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「想定4000万」阻止のC.ルメールに隙なし!スプリンターズSのパートナーはロードカナロア級?

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I
C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 22日、中山競馬場で行われたオールカマー(G2)は、単勝オッズ1.5倍の断然人気に応えたレーベンスティール(牡4、美浦・田中博康厩舎)が勝利。大目標となる天皇賞・秋(G1)のステップレースを快勝し、悲願のタイトル奪取に大きく前進した。

 また、レーベンスティールといえば、母父にトウカイテイオーのいる血統。その父である皇帝シンボリルドルフも不思議と天皇賞・秋には縁がなかったが、競馬史上に名を残す名馬たちの敗れた因縁の舞台で大輪を咲かすことができるだろうか。

 ゴール前で粘るアウスヴァールを半馬身差で捉えたが、内容としては完勝どころか圧勝といっていいほどだった。

ルメール騎手だからこそ負けなかった?

 良馬場で2分11秒8の勝ちタイムは例年並みの数字だが、今秋の中山は条件クラスでG1級の時計が飛び出る異常な高速馬場。G1・3勝の逃げ馬タイトルホルダーが2着に敗れた昨年のそれが2分12秒0だったことを踏まえても、超スローで流れた今年の方が速かったほどである。

 誰にも競りかけられることなく最高のレース運びをしたアウスヴァールの田辺裕信騎手も「同型がおらず、自分のペース」「勝ったと思った」と悔しがったが、前残りを許さなかったC.ルメール騎手に隙はなかった。

 中山の芝2200mの舞台がアーバンシックで勝利したセントライト記念(G2)と同じ条件だったことも、ルメール騎手の手腕が際立った一因かもしれない。

 このときもスタートでもたつくことの多かった馬を早めに動かして先行勢を射程圏に入れてロスなくインを追走。最後の直線だけ外に出す完璧な手綱捌きで差し切り。こちらに対し、本馬より操縦性で上回るレーベンスティールとコンビを組んだオールカマーでは、積極策を採って3~4番手をキープ。直線で窮屈になるシーンもありながら、1頭分だけ空いたスペースを抜け出してアウスヴァールの逃げ切り阻止を成功させた。

「高速馬場の上に1000m通過の前後半が61秒0-58秒4の超がつくスロー。3番手以内につけた3頭が、そのまま234着に粘り込む前残りの展開でした。普通の馬ならとても差し切れない状況でしたが、瞬発力で他馬を圧倒したのがレーベンスティール。鞍上がG1クラスと評したのも納得の勝ちっぷりです。

ただ、もしルメール騎手が騎乗していなければ、後ろからの競馬で間に合わなかった可能性も十分に考えられたと思います。一歩間違えれば、この日のWIN5も大変なことになっていたかもしれません。何しろアウスヴァールは10番人気の穴馬でしたからね。おそらくかなりの高配当になっていたと思いますよ」(競馬記者)

 ちなみにWIN5対象レースの最終関門となったオールカマーをアウスヴァールが勝っていた場合の想定は4000万円前後。大本命が勝利しても約120万円の払戻しだったが、レーベンスティールが取りこぼしていたら、30倍以上に跳ね上がっていた計算だ。

 その一方でルメール騎手は、秋の重賞を5戦3勝と絶好調。今週末のスプリンターズS(G1)はヴェントヴォーチェに騎乗を予定している。昨年の高松宮記念(G1)で8着に敗れて以来の戦列復帰となるが、中山・芝1200mでメンバー最速の1分6秒8の持ちタイムのある実力馬である。

 これは12年前に世界のロードカナロアがスプリンターズSでマークしたレコード1分6秒7に0秒1迫るもの。不良馬場で実力を発揮できなかった前走から条件が好転するだけに侮れない。

 そして、ルメール騎手も芝1200mは大の得意。1年半ぶりのG1にもかかわらず、名手を確保してきたからには、陣営も一発を狙っているはずだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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