【セントウルS(G2)展望】「秋」を見据えるママコチャと「夏」にかけるピューロマジックが激突!
夏の終わりか、秋の始まりか、一流スプリンターが激突!
8日、中京競馬場ではセントウルS(G2)が行われる。
昨年は14番人気のテイエムスパーダが乾坤一擲の逃げを見せた大金星を挙げたが、それまでは7年連続1番人気が勝利というJRAでも屈指の堅い重賞だった。果たして今年は本命サイドか、それとも……さっそく展望していきたい。
まずは敬意を表して、昨年のスプリンターズS(G1)の覇者ママコチャ(牝5歳、栗東・池江泰寿厩舎)の名を挙げる。
昨年は北九州記念(G3)からスプリンターズSへ。3番手から抜け出すと、最後はマッドクールとの叩き合いをハナ差で制し、重賞初制覇がG1という快挙を成し遂げた。
だが、その後は1番人気に推された阪神C(G2)で5着に敗れると、春の高松宮記念(G1)でも8着と期待を裏切ってしまったママコチャ。レース後に川田将雅騎手が「暖かくならないと本来の走りができない印象」と敗因を分析していただけに、今回は言い訳の利かない一戦になる。鞍上は鮫島克駿騎手に乗り替わるようだ。
ヴィクトリアマイル(G1)の覇者テンハッピーローズ(牝6歳、栗東・高柳大輔厩舎)もここが始動戦になる。
デビュー3戦目のアルテミスS(G3)でソダシに敗れたものの3着。次走のフェアリーS(G3)で1番人気に推されるなど、将来を嘱望されていたテンハッピーローズ。だが、クラシックに駒を進めることができなかったばかりか、デビュー24戦目でようやくたどり着いた初のG1挑戦が6歳春の前走ヴィクトリアマイルだった。
しかし、ここで“超遅れてきた大物”はその真価を発揮する。後方から自慢の末脚に懸けたテンハッピーローズは、最後の直線で持ち前の末脚が爆発。抜け出したフィアスプライドを捉えると、G1初挑戦で初制覇をやってのけた。またこの勝利は主戦の津村明秀騎手にとっても初のG1勝利。苦労を重ねてきた人馬がようやくたどり着いた頂だった。
この秋はここから米ブリーダーズCマイル(G1)挑戦が予定されているテンハッピーローズ。あえて1200mに出走してきたのは、中京が得意の左回りであることが大きい。デビュー戦以来の1200m挑戦となるが、弾みを付けられるか注目だ。
また、セントウルSはスプリンターズSの王道の前哨戦であると同時に、サマースプリントシリーズの最終戦でもある。逆転王者を狙うピューロマジック(牝3歳、栗東・安田翔伍厩舎)は相手がG1馬でも引くわけにはいかない。
同世代のスピード自慢が集った葵S(G3)で重賞初制覇を飾ったピューロマジックは、勢いそのままに前走の北九州記念で古馬を一蹴。重賞連勝でスプリント界に大きく名乗りを上げた。
現在、サマースプリントシリーズは函館スプリントS(G3)とキーンランドC(G3)を連勝したサトノレーヴが一歩リード。ピューロマジックが逆転するには、ここを勝つしかないが、セントウルSはG2なので勝てば単独優勝ということにもなる。
最大の武器は現役トップクラスと言っても過言ではないテンのスピード。ここで逃げ切ることができれば、夏の王者だけでなく、秋のスプリンターズSでも主役を張ることになるだろう。鞍上は主戦の横山和生騎手だ。
アイビスサマーダッシュ(G3)を勝ったモズメイメイ(牝4歳、栗東・音無秀孝厩舎)も逆転王者の可能性は十分だ。
3歳時には逃げて重賞2勝と、世代でも屈指の逃げ馬だったモズメイメイ。しかし、その後に成績が頭打ちになると、国分恭介騎手が主戦を務めるようになってからは差す競馬を試みることに。重賞3勝目となった前走は、そんなモデルチェンジが功を奏した結果だった。
また北九州記念でも3着しているモズメイメイは、ここで2着以上に入ればサマースプリントシリーズ王者となる。相手は強いが磨いてきた差し脚なら、上位進出は可能なはずだ。
他にも、一昨年のNHKマイルC(G1)を勝ったダノンスコーピオン(牡5歳、栗東・福永祐一厩舎)、昨年のこのレースの覇者テイエムスパーダ(牝5歳、栗東・木原一良厩舎)、重賞3勝のトウシンマカオ(牡5歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)、函館SSで1番人気に推されたアサカラキング(牡4歳、美浦・斎藤誠厩舎)、北九州記念で2着したヨシノイースター(牡6歳、栗東・中尾秀正厩舎)、本格化の兆しのあるサウザンサニー(牡4歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)なども注目すべき存在だ。
果たしてレースを制すのは、秋を見据える実績馬か、夏にかける上がり馬たちか。スプリンターズSへ続くセントウルSは8日の15時35分に発走予定だ。
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