではダートの世界王者を決めるドバイワールドC(G1)が行われる。1着賞金696万米ドル(1ドル=150円換算で約10億4400万円)を懸けた戦いに日本から4頭が参戦を予定している。
日本の総大将は昨年の覇者でもあるウシュバテソーロ(牡7歳、美浦・高木登厩舎)だ。
これまで国内外のダート中長距離路線で世界屈指の末脚を披露してきた。2022年の東京大賞典(G1)を皮切りに、昨年は川崎記念(G1)、ドバイワールドC、さらに日本テレビ盃(G2)と連勝を重ねた。
3走前のブリーダーズCクラシック(G1)は末脚不発で5着に敗れたが、東京大賞典で連覇を達成。今年初戦のサウジC(G1)で約15億円の賞金ゲットを狙ったものの、惜しくも2着に終わった。
その前走はいつも通り後方からの競馬。最後の直線で外に進路を取って、いったんは逃げ馬をとらえたが、さらに後方にいたセニョールバスカドールに差されてしまった。
ただし、前走は本馬にとってやや距離不足の1800m戦。1ハロン延びる今回の方がより高いパフォーマンスを発揮できるはず。管理する高木調教師も「2000mのほうが競馬はしやすい」と連覇に自信をのぞかせている。イクイノックスを抜いて日本競馬における競走馬の歴代獲得賞金単独1位に躍り出ることができるか。
ウシュバテソーロと同じ了徳寺健二オーナー(名義は了徳寺健二ホールディングス)のウィルソンテソーロ(牡5歳、美浦・小手川準厩舎)にもチャンスがある。
昨年は春から秋にかけて地方で交流重賞を3連勝。JBCクラシックで5着に敗れ、連勝は止まったが、チャンピオンズC(G1)でテン乗りの原優介騎手が好騎乗を見せて2着に激走し、波乱を演出。さらに東京大賞典では逃げの手を打つと、ウシュバテソーロの2着に粘り込み、地力の高さを証明した。
そして迎えた今年初戦のフェブラリーS(G1)。松山弘平騎手と新コンビを結成したが、ハイペースを2番手から積極策で追い掛けたこともあってか、伸びを欠き8着に沈んだ。
本馬にとって初の海外遠征となる今回は鞍上をスイッチ。原騎手との再コンビで、世界を驚かすことができるか。

テソーロ軍団の2頭に割って入るのは、4歳にして豊富な国際経験を持つデルマソトガケ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
2歳時に3連勝で全日本2歳優駿(G1)を制覇。その後はサウジアラビア→ドバイ→アメリカ→サウジアラビアと世界を駆け巡り、日本では一度も出走していない。
海外では通算5戦1勝の成績だが、唯一の勝利が昨年のドバイで行われたUAEダービー(G2)。今回と同距離2000mのブリーダーズCクラシックで2着に好走しているのも強調材料だ。
前走のサウジCはC.ルメール騎手が「直線では3番手まで上がって勝てるかと思った」という絶好の手応えだったが5着まで。陣営は休み明けを敗因の一つに挙げていたが、今回は一度使われた上積みも期待できるだろう。
4頭目は、2年前のホープフルS(G1)を勝ったドゥラエレーデ(牡4歳、栗東・池添学厩舎)である。
芝ダートの二刀流として知られる同馬だが、これまで芝で「1-1-0-5」、ダートで「1-1-2-1」と、砂でより安定感を発揮している。
ダートで唯一着外に敗れたのが前走のフェブラリーS。B.ムルザバエフ騎手を背に3番人気の支持を受けたものの12着と思わぬ惨敗を喫した。おそらくウィルソンテソーロと同じく、激流に巻き込まれての凡走だろう。
メイダンの砂は、デルマソトガケの2着に入った昨年のUAEダービーで経験済み。自慢の先行力を生かせる展開になれば、有力馬をまとめて負かす力は持っている。
外国馬で最有力視されるのは、先月のサウジCで日本馬の連覇を阻止した米国のセニョールバスカドール(牡6歳、米国・T.フィンチャー厩舎)だ。
その前走はウシュバテソーロをマークするように末脚を温存。ウシュバテソーロが先に抜け出したところを直線一気で差し切り、約15億円を獲得。これまでの実績から1ハロンの距離延長はプラスとは言い難いが、連勝を飾って約10億円を上積みしてもおかしくないだろう。
もう1頭、名前を挙げておきたいのが、カビールカーン(牡4歳、UAE・D.ワトソン厩舎)という日本ではまだ無名に近い存在だ。
デビューしたのは中央アジアのカザフスタン。同地で3連勝すると、ロシアへ移籍し、デビューからの連勝を8まで伸ばした。9戦目のロシアダービーで初黒星を喫したが、その後UAEに移ると、今年に入って2連勝。前走のアルマクトゥームチャレンジ(G1)では2着馬に4馬身3/4差をつけてG1初勝利を飾った。カザフスタン、ロシア、UAEと渡り歩いてきた異色の存在が世界のホースマンを驚かせるか。
連覇を狙うウシュバテソーロを筆頭に、個性派ホースがそろった印象のドバイワールドC。10億円を超える1着賞金を手にするのは果たしてどの馬になるのか。発走は現地時間30日の20時35分(日本時間31日1時35分)となっている。
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