横山典弘ピューロマジック「9秒9」超えた稀代の韋駄天? 超速レコード持ち主はデュランダルに大楽勝

西村淳也騎手とルガルのコンビが人馬ともにG1初勝利を挙げたスプリンターズS(G1)。抜けた馬がおらず、実力拮抗のメンバーで争われただけに、各馬の騎手の位置取りがレース結果に大きく影響した印象も残った。
やはり決め手となったのは、ハイペースにもかかわらず強気の3番手につけた西村騎手の度胸と覚悟か。慎重にならざるを得なかった他の騎手は、勝ち馬に迫りながらも時すでに遅し。わずか60秒少しの短期決戦だけにホンの僅かな判断の遅れが結果を左右したのかもしれない。
何をやってくるか分からない横山典弘騎手の怖さ
ただ、レースで騎乗した騎手を幻惑したのは、前半600mを32秒1の超ハイペースで逃げた横山典弘騎手とピューロマジックの存在だろう。元々初速の速さに定評のある馬ではあったが、中距離戦でもなくスプリントG1で大逃げを演じたのだから、これに面食らったファンも少なくなかったのではないか。
実際、ピューロマジックがスタートから刻んだ前半のラップは、11秒8-9秒9-10秒4という驚きの数字が並んだ。加速がつくまでの1ハロン目はともかく、2ハロン目の9秒9は滅多にお目にかかることのない数字。それでも0秒5差の8着に粘ったのだから大したものである。
ここまでくると競馬というよりも「放馬」といっても過言ではなかったピューロマジックだが、それをさらに上回るラップを刻んだ馬もいた。
それは、2002年のアイビスサマーダッシュ(G3)を制した稀代の韋駄天カルストンライトオのことだ。
新潟名物の「千直」が舞台とはいえ、53秒7(良馬場)をマーク。5ハロンのラップはそれぞれ12秒0-9秒8-10秒2-9秒6-12秒1というもの。加速のついた2ハロン目で10秒の壁を破ったのはピューロマジックも同様だが、カルストンライトオは4ハロン目でも2度目の10秒切りを計時。コーナーがないだけ有利とはいえ、一度ならず二度まで9秒台を出したのは凄い。
また、今回のスプリンターズSでは敗れたものの、ピューロマジックの可能性を感じる敗戦だったことも事実だ。暴走にすら映る超ハイラップを刻みながらも、1番人気サトノレーヴとアタマ差の接戦。まだ3歳牝馬ということを加味すれば、これからの伸びしろにも期待ができるだろう。そこで連想したくなるのは、先述したカルストンライトオの戦績だ。
「2頭は葵Sを勝ったところも同じなんですよ。1ハロン9秒台をマークした共通点もありますし、来年の高松宮記念やスプリンターズSでも注目です。このままだと逃げ一辺倒になる恐れはありますが、馬場が渋ればG1でも十分に勝ち負け可能だと思います。
こちらについてはカルストンライトオが証明していますし、ピューロマジックは血統的にも芝ダート兼用のアジアエクスプレス産駒。少々馬場が悪くとも苦にしないタイプでしょう。今年に関しても当初の予報通り、天候が悪化して思や不良で開催されていれば、勝ち負けを演じていたかもしれません」(競馬記者)
ちなみにカルストンライトオは、2004年のスプリンターズSで2着にデュランダルに4馬身の差をつける大楽勝を演じている。当時の馬場は不良で逃げ馬に有利な条件。同じく不良馬場で行われた2007年もアストンマーチャンが逃げ切り勝ちを決めていた。
1番人気に支持された前哨戦のセントウルS(G2)で13着に惨敗したこともあり、一部では平坦コース専門という見方もされているピューロマジックだが、有り余るスピードを生かすなら逃げにこだわるのも悪くない。今後は海外のアベイ・ド・ロンシャン賞(仏G1、直線1000m)やジュライC(英G1・芝1200m)なども選択肢に入ってくるだろう。
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