「永遠のライバル」逆転も時間の問題?キズナ産駒が待望のクラシック初制覇、ジャスティンミラノ皐月賞優勝に大きな意味

現役時代にライバルとして競い合った馬たちが、引退後に種牡馬となることは珍しくない。
しかし、必ずしも名馬や名牝が繁殖においても成功するとは限らないのが競馬だ。たとえスターホースと女傑の間に生まれた超良血だったとしても、期待通りに走るケースはそれほど多くないだろう。
ただ近年はいわゆるドゥラメンテ世代のキタサンブラックやリアルスティール、サトノクラウンの健闘は目立った。筆頭格だったドゥラメンテの早逝は惜しまれるが、現役時代に引けを取らない素質馬を送り出しているといえよう。
現役時代のライバルが種牡馬となっても激しい争い
これと同じく現役時代のライバルとして有名なのが、キズナとエピファネイアの2頭である。
2013年の日本ダービー(G1)では、先に抜け出したエピファネイアを後方から伸びてきたキズナがゴール前で差し切って勝利した。
このとき自身5度目のダービージョッキーの称号を手にした武豊騎手は、2010年3月の落馬骨折を機に成績が急落していた。年間64勝にとどまった2011年には、1988年から続いたJRA・G1連勝制覇の記録も23年で途切れたように、競馬界のレジェンドにとっても非常に苦しい時期だった。勝利騎手インタビューで「みなさん、ボクは帰ってきました!」と答えたシーンは、今でも感動的な名場面としてファンの間で語り継がれている。

また、敗れたエピファネイアは秋に菊花賞(G1)を楽勝し、古馬になってジャパンC(G1)をC.スミヨン騎手とのコンビで制覇。最終的なG1勝利数ではライバルを上回った。
そんな2頭が種牡馬となり、彼らの産駒がデビューしたのは2019年。函館2歳S(G3)を制した初年度産駒ビアンフェを筆頭として、コンスタントに重賞勝ち馬を輩出していたキズナに対し、エピファネイア産駒は重賞で勝てなかった。
このままキズナ優勢で進む雰囲気もあった中、エピファネイアが大逆転に成功する。2年目産駒のデアリングタクトが史上初となる無敗の牝馬三冠を達成し、3年目産駒のエフフォーリアが無敗で皐月賞(G1)を制してG1で3勝を挙げたのだ。
キズナ産駒もソングラインの活躍でG1勝利という意味では並んだが、クラシックのタイトルを手に入れることはまだ叶わなかった。こうした大物感のある産駒の存在が、種付け料でもエピファネイアの1500万円に対し、キズナが1200万円と下回った一因となったのではないか。
こういった状況下で桜花賞(G1)をエピファネイア産駒ステレンボッシュが優勝し、キズナ産駒ライトバックは3着に敗れたばかり。皐月賞(G1)で何とかリベンジを決めたいところだった。
それだけにジャスティンミラノの優勝で待望のクラシック勝利を手に入れた意味は非常に大きい。3歳の世代別サイアーランキングでもエピファネイアに大差をつけて独走しているように絶好調。皐月賞の走りならジャスティンミラノが無敗の二冠を達成する可能性も十分にあるだろう。
今後の産駒の活躍次第では、来年度の種付け料でライバルを逆転しても不思議ではなさそうだ。
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