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大本命モーリスは「何故」敗れたのか。昨年から懸念されながらも、マスコミ内に留まった「明確な敗因」とは

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mo-risurogo.jpgロゴタイプ(右)を追うモーリス(左前) 「競馬つらつら」より

 先週の安田記念(G1)では、単勝1.7倍の大本命モーリスが約2年ぶりの敗戦を喫した。

 香港に遠征した前走のチャンピオンズマイル(G1)から僅か1カ月、それも検疫の都合で東京競馬場での調整を余儀なくされたこと。さらには鞍上のT.ベリー騎手とは初コンビだったこと。

 そして何よりも、ロゴタイプと田辺裕信騎手が乾坤一擲の逃げを打ったことなど、競馬ファンやメディアの間では様々な敗因が挙げられている。だが、結論から述べれば、どれも間違いではなく、今回の敗戦は「様々な要因が複合的に重なった結果」と考えて間違いないだろう。

 言ってしまえば、モーリスは負けるべくして負けたのだ。

 ただ、その上でもモーリスには各メディアがあまり取り上げていない「明確な敗因」が存在する。これは実際に調教に立ち会っているTM(トラックマン)の間では、元から懸念されていた事実なのだが、残念ながら今回の安田記念で”それ”が明確化してしまったようだ。

 先述した通り、今回のモーリスは安田記念の出走に際して東京競馬場での調整を余儀なくされている。具体的には、1週前追い切りと最終追い切りという、僅か2本の追い切りだけでレースに挑んだことになる。

 だが、最終追い切りの時計は、東京の芝コースを単走で5F66.7-51.7-37.2-11.8。走りは素軽く、特に疲れも見えなかったので慎重で鳴らす堀宣行調教師もゴーサインを出したのだろう。

 各マスコミが最終的にモーリスを本命候補に推したのも、最終追い切りを確認して「能力を出せる」と判断したからに他ならない。それに実際に敗れたとはいえ2着を確保しているのだから、その見立てに大きな差異はなかったはずだ。

 ただ、1週前追い切りと最終追い切りで何人かのTMが気にしていたのは、もっと別のことだった。

 モーリスが、なかなか「手前」を替えないのだ。

 これは、もし仮に、モーリスがいつも通り”右回り”の美浦の南ウッドコースで追い切りが行なっていれば、気付かなかったことである。しかし、今回は左回りの東京芝コースで追い切られ、モーリスは直線半ばまで左手前を替えようとしなかった。

 手前とは競走馬が走行する際に、先に踏み出す側の前脚のことを意味し、仮に左脚から先に出していれば「左手前」という言い方をする。その上で何より重要なことは、先に踏み出された脚は、全身を前に進めようと地面をグリップすることで「大きな負担が掛かる」ということだ。

 そこで特に最後の直線では、先に踏み出す脚への負担を分散するために、しきりに「手前替え」が行なわれる。例えば、最初に左手前で走行することで左脚に疲労が溜まれば、次は右手前に切り替えて、右脚が頑張っている間に、左脚を休ませることができるということだ。

 なお、基本的な手前はコースの回転方向によって決まる。例えば、阪神や京都のような右回りの競馬場でコーナーリングする際は、右脚から踏み出す。つまりは右手前で回るということだ。東京や中京などの左回りとなると、その逆である。

 よく左回りの良績が集中している「サウスポー」と称される競走馬がいるが、こういった存在がいるのも手前が大きく関係している。

 話をモーリスに戻そう。

 左回りの東京芝コースで行われる追い切りに関して、直線に入るまでのコーナーリングを左手前で行うのは当然として、直線に入ればコーナーリングで疲弊した左脚を休ませるために、早めに右手前に切り替えるのが競馬のセオリーである。それはいくら追い切りという”試走”であったとしても、手前を切り替えない道理はどこにもない。

 だが、モーリスは直線半ばまで手前を替えなかった。

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