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津村明秀G1制覇の「予兆」は確かにあった!? 「勝ちたいと思い続けた男」の大進化を示す一目瞭然のデータとは
![津村明秀騎手](/wp-content/uploads/2022/04/220417_tsumuraakihide_03.jpg)
5年前の苦い記憶
「世界的権威のあるジャパンC(G1)を勝てて、自分の夢が1つ叶いました」
今から5年前、2019年のことだ。前年の大阪杯(G1)以来、スワーヴリチャードに2つ目のビッグタイトルをプレゼントした欧州の若き天才O.マーフィー騎手は、勝利騎手インタビューでそう胸を張った。
そんな輝かしい勝者のウイニングランを「ジーッ」と見つめていたジョッキーがいる。0.1秒差の2着に敗れたカレンブーケドールの主戦・津村明秀騎手だ。
後に『netkeiba.com』の人気対談企画『競馬対談 with佑』に登場した津村騎手は、同期でありホストの藤岡佑介騎手に当時の心境を吐露。詳細はぜひ、本対談をご覧いただきたいが、カレンブーケドールと津村騎手は、これでオークス、秋華賞に続くG1連続2着となった。特にジャパンCは藤岡佑騎手が「津村が一番上手く乗った」と評価するほどの完璧な競馬。それだけに悔しさもひとしおだったようだ。
「東京でウイニングランかぁ、きっと最高だよね」
あのジャパンCから5年が経った12日のヴィクトリアマイル(G1)。48回目のG1挑戦にて津村騎手がたどり着いた初勝利は、奇しくも東京競馬場が舞台だった。「いつか勝ちたい、勝ちたいと思い続けて。一番大きい東京で勝てて、最高の瞬間」超大穴だったテンハッピーローズとゴールを先頭で駆け抜けた瞬間、何度も何度もガッツポーズを繰り返した。
「ウチの馬で勝てなくて、ウチのを負かしていくんだから」と報道陣の笑いを誘ったのは、2着フィアスプライドの国枝栄調教師。かつてカレンブーケドールを手掛け、あと一歩でG1に届かなかった津村騎手を根気強く起用し続けてくれた恩人だ。レース後には同期の川田将雅騎手と熱い抱擁を交わすなど、誰もが祝福する会心の勝利だった。
騎手21年目、重賞17勝を誇りながらG1どころかG2さえ勝っていなかった男による“一足飛び”のG1制覇。テンハッピーローズが単勝208.6倍のブービー人気だったこともあって、ネット上には「奇跡的」「乾坤一擲」「一世一代」といった言葉が飛び交った。
だが、会心の勝利に至る「予兆」は確かにあった。
1着と2着数が示す、津村騎手の変身ぶり
![カレンブーケドールと津村騎手 撮影:Ruriko.I](/wp-content/uploads/2019/07/19oaks_karenbu-kedo-ru03.jpg)
カレンブーケドールとジャパンCで2着に敗れた2019年が39勝で2着60回、2020年が31勝で2着59回、2021年が41勝で2着58回……。多くの競馬ファンがイメージしている通り、津村騎手は「いつも良いところまでくるが、あと一歩足りない」要するに、上手いのに勝てない騎手だった。
実際に騎手20年で津村騎手の1着数が2着数よりも多かったのは、たった4回しかない。通算成績(12日現在)は653勝、2着778回、3着836回だ。
それが2022年は38勝で2着38回、2023年も56勝で2着58回と大きく改善。昨年の56勝は騎手20年目にしてのキャリアハイ更新だった。そして、今年2024年はまだ暫定ながら19勝で2着16回と2017年以来の“勝ち越し”に転じている。
「初めてG1を勝ちましたけど、これで終わりじゃなくて、まだまだこの声援をまた浴びたいなと思い始めたので……また勝ちたいです!はい!」
あと一歩足りなかった男が、初めて“勝利”の味を知り「欲」を持った――。これからの津村騎手は一味も二味も違うかもしれない。
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